交換
帰る時には雨はさっきより弱くなっていた
透と楓は下駄箱で
「終わったけど浩介も帰っちまったしな…
腹も減ったし…あ、そうだ楓」
「何でしょう。食事なら嫌です。」
透は負けた
「いや、まだ何も聞いてないじゃん。もしかしたら違うこと聞こうとしてたかもしれないじゃん!」
「へぇ。それならその貴方の言おうとしてたこと。ほら、言ってみてくださいよ。」
「うぅ…コイツ…」
透も粘るが最終的に折れて
「わーったよ。昼飯だよ。だけど何でダメなんだよ。」
「今さっき会ったばかりなのに行ける貴方の方がおかしいですよ。そういうのはですね、もっとこう親密度を深めてからというか…」
楓は早口でそう言う
「ともかく!行く気はありませんので!それじゃ、お先に失礼します!」
そう言うと彼女は帰ろうとした。
「ちょっと待って!じゃあせめて連絡先だけでも…」
楓は振り向かずに
「その心は?」
「そうだな。まぁ下心ではない事は確かだ。」
楓は振り向くと少し呆れた表情で
「それなら、まぁ良いですけど…」
と透に近づいてきた
(…もう少しそういう気持ちがあった方がこっちも納得しますし、まずそんな目ですら見られないというのは些か不満というものですがね…。)
「ん?どうした?」
「…!いえ、何でも。」
透と楓は連絡先を交換した
「…余計な連絡とかは要りませんからね。不要不急の連絡だけで十分ですから。」
「わーってるてば。そいじゃーな。」
「…あ、ハイ。それでは。」
少しも寂しそうにせず帰っている透の後ろ姿を見ながら、楓は少しため息を吐いた。




