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第3話 特別病棟〜記録の矛盾〜

霧切が3階に上がった頃、時刻は22:40頃であった。

「3階です。ここが『特別病棟』だった場所ですね」


(三階に上がった瞬間)


「……空気が、違いますね」


『温度?』

『雰囲気ヤバい』


「冷たいというより……重い」


【視聴中:381人】


『350人超えた!!』

『バズってるwww』

『フォロワー50人で草』

『銀盾狙えるぞこれwwwwww』


「……銀盾は、まだ先ですね」


(少し苦笑する。だが表情は硬い)


喉の奥が、ひりつく。

いつからか、水を飲んでいないことに気づいた。


(廊下を進む霧切)


『後ろに人いる』

『マジで』

『影が動いてる』

『霧切後ろ向いて』

『まとめサイトからきましたwww』


(霧切、振り返る)


「……何も見えません」


『いや確実に映ってた』

『消えた?』

『カメラに映らないやつ!』

『霧切には見えてないのか?』


「カメラには映っても、

僕の目には見えない……」


(初めて、声に緊張が混じる)


「……記録としては、残しておきます」



『特別病棟って何なの?』

『歴史的に価値あるな』

『記録残して』


(3階奥の小部屋。診療記録が残っている)


「昭和18年から20年の記録……

患者の入退院記録ですが」


(ページをめくる手が、わずかに震える)


「……全員、退院日が記録されていない」


『死亡記録は?』

『どこ行った?』


「死亡記録もありません。

最後のページに、『転送』とだけ」


『転送?』

『どこに転送?』

『転院じゃなくて??』


「……この病院には、地下があります」


(沈黙)


【視聴中 : 742人】


「『昭和20年2月1日。

3階に移された。

ここは特別病棟だと言われた。

窓に鉄格子がある』」


『隔離病棟?』

『精神科?』

『不穏すぎる』


「『2月10日。

毎晩、どこか下の階から音が聞こえる。

金属の音。

誰も教えてくれない』」


『地下?』

『手術室の音?』

『怖い』


「『2月20日。

体が痛い。

注射のせいだと思う。

先生は、これは治療だと言うが――』」


「戦時中、この病院は軍の指定病院でした。

表向きは『傷病兵の療養施設』ですが……」


(沈黙)


「記録に矛盾があります。

日記には『3階に移された』とありますが、

公式記録では『退院』になっている」


『どっちが本当?』

『隠蔽?』

『今、誰か立ってる……』

『患者のが信憑性が高い気がするな!』


「……どちらも記録です。

ただ、矛盾している」


『マジかよ』

『地下あんのかよ』

『行くしかないだろ!』

『いや危険すぎる!!』


(3階突き当たり、職員用通路の奥。下りの階段が見える。……これが地下への階段か?)


『行け行け』

『ここまで来たら行くしかない』

『チキるな』

『いや危険じゃないか?』


「……少し、休憩します」


『えー!!』

『もったいない』

『行けよ!俺たちが見てるから!!』

『ここで逃げたら笑うwww』

『チキったら登録解除なwww』


「10分後、地下に入ります」


配信継続。


【視聴中:589人】


表示された数字を見て、

霧切は一瞬、眉をひそめた。


(……さっき、700人超えてなかったか?)


3階滞在時間ー22:40〜23:20

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