53.隠蔽魔法と、無事登録終了
と、いうことで、登録前にあれを選ぶ事に。ほら登録の石と、それを付けるリボンを選ばないとな。
まず子ベアーだけど、子ベアーは真っ白な、ちょっとひらべっつたい丸い石を選んだ。自分の毛の色が真っ白だから、白い石が良いって。
それから形なんだけど、別にこの形じゃなくちゃいけないってことじゃなく。これから石にある事をする事になったから、それをするにはこの形がやりやすいんじゃないかって。
セレンの石には月マークが付いてるだろう? 子ベアーは自分もそういうマークが欲しいって。実は石に絵を描いてくれる専門の人がいて、好きな絵を描いてもらえるんだ。だから登録の後にその人のお店へ行くことに。
それで描いて貰うなら、平らな面の方が良いだろうってことで、平で平べったい、丸い石を選んだんだ。
子ベアーは石に、雪の結晶を描いて貰うんだって。アンセルが雪魔法を使うと、綺麗な雪の結晶が見られるみたいで、それを描いて貰いたいらしい。
それからリボンも白で、周りがヒラヒラのレースが付いている物を選んだ。全部が白の、子ベアーらしいチョイスだった。
そしてアンセルだけど。アンセルは真っ黒な平べったい丸い石を選んで、後で子ベアーと一緒に、雪の結晶の絵を描いてもらう事に。
それからリボンじゃなくて、皮の紐を選んだアンセル。ここでアドルフさんが特別にって。子サイズの革紐以外に、もう1本革紐をくれたんだ。大人サイズのアンセルの腕に合わせた革紐だ。
「いつか。そうだな。少しずつ成長した、みたいに見せかけて、将来的にこの革紐を使っても良いし。何かあって本来の姿じゃないといけない時が来た場合に、これを使えば良い。両方あった方が良いだろう?」
そう言ってもう1本くれたんだよ。本当は最初に貰えるリボンは無料だけど、2本目から有料なんだ。だけど今回は俺がレベルの高い魔獣と契約できたってことで、それのお祝いだってくれたんだ。
本当はもっと大々的に言えれば良いけど、さっきも話していた通り、色々問題があって祝えないからって。それの代わりだそうだ。アドルフさん、ありがとう!!
アンセル達の石とリボンを選び終わったら、いよいよ登録だ。セレン達と同じ方法で、子ベアーはかなり緊張していたけれど、なんの問題もなく登録することができた。
そして問題のアンセルの方だけど。登録自体は、なんの問題もなくすることができた。が、ここからが凄かった。
このまま登録の石を確認すれば、アンセルが成獣だとバレてしまう。しかし、ここでアドルフさんの出番だ。
なんとアドルフさん、隠蔽魔法が使えるらしい。この魔法もなかなか授かれる物ではなく、珍しい魔法ってことで人気が高い。だけど魔法が魔法ってことで、国に登録が必要で、勝手に使えないはずなんだけど。
「隠蔽だぞ? 色々とその辺は上手くやったのさ」
ニヤッと笑うアドルフさん。ああ、そうですか、色々やったんですね。国の報告に関しても、なんだそれ? と言われてしまった。うん、これについてはもう聞かないようにしよう。
と、いうことで、アンセルの登録の石に隠蔽魔法をかけて貰うとに。そして魔法が終わって確認すれば、あら不思議。今までは成獣として登録されていたアンセルの情報が、子ベアーへと変化した。
『パパ、ぼくとおなじ?』
『ああ、同じだぞ』
『パパとお揃い……。えへへ、嬉しいねぇ』
子ベアー、お揃いがよほど嬉しかったらしい。ずっとニコニコが止まらず、セレン達も釣られてニコニコしている。
「よし!! これで隠蔽もバッチリだな。良いか、これは本当に大切な魔法だからな。誰にも言うんじゃないぞ!」
『『『『はいっ!!』』』』
みんなが一斉に返事をする。僕はもちろん、アドルフさんの秘密を他人に話すことはない。だって僕のために、そしてアンセルや子ベアーのために、ここまでしてくれたんだ。
そしてセレン達も、約束は守るだろう。というか、セレン達は自分達で内緒事を作ると、僕にも絶対に話してくれないほど口が硬いんだよ。まぁ、本当に、魔法か何かで抑えているんじゃないかってほど硬い。だから子ベアーもそれの合わせて、きっと話さないんじゃないかな。
こうして登録が無事にすんだ僕達。さぁ、商業ギルドだと、僕が立ち上がると。アドルフさんがまだやる事があるだろうって。何のことだろうと考えていると。
「お前なぁ。アンセルの登録だけ隠蔽しても仕方がないだろう。お前の方の情報も隠蔽しなくてどうする」
「ああ!!」
「ああ!! じゃないだろう、ああ!! じゃ。まったくお前は」
アドルフさんに思い切りため息を吐かれた。それからダメだこいつ、みたいな感じで見てきて。そんな顔で見なくても良いじゃないか。
ということで、俺も隠蔽魔法をかけて貰うことに。隠蔽魔法って、物にかけられるだけじゃなくて、人にもかけられるんだな。
登録の石同様、俺の隠蔽もすぐに終わった。魔法をかけられている時に、何か変わった感じがするってこともなくて、本当にただそのままで座っているだけで終わり。
そして僕の情報を確認すれば、しっかりと隠蔽できていて、これで今度こそ完璧になった。
「じゃあ、とりあえずこれで終わりだが、何かあったら言いに来い。俺に出来ることだったら、お前の力になってやる」
「ありがとうございます」
「それと、お前が子供のスノーベアーだとしても、契約したとなったら、奴が煩いだろうが、その辺はうまくやれよ」
奴とはジークの事だろう。同じ学校に通っているからな。クラスは違うのに、わざわざ僕の絡みに来ることも。まったく面倒な奴だ。僕なんて放っておけば良いのに。
まぁ、絡んで来る理由は大体分かってるんだけど。僕をそれに巻き込まないでほしい。
「これから商業ギルドにも寄るんだろう?」
「ああ」
「じゃあ、あいつにも隠蔽のことは言っとけ。まぁ、言わなくてもこの状況を話せば分かるだろうが」
「アドルフ、今日はすまなかったな」
「ありがとう」
「ありがとうございました」
『これからよろしく頼む』
こうして僕達は冒険者ギルドを後にした。




