麻痺
「誰が帰ってこいつったよ!」
そう言ったその男の顔は嫌悪感で歪んでいた。
「主人様ただいま帰りました」
「だから!なんで帰ってきやがったって聞いてんだよ!」
「任務がひと段落し先の事件で2人の安否確認で帰還しました」
「ふざけんな!」
騒ぎを聞きつけ外にいたエリーが駆けつけてきた。
「ちょっとお父さん!何してるの!」
「ああすまないエリー…ウッ!」
その時エリーの父が突然唸った。
「お父さん!パルジーいつものお願い」
「了解した。」
そしてパルジーはエリーの父の胸にそっと手を押し当てた。
「触んじゃねぇ!」
パルジーを腕で振り払おうとしたがその動作はすでに完了していた。
「大丈夫?お父さん」
「はぁ…はぁ…あぁ大丈夫だ」
(何かの発作?持病でも持ってんのかな?それにしてもロディオさんと同じく触れただけで…)
「ひとまず俺の前から消えろ!」
そう言われ俺とパルジーは外に出ようとしたがエリーによって引き止められた。
「大丈夫ここにいていいよ」
「いや、だけど」
狼狽えているとエリーの父は2階へと上がっていった。
「えっと、聞きたいことが色々あるんだけど聞いても良いやつなのかな?」
気まずい雰囲気の中俺はエリーに問いかけた。
「はい、答えれる範囲までなら答えます」
「じゃあエリーのお父さんはなんで片腕がないの?」
エリーは寂しそうな様子で口を開いた。
「16年前天使と魔人の間で国民を巻き込んだ大戦争が起こったんです。そこで父は片腕をなくしたんです」
「そんなことが…」
(今までそんな話聞いたことなかったぞ)
「じゃあもう一つだけ聞いて良いかな?なんで君のお父さんはパルジーを嫌ってるの?」
「パルジーはその戦争の最中にお父さんが拾ってきた孤児だったんです。だけどお父さん魔力の扱いに慣れてないからパルジーが魔人か天使かがわからないみたいで」
「え?でも天使だったら特戦員の人たちがわかるんじゃ…?」
「お父さん国のことを全く信じてなくて自分の目で確かめないと気が済まないらしいんです」
「そっかぁ…」
更に気まずい空気になってしまったその時パルジーがいきなり席を立った。
「俺にとって不必要な会話だ2人の安否も確認したから俺は帰る」
「待って!パルジー!」
そういうとパルジーは外に出ていった。
「すいませんせっかくきてもらったのに」
「いやいや俺が勝手に来ただけだから気にしないで…あのさ聞きたいことがあるんだけど天使と魔人の間の大戦争って何?」
「私も詳しいことは全然知りませんだけど…知りたいんですあの戦争の真相をきっと何か私達の知らない"黒い何か"があると思うんです」
「"黒い何か"か」
エリーと会話していると上からエリーの父が降りてきた。
「なんだ?パルジーの奴はどっか言ったのか?……お前は?」
「特戦員第8官ルーシーです」
「特戦員か…じゃあお前もとっとと出てけ」
「待ってください!あなたはなんでそんなに国を嫌ってるんですか?」
そういうとエリーの父は重い口調で喋った。
「そりゃあ国に俺の妻を殺されたからだ」
「国に?どういうことですか?」
「お前に教える義理はない、いいから帰れ」
「あの!じゃあ最後に体は大丈夫なんですか?怪我なんだったら俺の先輩に治せる人が…」
そう言いかけたが食い気味に返された。
「これは怪我じゃねぇかと言って病気でもねぇんだ」
「え?じゃあそれは一体?」
「毒だ」
「毒?それは一体?」
「戦争の後遺症だあの日以来この毒が俺の体を蝕んでやがんだ治りはしねぇだけどパルジーに痛みだけなら抑えられてる」
不満そうにそう言った。
「そんなことが……色々話させちゃってすみませんでした俺はこれで」
そして俺はエリーの家から出た。
("黒い何か"ってなんだ?"国に殺された"ってなんだ?わかんないことが多すぎる…よし!)
