始動
開いてくれて大変ありがとうございます
昼過ぎの魔界その日はいつも通り賑わっていた楽しげに笑う子供たちいつも以上に笑顔な街の人達、魔界は幸せに包まれていたただ1人を除いて
(何も見えない...何も聞こえない...違う..何も見たくない...何も聞きたくない)
「おい、あそこの男の子最近ここら辺で起きた殺傷事件の親族じゃねぇか?」
「ほんとだ可哀想に。」
周りの自分に対する哀れみの声すら自分の耳には雑音にしか聞こえなかった。
力無くふらふらと歩いていると柄の悪い男にぶつかった。
「チッ...痛ぇなどこ見て歩いてんだよ!」
胸ぐらを掴まれ鋭い眼光でこちらを睨みつけてきた。
自分で自分の顔を見ることはできないが、きっと恐ろしいほど生気を失った顔だったと思う。
「なんだぁ?こいつ...あ!よく見りゃここら辺で起きた殺傷事件のご親族様じゃねぇか!可哀想になぁだからこんな生気のねぇ幽霊みてぇな顔してんのか」
自分を嘲笑われてもなんの怒りも感じなかった。
「いやぁそれにしても可哀想だなぁあんな酷い殺され方したらそうもなるよなぁ野次馬として俺もいたがお前の親父もさぞ辛いだろうなぁ」
「あぁ?」
その時自分の頭の中で何かが切れる音がした。
「...に...わか...んだよ」
「あん?なんだって?持ってデケェ声で喋りやがれ」
「お前に!何がわかんだよ‼︎」
考えてみると自分がこんなことで怒るなんて思っていなかったどうしようもない怒りと悲しみの感情を八つ当たりのつもりでやったのだと思う。
その時俺の腕を後ろから掴んで止めた人がいた。
その男はフードを深く被り不気味な雰囲気を漂わせた男だった。
(こいつ...!あの時のぉ‼︎)
先程のチンピラに向けた怒りとは比べもになら程の腹底が煮えたぎるような怒りが湧いた。
「よくもっ!アリスさんとシェリーを‼︎」
この時あの日と同じ自分の拳に何かが纏う感覚があった。
その瞬間周辺には大きい衝撃波と爆発したかなような轟音が鳴り響いた。
怒りの感情を全て乗せた自分の拳は、そのフードを被った男にやすやすと受け止められたいた。
「おいおい、俺を誰と勘違いしてんだ?」
その衝撃波により男のフードがめくれた。
その顔はとても人殺しをするような邪悪に満ちた顔ではなく慈愛に満ちた優しい顔だった。
それを見た俺は何かが途切れたのか空気の抜けた風船のように力無く倒れた。
「...い...おい...おい!」
はっと目を覚ますとそこにはさっきの男がいた
「大丈夫か?...ん?」
男は俺の顔じっと見つめていた。
「お前ルーシーか?」
「え?」
「やっぱり!お前ルーシーだろ!いやぁ見ないうちに大きくなったんだな!」
正直混乱していた。ついさっきまで人生で感じたことのない怒りをぶつけた相手なのにその相手は自分を久しぶりに会った叔父のような反応をしている。
「えっ...とどこかで俺と会ったことありましたっけ?」
「あ?あーすまない紹介が遅れたな俺はお前の父親ルドルの旧友だ。昔お前の顔を見たことがあってなそれで覚えてた。...いやぁそれにしても16年というのは早いもんだ。」
(ルドルさんの旧友?ルドルさんから友達の話とか出てきたことないからてっきり友達がいないもんだと思ってたのに)
「で、ひとまずそれは置いといてお前あのままあのチンピラ殴ってたらあいつ死んでたぞ。」
「す、すいません」
「何があったんだ俺でよかったら話してみろ」
「はい」
「そうか...そんなことが..すまんなそんなこと聞いちまって。」
ルドルさんの友人は少し考え俺に問いかける。
「なぁルーシーお前魔兵になってみないか?」
突然の提案にかなり戸惑った。
「ま、魔兵?なんで俺が」
「いや、明確な理由はないんだけどお前みたいに地獄を見た奴ほど入るべきだと思ってる。」
「それは...どうして?」
「んーどうしてと聞かれたら返答に困るが...お前、もう地獄を見たくないし見せたくないだろ?」
「そうですけどでも、俺は」
「それとも何か?母親と妹殺されましたはい俺可哀想でしょってお前の親父や他人に縋るのか?」
食い気味に返答され少し動揺した
「お前の親父にもう地獄を見せずお前と面識のない他人にはこれから先地獄を見せないようにするそれが魔兵だ、失ったものを失ったままにするな失ったならこれ以上失わせるな」
「でも!俺は!すぐに立ち直れるほど強くない…」
そう言った途端に俺はその男の人に胸ぐらを掴まれた。
「お前が今どれだけ辛いか俺にはわかんねぇけどな自分は弱いです立ち直るために時間をくださいって言ってそれで強くなれると思えんのか!答えろ!お前はどうなりたい!」
もしかしたら気付かぬうちに自分は誰かに助けて欲しかったのかもしれない無意識に人気の多い街に出て誰が見てもわかるような暗い顔していた。自分自身の問題を他人にも共用し一人で解決しようとしない...情けない、なら次は誰かに縋るのではなく誰かを救う存在になる。それが今自分ができる一番のけじめだと思った。そしてそれを気づかせてくれたこの人が今俺をその誰かを救える存在になるチャンスをくれている。なら...
