59.魔物の破壊行進を伝えるため冒険者ギルドへ
「みんな、片付けを急いで!!」
今日は楽しかったねぇ、また来たいなぁ、なんて楽しそうに話しをしながら、片付けをしていたセレン達に。片付けを急ぐように言い、僕もみんなの片付けを手伝う。
最初は驚いていたセレン達だけど、僕とアンセルの様子に何かを感じたのか、すぐに黙って片付けをしてくれた。
そして全部の片付けが終わると、セレンとモグーとハピちゃんは、僕の肩や頭に乗って。テディーはアンセルの背中に乗って。小さいと言っても、テディーよりもアンセルの方が大きいからな。背中に乗せて走った方が速いってアンセルが。
こうして僕達は冒険者ギルドへと向かって走り始めた。何で父さん達が反対側へ調査へ行っている時に! でも夕方までには帰って来るって、お母さんに言っていたみたいだから大丈夫かな?
『アーベル? どうしたの?』
『何があったんだ?』
『慌ててる、アーベルとアンセル』
『パパ、どうかしたの?』
みんなに隠しているのもな。街の方へ進んでいるなら、どうせ後で分かる事だし。僕は走りながらセレン達に何が起こっているのかを話した。そうしたらみんなやっぱり話には聞いていたけど、誰も見た事がなかった。
まぁセレンは小さい頃から僕と一緒だし、モグーはセレンよりも外にいた期間が長いけど、同じよなものだし。ハピちゃんは街の近くで生まれて、ハピちゃんも同じようなもの。だからみんなが魔獣の破壊行進を見る事はなかった。
『どのくらい魔獣?』
『いっぱい、50匹くらいか?』
『いっぱい、1、2、3……、10いっぱい』
ハピちゃんのいっぱいは、10以上は全部いっぱいになる。
『10や50ではない。300以上だ』
『300!? ……300? いっぱい?』
『300はいっぱい?』
『300?』
『パパ、300は葉っぱだとどのくらいふわふわ』
あー、ハピちゃんじゃないけど、数字が大き過ぎて、みんなよく分かっていないし、テディーの例えがなんとも。
『……ああ、そうだな。ふかふかの葉っぱのベッドになるぞ。しまった、分からなかったか』
アンセルも思わず今までの険しい顔から、なんともいえない顔になった。ここで数の勉強をしている場合じゃないから、家に戻って教える時間があったら教えるってことにした。
そうしてセレン達が数について話し合っている間に、僕達は冒険者ギルドに到着。中に入ると受付に、メリアさんの姿を見て安心する。アドルフさんを呼んでもらうのに、いちいち説明をしなくて済むからだ。
僕には色々あるからって、僕がアドルフさんを呼んだ時は、すぐに自分の所へ呼ぶようにって。アドルフさんがメリアさんに言っておいてくれたんだ。
急いでメリアさんの所へ行き列に並ぶ。ここで騒いで目立つのはまだダメだ。僕は今ここで言うつもりはないけれど、でも何かの拍子にこの事実が伝わったら? そして聞いた人達が外の人達に伝えたら? 街がパニックになりかねない。
幸い並んでいたのは2人だったから、そこまで待たなくて済む。だけどちょっと焦りながら、自分の番を待つ。
「次の方どうぞ。アーベル君、今日は依頼を受けていたかしら?」
「いえ、依頼ではなく、アドルフさんに用事が。急用です。それもこの街に関わる、重大なことで」
「!! 分かりました。すぐにマスター室へ」
メリアさんに連れられて、俺はアドルフさんがいるマスター室へ。僕がマスター室へ行くのは、別に珍しいことじゃない。アドルフさんは馬鹿をやった冒険者を叱る時や、冒険者なりたての、頑張っている冒険者なんかを褒めるのに、よくマスター室へ呼ぶんだよ。だから行くこと自体は、何も不思議はないんだ。
「マスター、アーベル君がマスターに話があると」
「おう、入れ!」
アドルフさんの声が聞こえて、メリアさんがドアを開けてくれる。僕はすぐにお辞儀をして中へ。メリアさんは僕が中へ入ると、そのままドアを閉めて戻って行った。
「まぁ、座れる。話は座って落ち着いてだ」
アドルフさんにそう言われて、俺はアドルフさんの仕事机の前に置いてあった椅子に座った。
「おう、それで今日はどうした? 何か登録で問題でも起きたか? それとも何か他に問題が?」
「登録のことじゃないません。でも大問題です」
「何だ、そんな怖い顔して。何処かで揉め事でも起きてるか? それとも……」
「街にとっての大問題なんです。僕にはそれは分からないんですけど」
『おい、俺の話しを伝えてくれ』
「分かった。ギルドマスター、アンセルから話が」
「分かった、聞こう」
『魔獣の破壊行進が始まった。進行方向はこの街で、今のスピードだと明日の午前中には到達するぞ』
僕は言われたそのままをアドルフさんに伝えた。それを聞いた瞬間に、アドルフさんが立ち上がって叫んだ。
「何だと!! それは本当か!!」
だけどすぐにハッとして、チッと舌打ちをした後、すぐに座り直した。あまり大声だとマスター室とはいえ、外に声が漏れるからな。
「それは本当か? 目撃したのか?」
深呼吸をした後、アドルフさんは普通の声のトーンで話し始める。
「いいえ、まだ姿は確認できていませんが、気配で分かると。その数およそ300」
「…‥300か。俺達みたいな力がある奴らは、少しは気配は分かるが、やはり野生を生きている、力がある魔獣ほどはな。お前がそう言うのなら、そうなんだろう。はぁ、魔物の破壊行進かよ。何だってそんな面倒なもんが。しかもこっちに向かって来ているだと」
『魔物種類は、そこまで強い者はいないが。それでもお前達が中級としている魔物達が集まっている。どんなによわい魔物でも、数が多ければそれだけで厄介なことになる。対策を取らなければこの街は終わりだぞ』
「中級が300か。上級や特級は全くいないか?」
『今のところはな。だが、魔物の破壊行進は、予想外の事が起こりやすい。もしかしたらこの後現れる可能性も十分ある』
そのまま僕達は話しを続けた。




