43.子ベアーの状態
スノーベアー親子と楽しい夜を過ごした僕達。次の日はお母さんとお父さん、親ベアーが真面目な話しをすることに。ほら、いつまでここに居るとか、ここに来た目的を、昨日も話したけれど、もっと詳しく聞いたりとか。まぁ、色々だ。
お父さんにはしっかりと、親ベアーの話していることをお母さんが通訳してくれている。僕は……。
森でスノーベアーと話していたのもアレだけど。俺は勿論、神から力を授かった時、契約している魔獣以外の、魔獣の言葉が分かるようになる力は授からなかった。
だけどモグーと契約した頃から、何故かほんの少しだったけど、契約していない魔獣の言葉が分かるようになって。そうだな、最初は本当、僕、私、おはよう、さようなら程度だった。
それがハピちゃんと契約してからは、半分以上分かるようのなり、今ではほとんど分かるように。
お父さんとお母さんに相談したら、すぐに再鑑定をしに協会へ行ってくれて。でも前の鑑定と変わった部分はなく、そのまま家の帰えって来たんだ。
その後の家族会議で、もしかしたら魔獣契約できるようになって、どうしてかは分からないけれど、変化が起きたんじゃないかって。鑑定では分からない能力だけれど。
まぁ、あって困るものじゃなし。どちらかといえば僕にとってはとても嬉しい能力だから、気にせず暮らそうってことのなったんだ。だから今は気にせず、魔獣達の話しを聞いている。
そして今日の話し合い、この時僕はお母さんに畑仕事を頼まれて、セレンとモグーとハピちゃん、そして子ベアーを連れて畑に。それで畑仕事をしながら、時々窓からお母さん達の話しを聞いていた。
もちろん僕が聞いて良い話しなのか、お母さん達にも親ベアーにも聞いて、良いって言われたから、時々聞いていたよ。
それでスノーベアー親子がここにきた、1番大切な目的の薬のことだけど。今はちょうど在庫がなくてすぐには渡せなかった。だけどそれほど調合が難しい薬でも、珍しい薬草を使う薬でもなかったから、材料が揃えばすぐに作れるって。
『はぁ、それは良かった。が、もちろんタダでとは言わない。俺にできる事ならなんでも言ってくれ。まぁ、お前達人間のように、確か人間はお金というものを使っていたよな。お金などというものはないが、何かそれの代わりのなるような物があれば』
「そうね。それについては後で考えておくわ。もしかしたら薬草採取を頼むかもしれないし」
『ああ、何でも言ってくれ』
うん、薬については、とりあえずささっと決まった。と、ここまで雰囲気良く話していたお母さんの顔つきが変わり、とても真剣な表情になって。何だ? 何か問題でもなるのか?
お母さんがああいう表情をする時は、何か問題が起きている時か、お父さんが何かやらかした時だ。お父さんのやらかし……。まぁ、それは色々と。今回は親ベアーと話しているから、お父さんのことじゃないはずだけど。
「それでね、薬は作ってあげられるのだけど。別にとても大切な問題があるの」
『問題? 何だ、言ってくれ。俺に解決できる事か?』
「あなたの子のことだけれど、あの時はそこまで時間がなかったから、一応と思って薬を渡しておいたのだけれど。それに後で改善される事がほとんどだから。でも……。先に謝っておくわね。あの子がもう大丈夫か昨日鑑定させてもらった時、色々調べさせてもらったの」
『調べた?』
「ええ。普通わね、そんなに短い期間で、あなた達魔獣は薬が必要なほど具合は悪くならないのよ。もちろん自然に生きている生き物。何かの拍子に具合が悪くなる事もあるでしょう。毒のやられたとか、戦って怪我を負ったとか。だけどあなたにその事を聞いた時、そんな事はなかったと。あなたはそう言ったでしょう? 何事もなく普通に幸せに暮らしていたと」
『ああ。アシュリーと別れてからは何も。何もなさすぎて、逆に少し心配したくらいだ。いつもなら、他の魔獣達と争うのは当たり前だったからな』
「そうでしょう? だから薬を使うほど、具合が悪くなるなんてって。だから心配で調べさせてもらったの。ごめんなさい、何も言わずに調べてしまって」
『いや、それは構わない。息子を心配してくれたんだからな。それで息子は?』
「あなたの子、あの子は普通のスノーベアーにしては、成長が遅い事が分かったわ。元々生まれた時から、体が弱かったんでしょうね。でも、そういう子はよく居るのよ。そしてそういう子は、成長するにつれて、しっかりと魔力が多くなり、丈夫になってくるから、別に問題はないのだけれど」
『……俺の息子は違うのか?』
「あなたの子は、いまだに体が弱いままなのよ。私と初めて会った時と比べて、魔力量は少し増えているけれど、それでも弱いし。体力というのかしら、体が成長についていけていないの。あなたも不思議に思っているんじゃないかしら。あの子同じ歳のスノーベアーに比べて、かなり小さいでしょう?」
『ああ、確かに息子は同じ歳の子に比べて、ひとまわり小さい。だが、俺はそれがたまたまだと、個体差だと思っていたんだ』
「違うわ。あの子の体と魔力が弱いから、成長に影響してしまっているのよ」
『まさか、俺の息子が……』
「それでね、これはあまり言いたくないのだけれど。あなたに薬を渡す事はできるわ。だけど、これからもあの子は何度も具合が悪くなるでしょう。すぐに治る時もあれば、長く苦しむ事も。そしてそれが続けば、最悪な結果になる可能性もある」
『……息子が死ぬ可能性があるという事か』
「ええ」
そんな!? 子ベアーが死ぬかもしれない!? 僕は思わずセレン達と楽しく畑仕事という名の遊びを楽しんでいる子ベアーを見る。
今はお母さんと僕の回復魔法で、元気に遊んでいる子ベアー。どこも悪いようには見えないけれど、まさか命の危険があるなんて!!




