56.調査の報告
今日はカロリーナの家族と一緒に、夕食を食べることになっている。アンセル達が一応の家族になったから、それのお祝いパーティーって名目だ。
とりあえず帰りながらお店に寄って食材を買って。その後一旦カロリーナは自分の家へ。でもすぐに僕の家に来て、夕飯の支度が始まるまで。庭でセレン達の訓練を始めた。
テディーは見学だ。薬が効いて、体がしっかりしてくるまでは、魔法を使った訓練はダメってお母さんに言われたんだよ。無理をすればまた病気になるからな。それの繰り返しじゃ、いつまで経ってもテディーは元気になれない。
テディーはそのことを、ちゃんと理解してくれて。みんなが魔法の訓練をしている時は、みんなの応援をしてくれている。
ただ、だからといって、全然動かないのは、逆に体力面でどんどん弱くなっちゃうから。動きに関するものは時間を決めて、セレン達と一緒に訓練をしているんだ。
テディーにどんな事がやりたいか聞いたら、セレンみたいに、引っ掻く攻撃がやりたいって。アンセルの鋭い爪を出して、敵を攻撃する姿が好きだと。だからいつか自分もアンセルみたいに格好よく、引っ掻く攻撃をしたいらしい。
アンセルはそれを聞いて、喜びすぎて最初の訓練の時に、訓練をやり過ぎそうになって。物凄い勢いで、お母さんに怒られていた。まぁ、やり過ぎはいけないって言われていたのに、親であるアンセルがやり過ぎそうになったんだからな。
「よし、今日はコレで終わりにしよう。後はテディーと訓練だろう?」
『『『ありがとうございました!!』』』
「ありがとうございました、って」
「フッ、どういたしまして」
みんなの訓練が終わって、応援していたテディーが、急いでみんなの所へ走っていく。
『ぼくも一緒!!』
『うん、一緒に訓練!!』
『ちゃんと時間守るぞ!!』
『お約束、大事!!』
『うん!!』
うんうん、アンセルよりも、しっかりと分かっているじゃないか。動きの方は、一応そのままアンセルが見てくれることになった。お母さんの監視付きだけど。
もう少しちゃんと時間を守って教えられるって、確信が持てるまでは、お母さんは監視するって言っていたよ。
『よし! 今日は昨日の復習からだ!!』
『『『『はい!!』』』』
みんなの訓練を見ていると、洋服を着替えてきたカロリーナが僕の隣に座った。
「みんな凄い。少し教えただけで、色々できるようになる。アーベル、しっかりしないと、すぐに抜かれる」
「ははっ、確かにいつか抜かれるかもね。でも、みんなが強くなるのは嬉しいから、それで良いんだ。ただ、回復魔法だけは、もっとしっかりと勉強しないと。みんなが強くなると、その分怪我も増えるかもしれないからね」
「攻撃も強くならないとダメ」
「なれれば良いけど、こればかりはね」
「大丈夫、アーベルは強くなれる。ジークよりは確実に強くなれる」
「どこからそんな自信が?」
「あいつがただ力を使うだけの人間になったら大変。だから強くなるんだ」
カロリーナの言う通り、あいつの力はなぁ。変に強い力を授かったから、その力を使って、余計な事をしないかだけが心配だ。その力を魔獣を奪うことに使おうとしたら?
阻止されるだろうし、訴えられるだろうけど、それでも絡まれた人達が、傷つかないとは言い切れない。もしも酷い傷を負ってしまったら? そんなこと許されるわけがない。
「まぁ、できるだけやってみるよ」
「ダメ、絶対」
「はいはい」
そんな話しをしながら、みんなの訓練を見ながら時間は過ぎていき。訓練が終われば夕飯の準備をして。カロリーナの両親が仕事から帰ってくると、いよいよパーティーの始まりだ。と、思ったら、何とこんな時に来客が。
でも大切な来客だったから、セレン達には何とか我慢してもらって、話しを聞くことになった。なにしろ話しと言うのは、この前アンセル達を、そして小さな女の子を襲った、オークジェネラルについてだったからだ。
みんなが初めて家に来た日の夜、襲われたこちについて詳しく話しを聞いたお父さん達。すぐに冒険者ギルドと商業ギルドに連絡をし、オークジェネラルの調査隊が組まれた。もしも襲って来たオークジェネラルがあの森にまだいれば、大変なことになるからな。
「それで、何か見つかったか? オークジェネラル以外に他のオークや、何か変わったことは?」
「森全体と他の場所も探したんですが、オークジェネラルを発見する事はできませんでした」
「そう、それは良かったわ」」
「しかし、気になる事が」
「気になる事?」
「オークジェネラルはいませんでしたが。やたらと魔獣達の足跡が残っている場所が。ですが足跡だけで、存在自体を確認することはできず。足跡の種類を確認したところ、最低でも15種類の足跡が。しかもあの森にしては、レベルの高い魔獣達の足跡で」
「なるほど。まずはオークジェネラルが見つからなかったのは良いことだが」
「足跡が15種類も。同じ場所に?」
「はい。同じ箇所にまとまって」
「それはおかしいわね。何で1箇所なのか。もしも魔獣同士で争うとしても、いっぺんにそんなに集まって戦うことは」
「そこだけもう1度、調べた方が良いかもしれないな」
「確かにその方が良いかもしれないわね」
「はい。アドルフ様達も同じことを。なので再度調査する事が決まりました」
「そうか。なら俺もそれに加わろう」
「そうね、その方が良いかもしれないわね。アドルフ達にそう伝えてくれるかしら」
「分かりました。では私はこれで」
「ああ、報告ありがとう」
「そうだわ、これを持っていって」
お母さんが作り過ぎた料理を、報告しに来てくれた人に渡した。
「みんなで分けて」
「ありがとうございます!」
こうして報告は終わり、僕達はようやくパーティーを始めたんだけど。オークジェネラルは本当にもういないのか? どこかに隠れているってことは?
でも隅々まで探したって言っていたしな。それに魔獣の足跡も気になるし……。何も起きなければ良いけど。




