35親スノーベアーの治療完了!!
まずはもう少し傷を綺麗にしてからだな。さっは簡単に水をかけただけだけど、今度は汚れを取るように、丁寧に水をかけていく。するとやはりかなり滲みたようで、ぐぐっと声を出した。
「すまない。でもこれをしないと泥やら砂やら、ゴミが体の中に残って、それで病気になる可能性があるんだ」
『分かっている。俺達も怪我をすれば、川や池で綺麗に傷を洗うからな』
「そうなのか?」
『ああ。だが今俺が声を出せば、息子が心配をして、こちらへ来てしまうかもしれん。そうなると、お前の治療の邪魔になるだろうからな』
「ははは、確かにさっきみたいに抱きつかれたままだとね」
抱っこちゃん人形のままじゃ、さすがに治療が遅くなる。そうなれば、親スノーベアーも痛みが続くことになるからな。
全ての傷を綺麗に洗い流し、もう1度傷の様子を見たけど、最初に診た通りで。先にお母さんの薬で半分まで傷を治した後、僕の回復魔法で治療することにする。
僕はお母さん持たされた薬の便を数本取り出した。よくよく見ると薬の便は12本も僕が確認した時にはもう少し少なかったのに。僕が気づかないうちにお母さんが入れたらしい。どおりで少しカバンが重くないか? と思っていたんだよ。
僕は1本の瓶の蓋を開け、そっとそれを傷口に流していった。お腹の線の傷は全部で6本。1本で2本治療ができるはずだから、薬の便は3本で済む。
「どうだ? 何か変な感じはするか? 余計痛みが増したとか、傷口が熱くなるとか。傷によってはそういう症状が出る時もあるんだけど、その時はあんまり薬が合っていないってことだから」
『いや、大丈夫だ。それよりも痛みが減った感じがする』
おお!! さすがお母さんの薬!! 少し薬をかけただけだったけど、もう効果が出始めていたらしい。よし、問題がないようだから、このまま進めよう。
治療は順調に進んで、1本目の薬が終わり2本目の薬へ。2本目も無事に終了し、3本目の薬へと。まったく問題なく進んで行った。
そして3本目の薬が終われば、背中の傷と同じくらいの傷にまで回復をさせることができた。ふぅ、良かった良かった。これで後は僕の回復魔法で治療できる。お母さん、薬ありがとう!!
「よし、次は回復魔法をかけるよ。それはでお腹の傷は終わりだ」
そうして僕は、つい最近できるようになった、今できる回復魔法の中で、1番力の強い回復魔法をかけた。
まだできるようになったばかりだから、少し時間はかかってしまうが、それでもこの魔法が使えるようになっていて良かったよ。こんなに早く使う日が来るなんて思っていなかったからなぁ。
僕が回復魔法を使い始めて数分、それまで変化のなかった傷が、端っこの方から治り始めた。そして治った場所を見れば、完全に傷は消えていて。よし、このままこのまま、集中して。
と、心の中で思っていると、何故か突然向こうの方から、こうなんとも言えない歌が聞こえてきて。セレンとモグーとハピちゃん、それから子スノーベアーの歌声が聞こえてきたんだ。
本当にみんなに浸透している歌じゃなくて、自分達で作っただろうクッキーの歌が。
『クッキー~クッキー~、甘くて美味しいぃ』
『クッキー~、クッキー~、サクサク美味しいぃ』
『クッキー、クッキー、今日は何のクッキー?』
『くっきー、くっきー、ぼくは始めて』
何とも言えない音程だし、微妙になんかズレてるし。今その歌はやめて欲しいんだけど。
まぁ、魔物が声に気づいて近づいてくるといけないからな。だから大きな声を出しちゃいけないって約束は守って、小さな声で歌っているけど。僕の力が抜けるんだよね。
『何だ、あの変な歌は? お前達の所にはあんな歌があるのか?』
「いや、たぶん今自分達で作ったんだよ。クッキーが待ち遠しくて」
『そうか、あんな変な歌があるのかと思ったぞ』
親スノーベアーもおかしな歌だと思ったらしい。子スノーベアーがこっちを気にしないのは良いことだけど。僕はもっと集中しないといけなくなった。
こうしてちょっとした邪魔は入ったものの、その後も治療をしていった僕。
「よし、お腹は終了だ。どうだ? 座れるようなら座って確かめてみてくれ」
そっと親スノーベアーが体を起こす。僕が診た限りは完全に傷は治っている。後は親スノーベアーがどう感じているかだけど。
『これほど綺麗に治るとは……。痛みも皮膚が引き攣る感じもしない。完全に治ったようだ。感謝する!!』
「それは良かった。じゃあ次は酷い方を。そうだな背中から治してしまおう。その次は足、腕と治療して、最後にもう1度全体的に確認をして治療終了だ」
『ああ!!』
その後は問題なくスムーズに治療をする事ができた。いや、1つ問題はあったが。あのクッキーの歌を、ずっと聞いての治療になってしまったことだ。治療の最中は歌は禁止にするか?
こうして全ての怪我を治した僕、最後に全体的に確認をして、親スノーベアーの治療は終わった。
「さぁ、これで終わりだ」
『怪我をする前よりも体の調子が良いようだ。本当に感謝する』
「いや、僕はできる事をやっただけだから。お礼はみんなに。止められても威嚇されても、その子達はあなたを助けようとしたんだ、僕に治してって。だからみんなにお礼を」
『そうだな。子供達に助けられたな。そしてまだ子供のお前にも』
「と、治療のついでになんだが。治療が終わったら知らせようと思ったんだけど」
『何だ?』
「いや、分かっていると思うんだけど。あなたの息子、体の調子が悪いんじゃないか? そんなに酷くはないけど、もし良かったら、あの子も治療するよ。あの子はあなたよりもささっと直せるから」
『本当か!! それはありがたい!!』




