亀裂
「いやいやいや、あれを一人は流石に無理だろ二人いるんだから二人でやんないと」
「黙れ、俺は一人でやるお前はそこで見ていろ」
「おい!待ってって!」
アルを止めようと肩を掴もうとしたがアルは一瞬でその場から姿を消した。目線を前にやるとそこには7体のデスターをもろともせず奮闘するアルの姿があった。
「マジかよ……一人で7体も」
加勢に行こうと足を動かした。
「うお!」
その瞬間俺の足元に魔力弾が飛んできた。
「三度目だ、俺と共闘するな」
俺は強制的に共闘の道筋をたたれてしまった。
(数が多いな…しかし捌き切る)
そしてアルは次々にデスターを薙ぎ払っていった。
「一体目…」
時には剣で。
「三体目!」
時には素手で。
「五体目!!」
時には魔力で、デスターたちの追随を許さないほどに彼は奮闘した。その戦う姿はまさしく"鬼神"魔将筆頭という肩書きにも劣らないほどの強さだった。
「六体目……」
(これであと一体……確かあそこに、ッ!いない!)
アルは辺りを見回すがデスターの姿はなかった。それもそのはずその影は頭上に迫ってきていた。
「ッ!」
「オラァッ!」
上から攻撃を仕掛けようとするデスターの横顔を全霊の拳で打ち抜いた。
「ふぅ、危なかったな大丈夫か?」
立ち上がらせるために差し伸べた手だったがその手は強く振り払われた。
「ふざけんな、誰が助けろっていた」
「お前、俺がいなきゃ重傷だったぞ」
「そんなことお前が勝手に決めんな」
アルはスっと立ち上がり建物の奥へと歩いていった。
「なぁアル!なんでお前そんなに共闘すること嫌がってんだよ!特戦員の人たちとも仲良くなろうとしないし」
「お前には関係ないこれ以上ついてくるな」
俺は歩くスピードを上げアルの前に立った。
「教えてくれ、相棒として知る権利がある」
「相棒だと?お前とそんな親密な関係になった覚えは無い」
「頼むよ……アル、お前に一体何があったんだよ」
どうしても何があったのか聞きたい俺にアルは痺れを切らし遂に声を荒げた。
「いい加減うざったいぞルーシー!人の事情にズカズカ入り込んでんじゃねぇぞ!」
「確かに、俺の今の行動は正しくは無い…だけど!お前の力になってやりたいんだよ!」
「だからそんなの頼んでねぇって言ってんだ!」
その瞬間アルは地面を殴り地盤をひっくり返した。
「はぁ…はぁ…はぁ」
「アル……どうしてここまで」
「俺が共闘しねぇのは俺が"最強"だからだ!最強の奴に仲間なんかいらねぇだろ!」
「最強?」
「だからもう俺これ以上構うな!」
声を荒げるアルに俺は冷静に言葉を返す。
「まぁでもやっと言ってくれたか…」
そして俺は少し口角を上げた。
「最強なのが理由か……これで解決策がわかったぜ、じゃあよ俺がお前ぶっ倒したら俺が最強ってことだろ、最強じゃないお前は俺と共闘するしかないよな」
するとアルはとてつもない怒気を纏った。
「あぁ?てめぇ何言ってやがんだ!」
「俺がお前を最強から引きずり下ろしてやる!」
俺はアルに拳を構えた。
約10分前
「おーい誰かおらんのかー!……ほんまに分断とかいっちゃんめんどくさいで全く…………なんのようや?お前ら」
ロディオが気配を感じ取り後ろの二人を止まらせた。
「いやはやこんな近くまで近寄れるとは案外チョロいですねー特戦員」
「いつでも殺せたね」
奥から前髪の一部が垂れ下がった片眼鏡をつけた男と猫背の葉色の髪色をした長髪の男が現れた。
「なんや逆にいつでも殺せたのに殺さんかったんか?それこそチョロいな〜」
相手の発言にロディオは飄々な態度で返した。
「あなたには聞きたいことなどありますからねー死んでは困るのです。では自己紹介をどうもー私の名はフルメル・アルナタスですーこっちのはリリ・シェパロルよろしくー」
「まぁでも事情が変わったらすぐ殺すからね覚悟してね」
そしてロディオがいやらしく口角を上げた。
「なんや?脅しかいな?お〜怖、せやけど君ら俺を抑えるにしては弱すぎんか?」
「は?」
「は?」
「怒んなって魔力量だけの話や鵜呑みにせんでええんやけど君らどうせ八聖剣やろそれにしては随分と全体ステータスが低いな思ってな〜」
圧倒的な挑発に八聖剣の奴らは見事に乗せられた。
「そうですか殺さなければいいので半殺しにしてやりますよ!」
「殺すね今すぐね」
同刻
