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魔光とシアル  作者: syuu
新星魔界編
5/13

開戦


そこからの行動はとても迅速だった。

「ユーキ!全特戦員を外に集めろ」

「はい!」

「アル!俺たちも…」

アルにそう言いかけた時すでにアルの姿はなかった。

「速ッ!!」

慌ててロディオさんについて行き屋敷の外に出た。だがそこには地獄絵図が広がっていた街は炎で包まれそこかしこに自分の2倍以上の大きさをした我々魔人に似た人型の生物が街を荒らしていた。

「あいつらが"デスター"…」

「ユーキ民間の非難が最優先やお前はそっちに手え回せ」

「はい!」

そう命令されユーキは街中へと消えていった。

「ロディオさん!私!リルール・エルガット!ここに到着いたしました!」

「ただいま到着いたしました。」

「クソが!なんでロディオが指揮役なんだよ!」

「ビリー!今は従って!」

屋敷から特戦員の人たちが次々とやってきた。

「全員集まったみたいやな!ロルキは情報係やから現場指揮は俺が取る!ほな命令や誰も死ぬな!」

その瞬間特戦員の人たちは街中へと消えていった。

「よし!俺も!」

自分も戦地に行こうとした時ロディオさんに止められた。

「ルーシー俺らも自分のことで手一杯やお前を助けに行ける余裕はあらへんせやからなんかあったら戦わんでええ"逃げろ"」

そう言い残すとロディオさんも夜の街へと消えていった。

「なんかあったら逃げろか…」

その時自分の脳内にホロギスさんの言葉がよぎった。

「逃げてちゃ強くなれないよな」

そう覚悟を決め俺も夜の街へと消えていった。


炎に包まれた夜の街そこには人は1人もおらずすでに非難が完了した様子だったしかし、闇夜に1人の泣き声が聞こえてきた。その泣き声の正体は親と逸れて非難が遅れたであろう少女の姿だった。

「ママァー!ママァー!」

どれだけ呼んでも誰もくるはずがなかった。その時少女は路地裏の中に人影を見た。

「ママ?」

恐る恐るその人影に問いかけた。しかしそれは無情にも人ではなくかつて人であったはずの亡骸だった。

「キャァァーーーー!」

5歳にも満たないであろうその少女からするとその姿は他の何よりも恐ろしかっただろう。ぬいぐるみを抱きかかえ無我夢中に走り路地裏を抜けたしかし、声を、音を、立てすぎた。もうすでにその少女には魔の手が迫っていた。

「え?」

気づいた時にはもう遅く眼前にはすでに大口を開けこちらにかぶりつかんとする人型の怪物がこちらに迫ってきていた。

ギィィン!

甲高い金属音があたりに響いた。恐れ閉じていたまぶたを開けるとそこには16歳くらいの少年が自分を守っていた。

「速くッ!逃げて!」

すくむ足を無理やり動かしその怪物とは反対方向へと走っていった。

「ッラァ!」

デスターを振り払い距離をとった。

「よし!さっきの子はもういったみたいだな」

(それにしても今のこいつの力圧倒的に強かった…やっぱり人じゃねぇのか)

「すぐに終わらせて他のとこの加勢に…」

その時にはすでに自分の目の前には拳が映っていた。

「え?」

それに気づいた時にはもうすでに俺の体は宙を舞っていた。うつ伏せの状態で地面に体が落下し全身の骨が砕けるような痛みが襲った。

「カハァッ」

口から大量の血が流れ出した。いや最早そんなことはどうでも良くそれよりも今は直ちにに体を起こし構えることに焦っていた。

(速く立て!速く立て!速く立て!死ぬ!じゃないと死ぬ!)

ふらつく足を手で抑え剣をデスターに向けた。それを見たデスターはうめき声をあげこちら向かってきた。

「やばい…死ぬ…次当たったら絶対死ぬ…」

人生で初めて死が眼前にあることに恐怖を感じた。足がすくみ手が震え体の大部分が言うことをきかなかった。

 しかし、その時何者かが空から迫ってくるのを感じた。その気配の正体は地面に墜落するように着地しあたりに土煙が立ち上った。

「援軍か……?」

だがその希望はそれの姿をを見た途端絶望に変わった。

「そんな…バカな…」

土煙の中から出てきたのはうめき声をあげ目を赤く光らせたデスターだった。

「…クソッ!……うあぁぁぁ!」

半ばやけくそだった、叫び声を上げ自分を鼓舞しデスターに斬りかかっただがそんな攻撃通じるはずもなく。

「ッ!」

剣を折られ腕を掴まれ地面に叩きつけられた。

「ゴフッ」

さらに大量の血が口から吹き出た全身の力がなくなっていくのを感じた。これから殴りかからんとするとデスターの姿が見えたがもうすでに動ける力など残っていなかった。

ドゴッ!バキッ!

