36.子スノーベアーの治療、突然の反応
「みんな、治療が終わったよ!!」
僕が変なクッキーの歌を、歌い続けているみんなに声をかけると、ハッ!!とした子スノーベアーが、急いで僕達の方へ駆け寄って来た。セレン達も急いで駆け寄ってくる。
子スノーベアーはまず親スノーベアーのお腹を何回も確認した後、次は背中の方へ。そして背中も何回も確認した後に、今度は足の方へ来て。親スノーベアーに聞いてきた。
『パパ、もうどこも痛くない? 傷は綺麗。でも足は?』
『息子よ、全て治してもらった。もうどこも痛くはない』
そう親スノーベアーが言って子スノーベアーに笑いかけた。その瞬間、子スノーベアーが親スノーベアーに抱きついた。
『パパ、パパ!! 良かった治って!! パパ、もう大丈夫!!』
抱きついている子スノーベアーは泣いていたよ。ずっと心配していて、しかもさっき倒れてしまったからな。セレン達が気を紛らわせてくれていたけど、それでもこっちが気にならないわけがなくて。
今までどれだけ思い切り泣くのを我慢したことか。それが一気に感情が爆発したんだろう。今はもう、どれだけ泣いても良いんだよ。泣きたいだけ泣けば良い。
僕達は子スノーベアーが落ち着くまで、その場で待つことに。そしてその間に僕は、約束していたクッキーを用意することにした。
あんなヘンテコな歌を考えるくらいだからな。セレン達は子スノーベアーを思って静かに待っているけど、その気持ちの半分はクッキーの事を考えているだろうな。
その証拠に、僕がクッキーを出していると、チラチラとこっちを見たり子スノーベアーを見たり、最後はほとんど僕の方を見ていた。その表情に思わず笑ってしまいそうになったけど。
結局子スノーベアーが泣き止んだのは、20分くらい経ってからだった。
『パパ、パパ、嬉しいねぇ』
『ああ、そうだな』
「よし、それじゃあ約束のクッキーをと言いたいところなんだけど。もう1つやらないといけないことがあるんだ」
俺がそう言った途端、セレン達の抗議の声が。
『何でぇ、クッキーお皿に乗ってるのに!!』
『すぐに食べたいぞ!!』
『クッキー食べる。止めるのはダメ!!』
『それがクッキー? クッキーダメ?』
子スノーベアーまで嫌そうな顔で僕を見てくる。
「いや、そんなに待たせないから。だけど、とっても大事なことなんだ」
そう言う僕に、まだ睨んでくるみんな。いや、うん、本当にそんなに待たせないし、後でも良いんだけど、先に終わらせちゃった方が、体には良いんだよ。
「ちょっとこっちに来てくれるかな?」
僕が子スノーベアーを呼ぶと、何で? って顔をした子スノーベアー。そして親スノーベアーに、僕の方へ行っても良いのか確認をする。さっきは何も言わなくても、抱っこちゃん人形だったのに。
親スノーベアーはすぐに頷き、子スノーベアーの背を押してくれた。そろそろと僕の方へ来る子スノーベアー。
あの傷の時は慌てていたから、俺が人間でも早く傷を治してほしいって思っていたけど。親が治って俺が人間だって改めて思ったら、ちょっと怖くなったかな? 大丈夫、怖い事はしないからね。
「触っても良いかな?」
『ぼくを触るの?』
「うん、嫌だったら良いんだけど」
『息子よ、すぐに終わるから、この者の言う通りに』
「パパ? うん!! 分かった!!」
親スノーベアーがしっかりとそう言ったからか、子スノーベアーは元気良く返事をすると、僕のかなり近くまで来てくれて。僕はそっと子スノーベアーに触った。そして鑑定を使うと……。
「やっぱり……。やっぱりそうだったよ。これならすぐに治せる」
『そうか、良かった。すまないが治療してくれるか?』
「勿論!!」
『治療? ぼく治療? どこも悪くないよ?』
「風邪がしっかり治っていないんだよ」
『風邪?』
『この前まで咳をしていただろう? それに鼻水も。咳は薬で治っていたが、鼻水が止まっていなかった。まだ完全に風が治っていなかったんだ』
『風邪まだだった?』
『ああ。お前はあまり気にしていなかったがな』
「だから今からその風邪を完璧に治すからね。本当にすぐに治してあげるから、そのままじっとしていてね。パパもちゃんと治っただろう?」
『うん!! パパ治った!! ぼくも治る?』
「うん! 治るよ!」
『分かった!! じっとしてる!!』
子スノーベアーがそのままじっとしてくれたから、僕はすぐに回復魔法を使う。治りかけの風邪。治れば問題ないけど、ぶり返したら大変だからね。下手をしたら前よりも悪くなる可能性がある。
回復魔法をかけてから、全体を確認する。うん、大丈夫かな。
「さぁ、これで終わり!! 治ったよ!!」
『風邪治った!! ありがと!!』
『ねぇねぇ、もうクッキー食べて良い?』
『早く食べたいぞ!!』
『クッキーがぼく達を持っている!!』
おお、なんかハピちゃんカッコいいな。クッキーだけど。
『パパ、ぼくもクッキーい?』
『人間用のクッキーか?』
「いや、これは魔獣用のクッキーだよ」
『なら大丈夫か。貰っても?』
「約束だからね、それに今更ダメだなんて言わないよ」
ワッ!! と集まるセレン達。だけど子スノーベアーが食べるのを待ってくれて。緊張している子スノーベアー。恐る恐るひと口クッキーを食べれば。
「わあぁぁぁ!! 何これ、美味し!!」
今日1番の笑顔だった。それからは一気にクッキーを食べた子スノーベアー。すぐに2枚目を食べ始める。そしてその様子を、うんうん頷きながらクッキーを食べ始めるセレン達。
『美味しいでしょう!!』
『うん!!』
『何枚でも食べられちゅくらい、美味しいだろ!!』
『うん!!』
『アーベルと、アーベルママのアシュリーママが作ったクッキーは世界1!!』
『アーベル……? アシュリー……? おい、お前の名はアーベルと言うのか!? 母親は薬を作っているか!?』
親スノーベアーが僕の名前や、お母さんのことに食いついてきた。