「ここどこだオラァ!さっきのムカつく笑い方してた奴どこだよ!出てこいぶっ殺してやる!」
ビリーはどこのかもわからない洞窟に飛ばされていた。
(いや、最悪にムカつくが今は冷静になれさっきの地面の液状化多分あれは魔能力…デスターには魔能力はねぇからミカエル八聖剣の奴らかヴィジュランだな、で一回地中に引きずり込まれたからここは地中って考えていいのか?……それよりも)
考えながら歩いているとビリーは何かにぶつかって倒れた。
「痛ってぇ!何だゴラァ!」
途端にビリーは炎であかりを確保したその瞬間眼前に映ったのは顔面だった。
「うおぉーーー!ってんお?」
「うぎゃぁーー!ってあれ?」
眼前にあったのが顔面といえど二人はその顔面に見覚えがあった。
「ショーン……なんでお前がここにいんだよ」
「それはこっちのセリフだよビリー……俺は1キロくらい歩いたのになんでこんなびっくりしないといけないんだよ…ともかくなんとかここから出る方法を探さないと……」
ショーンが後ろを振り向いた瞬間ショーンの眼前にはまた顔面があった。
「ばあ!」
「うぎゃぁーーーー!!」
ショーンは咄嗟に拳をその顔面目掛けて突き出したがその拳は壁に当たって壁にヒビが入っただけだった。
「全く危ないなぁ」
洞窟の天井からニョキッとそいつは顔を出した。
「よ!私の名前はエルオン・テラでーす。エルちゃんでもテラちゃんでもどっちでもいいよちなみに私〜ミカエル八聖剣でーすよろしく〜」
「ミカエル八聖剣?!」
「そそ!だから君たちの敵!上の命令でねーあんたら殺せっていわれてるから」
その時頭だけ出ていたはずの天井から腕が飛び出してきた。
「フッ!」
ショーンはそれを華麗に避けた。ショーンをギロリと睨んでエルオンは口角を上げた。
「君たちを!殺しちゃいます!」
ショーンが壁を殴ったのが原因で洞窟内に土埃が広がった。
「おい!コラァ!ショーン!何してんだ!ゲホッゲホッなんかあったのか?すぐにそっちに行……」
ビリーの進行を止めるかのようにビリーの頭上から拳が落ちてきた。
「おひょひょひょひょひょいけませんじょエルオンお嬢のとこには行かせませんじょ」
その拳の正体は身長は2メートルを有に超えるであろう体躯を持った巨漢の男だった。
「なんだクソハゲデブそこどけろ殺すぞ」
「それは無理ですじょ私はあなたを殺すよう命令されましたので私が退くのはあなたを殺してからですじょ」
「そうかよ!じゃあ俺もてめぇぶっ殺してから行くわ!まずその気色悪りぃ喋り方するその口からぶっ殺してやるよ!」
ビリーの目が赤色に光った。
同刻
「うーん…はっ!こ、ここは?」
ユーキは地上で目を覚ました。
「地上?なんで地上に…」
ユーキが目を擦り前を向くと目の前には小柄な女が立っていた。
(だ、誰だ?こんなとこに人がいるなんて)
「あ、あのー!ここどこですかね?」
ユーキは遠くにいる女の子に自分がいる場所を聞いた。だがその瞬間にはその女は姿を消していた。
「あれ?さっきあそこにいたはずなのに」
「キシシッ随分と警戒もなく近寄ってくるんだね」
先ほどの女はユーキの背後にいつのまにか現れておりユーキに覆い被さるように背後を取った。
「ッ!」
「遅いよ」
そして彼女はユーキの首筋に指装甲を突き立て一気に切り抜いた。
同刻 街中
「ふぅ〜これで18体目ですね!ジーアス!何体やりました?」
リルールはそういうとデスターに刺さっていた剣を引き抜いた。奥からデスターの返り血がかかったであろうパルジーが歩いてきた。
「12体」
「エクセレント!これで終わりですね!……それにしても雷の魔力で連絡を飛ばしたのに増援が来ませんでしたね。かれこれ10分は経っているというのに」
「あちら側も何者かの襲撃を受けて増援に来れない状況にあると思う」
「そうですね…では!我々が!増援に向かいましょう!」
「了解した……」
パルジーがリルールの方に目をやるとすでにリルールはそこにいなかった。
「シュッ!」
パルジーが攻撃の構えを取り当たりを見回す。
「まぁそうしないための俺らなんだよなぁ〜」
暗闇のに包まれた路地裏の中から朱殷色の髪色をしたナイフを持った男が現れた。
「魔力探知結果お前は天使と断定した。この状況において最も危険な個体だ…直ちに排除する」
この時すでに特戦員全員は天使の手の上で踊らされていた。