2体のデスターに殴られ蹴られ叩きつけられた。腕を掴まれ持ち上げれられデスターの口内が赤く光った。考えなくてもわかるきっとこれからとどめを刺すのだろうと直感した。

 朦朧とする意識の中ルドルさんの笑顔が横切った。そしてその隣でアリスさんとシェリーさんも一緒に笑っていた。だが2人の顔は血が流れ塗りつぶされた。

「うあぁぁぁっーーーっ!」

恐怖と絶望が体中を駆け巡った。

「俺のせいだ…俺が、俺があの場にいなかったから2人は死んだんだ…」

弱い自分に対する悔しさやあの時の後悔が自分を襲った。

「俺が弱いから…守れない…弱いから…死ぬんだ…」

諦めかけたその瞬間ルドルさんの姿を思い出した。

(お前がどこにいようともお前が生きてりゃ俺は1人じゃねぇ)そう言って豪快に笑うルドルさんの姿が脳裏によぎった。

「そうだ…俺が死んだらルドルさんを悲しませちまう俺が死んだらルドルさんを1人に…させちまうそんなのダメだ!」

(決めたんだ誰も誰も泣かせないって誰も悲しませないって)

走馬灯なのかはよくわからなかったが過去の自分と友達の会話が脳裏によぎった。

(「なぁなぁルーシーお前さそんだけ強いんだからなんか夢とかあんの?」 「…夢かぁ考えたこともなかったなぁ……よし!俺の夢は…」)

「俺の夢は!"誰も泣かない世界"を創る!」

その瞬間あの時のような拳に何かが纏うような感覚を感じた。だが今回はその拳に"黒い炎"が纏っていた。

「ッラァッ!」

デスターの顎目掛けその拳を振り上げる。

 それを食らったデスターは腕だけを残して跡形もなく塵とかしていた。それを見たもう一体のデスターは俺から距離を取り獣の様な咆哮を放ちこちらに突進してきた。

「シュゥゥ」

息を細く吐き呼吸を整え拳を体の後ろに構え左手を照準とするため前に構えた。一瞬のうちにデスターが目の前移動してきた。自分とデスターの距離が五十センチにも満たなくなったその瞬間俺は全霊で拳を前に突き出した。あたりには黒い炎が広がり爆発音が響いた。もうすでにあたりにデスターはおらずボロボロの体で立っている自分しかそこにはなかった。周辺には自分の勝利の雄叫びが響き渡っていた。


「やべぇ…体が動かねぇ」

脳内麻薬が出ていたのせいで忘れていたが自分はもう立てる様な体じゃなかった。

(こんなとこで気絶したらまた…デスターが)

薄れゆく意識の中聞こえたのはたくさんの人の声だった。

「あそこ!あそこのお兄ちゃんが助けてくれたの!」

その中には先ほどの少女の声が混ざっていた。そして俺の意識は闇に落ちた。

「お…ちゃ…お兄…ん…お兄ちゃん!」

「ッ!」

その言葉で目が覚め俺はベッドがら跳ね起きた。

「ここは?」

「ここはねみんながねあのお化けからね逃げてくるとこなんだよ」

「避難所ってことか…君怪我はない?」

「うん!お兄ちゃんが助けてくれたから大丈夫!」

その問いかけに対して女の子は笑顔と共に返答した。

(なんだかシェリーを見てるみたいだなぁ)

その時奥からドタドタと音を立てて病室に入ってきた人がいた。

「はぁ…よかったぁ生きてましたか」

「あなたは?」

見ず知らずの俺が生きていただけで随分と安堵してくれるその人にそう問いかけた。

「私はこの子の母親です。非難がもたついてしまってこの子と逸れてしまったんです。ですがあなたがこの子を見つけてくれてさらにデスターからも救っていただいたのでお礼をと思ってきました。」

「それはそれはお子さんが無事でよかったです」

「本当になんとお礼を言えば良いのか」

「いいんですよ人として当然のことをしたまでです」

「では!せめてお礼だけ言わせてください娘を救っていただき本当にありがとうございました!」

そう言われた自分の顔はきっと優しく笑っていたと思う。


同刻

「ユーキ!どうやそっちは?」

「はい!なんとか2体までは討伐できました」

「2体かいな!俺でも3体やれたでもっと頑張れや」

「もーこれでも結構頑張ったんですよ!」

「あっ胸やなくてちゃんと首の裏か横切っときしっかり死ぬからな」

「よくそんなこと知ってますね」

「まぁ色々本読んどるかんな…というかデスターの魔力が消えたなぁ全滅したか」

「そう見たいですね」

「じゃあすぐ戻るで非難民の誘導は他の魔兵に任せとき」

「え?なんでですか?」

ロディオさんが声のトーンを変え口を開いた。

「"黒幕"見つけたかもしれん」

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