俺は特戦員の人たちの館へと歩き出した。
「ロディオさーん!いますかー?ロディオさーん!」
「うるせぇ…」
「おぉアル、お前もロディオさんに用があってきたのか?」
「だったらここに来ねぇよ」
「参ったなぁロディオさんがいないんだよなぁ」
困っているとユーキが話しかけてきた。
「あ!2人ともどうしたの?」
「ユーキ!…いやさぁロディオさんに色々聞きたくてきたんだけど」
「ロディオさんなら今居ないよ、あの人朝弱いから昼過ぎだったらいると思うんだけどねぇ」
「朝弱いって今は朝の10時だぞ」
「あ!だったらそこの書斎好きに使っちゃっていいよ、魔力学の本と歴史の本しかないけど」
「マジで!ありがとうユーキ!あれ?アルは?」
「俺も書斎を使えるのなら話は別だ」
そうして俺らはロディオさんの書斎を漁った。
「えーっと戦争戦争、あ!これだ!」
一冊の本を手に取った題名は"魔天戦争"俺はその本を開いた。
「なになに?16年前魔人と天使の間で対立が起きそしてその対立は戦争までに発展した。戦争では魔人軍が劣勢であったため当時****だった****は…なんだ?文字が掠れて読めねぇ…"国民を徴兵した"だって?!なんで国民を?!」
肝心の徴兵した人物は文字が掠れて読めなかった。疑問が募るばかりだったがエリーの言っていた"黒い何か"の正体が掴めた気がした。
「それにしても色々な本があるな、ん?」
その時俺はある本にふと目をやった。
「七大属性?なんだロディオさんが前言ってたのと同じこと書いてあるだけか」
そう思い本を閉じようとしたがあることに気づいた。
(待てよ、七大属性?ロディオさんが言ってた奴って六つじゃなかったっけ?)
そう思い俺はページをめくった。
「なんだこれ?最古の原初の魔力その名は"太陽"?」
少し疑問を抱きつつその本を元あった場所にしまった。
「えーっと毒に関する本とかないかなぁ?うーん…地下帝国、古代文明、双子の合成、なんか歴史っていうより神話っぽいやつしかないなぁ」
「なんか探しもんか?」
「うわぁ!」
いきなり声をかけられとても驚いた。
「あ!あなたはロディオさんと喧嘩してた、名前は確か…ビリー・フルトーテムさん!」
「ああ、なんか探してんのか?」
「はい、毒に関する本が欲しくて」
「毒?ここには魔力と歴史の本しかねぇぞ…魔力毒のことか?それならそこの4番目の本棚の2段目ら辺にあるぞ」
そう言われ探してみると本当に魔力毒についての本があった。
「ありがとうございます!でもなんで知ってたんですか?」
「ああ?そりゃここの書斎を一番使ってんのは俺だからだ」
「あんなに仲悪いのにですか?」
「仲悪いと本は関係ねぇだろ知りてぇことがあるから使うんだよ」
「なんでビリーさんはここに?」
「俺か?俺は魔能力について調べにきた」
「そう、ですか…」
会話が終わり2人の間には静寂が広がっていた。
(ちょっと気まずいな……それにしてもいつもみたいな乱暴な感じとは正反対だな、なんというかとっても落ち着いてる)
その様子を見て俺は少し話しかけてみたくなった。
「あの!なんで魔能力について調べてるんですか」
「そりゃあ俺の魔能力が異例中の異例だからだ」
「異例中の異例?というと?」
「人には話したくねぇな…まぁ一つ言えんのは俺の中には"鬼"がいる」
「鬼?」
(いつもの感じをみるともうすでに鬼だけどな)
そんなことを思っていると扉の向こうから誰かが走ってくる音が聞こえた。
「ビリー!ああよかったここにいた」
「ショーン?どうした?なんかあったか」
扉が取れんばかりに扉を開けて入ってきたのはショーンさんだった。
「あ!ルーシー君も一緒かちょうどいい2人とも来てくれ"緊急会議"だ!」
「緊急会議だって?なんで今なんだよ」
「とりあえず早く!」
かなり焦っていたので早くついていて行こうとしたがあることが気に掛かった。
「あ!アル!お前も一緒に!」
「俺はいい…」
即答に戸惑ったが急いでいたため強引に連れて行くことはしなかった。
「あの?緊急会議ってどういう要件なんですか?」
会合場所に向かってる途中俺はショーンさんに問いかけた。
「いや、俺もよく分かってないんだけどロルキさんがすごく焦ってたしただ事ではないのは確かだよ」
そう言われ俺はの中の緊張がぐっと引き締まった。
「みなさん緊急な呼び出しに応答してもらってありがとうございます。先に要件から言います…ヴィジュランと天使が手を組みました」
ロルキさんの口から告げられたその事実に俺はひどく驚いた。しかしそれは俺だけではなかった。
「何やと?!」
「天使と魔人が組むってどうゆうことだよ!」
「異例…というわけですね」
「はいそうですそしてヴィジュランがここに襲撃しにくるという情報も今掴みました」
「1人で特戦員全員相手にするなんてバカはどこにもいねぇだろヴィジュランは天使のどこと組みやがったんだ?」
ビリーさんの問いに対してロルキさんが重たく口を開いた。
「ヴィジュランが組んだのは"ミカエル八聖剣"です」