「俺は……強くなりたいです」
そう言うと男の人の顔は少し明るくなった。
「じゃあもう一度聞くルーシー!魔兵になるか?」
答えは決まっている!
「え...えぇ!?こ、ここって?魔城?な、なんで俺が魔兵になるだけなのに魔兵の本拠地でもある魔城に?」
眼前には見たこともないような山のような城がありそこにある何もかもが大きかった。
「何か問題でもあるか?」
(そ、そんなあたり前みたいな顔されても)
「それにお前に合わせたい奴がいる今年の新人は豊作だぞ」
「し、新人?」
あまりの軽さにに気が抜けそうになったがそれはすぐに緊張へと変わった。
「誰こいつ?」
気づいた時にはすでに俺の目の前にその人は立っていた。
(い、いつのまに!)
その声と共に現れたのは白色の髪に蛇のような鋭い眼光と金色の瞳を持ち尋常じゃないほどの魔力を放った人物だった。
(だ、誰だあまりにも魔力量が違いすぎる)
俺は全身の穴から汗が吹き出るのを肌で感じた。
「リゼ、初対面なのにそんなに魔力を飛ばすな失神しちまうだろ」
(リゼ?どこかで聞いた名前だ確か...現魔界の最高戦力にして歴代最年少で魔兵の頂点四大魔王へと上り詰めた天才.....へ?じ、じ、じゃあこの目の前にいるこの人が?!)
「四大魔王リゼ・アルカルス?!」
「最近のクソガキは俺のことを呼び捨てにするのか、なるほどクソ生意気ってことはわかった。」
「リゼ!そこらへんにしとけ」
「リ、リゼ・アルカルス様ほ、本日はお日柄も良くいい天気ですね〜。」
「同じこと言ってんぞ...リゼ紹介しよう今日から魔兵になるルーシー、ルドルの息子だ」
「あぁルドルさんの息子か」
「ん?え?ルドルさんってそんな有名な人だったんですか?」
でも確かによく考えてみれば最近大出世したロルキさんにも慕われていて俺の家も他の家の1.5倍くらいもあるし、ルドルさんって本当はすげぇ人なのか?
「俺の父親ってそんなすごい人なんですか?」
「あぁお前の父親はすごい人だったよ。」
そう言った男の人の顔は少し寂しそうだった
内心信じられない気持ちしかなかった。
「まぁそんなことは置いといてリゼ中を案内してくれ」
「えーめんどいなぁ」
そうして俺と男の人はリゼさんに案内され王室へと連れられた。
「うぉーすげぇ」
王室には煌びやかなシャンデリアや金色の像目に入れるのが勿体無いほどのものが立ち並んでいた。そしてそのどれよりも異彩を放っていたのが中央にある玉座であった。
「あれに魔界の最高権力者である魔帝が座るんですよね」
「あぁそうだ、リゼ今からここで任命式をとり行うあいつを連れてきてくれ」
(今更だけどなんでこの人はリゼさん敬語も使わずに命令までしてるんだろう?)
「あの!なんでリゼさんに対して敬語も使わず命令までできるんですか?そんなことできるのは魔帝ぐらいしかいないはず」
少しその男はキョトンとした顔して微笑した。
「あーごめんごめんそういえば言ってなかったなじゃあ改めてもう一度自己紹介をしよう」
するとその男は目の前の玉座にゆっくりと座った
「俺の名前はホロギス、魔帝だ」
「えーー‼︎?あなたが魔帝?!」
「そう!さぁリゼもうあいつはいるか?」
俺の反応もすぐにあしらわれ話が進められた俺は立て続けに起こる衝撃の事実に倒れ込みそうになった
「じゃあいいぞ入ってくれ」
その言葉と共に現れたのは俺と同じくらいの歳の黒髪の少年だった。その少年はこちらを見ると顔をしかめ嫌な目つきをした。
(なんだこいつ?初対面なのに感じ悪ぃ)
「それでは任命式を行うまず最初にアル・グランス・ロブロートお前を魔将筆頭に任命する!」
(魔将筆頭?!俺と同じくらいの歳に見えるのに魔将筆頭?!)
「そしてルーシーお前を...特戦員第8官に任命する!」
「え?!えーーー?!」
この日がルーシーが魔兵としての人生を歩む大きな一歩となったのであった。
読んでくれてありがとうございます次回もお楽しみに




