憑依
「思わぬ幸運だったな…」
そう透は自嘲気味に独り言を呟きながら帰路についていた
「あ〜。楓も二学期に来るしなぁ。すっごい暇だなぁ。退屈だなぁ。」
その時だった
ストン
その音が鳴ったあと、透が目を覚ますと砂漠の上に居た。
「ってぇ。何だよ、って。ここ。何処だよ、おい!ここ、何処なんだよ!」
パニックになった透は空に向かって叫んだ、砂塵吹き荒れる中透の声は響くわけもなく。
「ハァ、ハァ。どうする、助けが来るまで待つか?いや、来ないよな。だがどこにいけば良いんだ?地図は?…ある訳ないか…っクソっ!どうすれば良いんだ!」
叫ぶも何も届かず、孤独に満ちた世界が広がっていた。
「ねぇ?君が僕を呼んだのかな?」
何処からかそんな声が聞こえた。透は周りを見渡した。ただ、誰一人居なかった。
強い風が吹き荒れて、砂が宙に舞った。透は目を閉じた。
目を開けると、そこには今さっきまでいた街並みが広がっていた。
「戻った、のか?」
そう言い安堵したのも束の間。自分の真後ろに誰か居た。
「あぁっ。すみません。ぼーっとしてまし…。」
透はその人をじっと見つめてしまった。
否。美貌に見入っていたのだ。
「ねぇ。君が私を呼んだの?」
透は答えられなかった




