34.親スノーベアーの怪我の確認
チラッとお腹のキズを見る。詳しく見ないとなんとも言えないけど、でも今見えている感じだと、やっぱりお母さんの薬と僕の回復魔法でどうにかできそうだな。
お母さんの薬は凄い効き目だから、持って行けって何本も持たされていたから良かった。
次に僕は背中の方へ回ろうとする。だが、そんな僕の足に子スノーベアーはくっついたままで、抱っこちゃん人形みたいになっていて。その姿が可愛いし、くっ付いていたい気持ちも分かるんだけど、今だけは離れていてほしい。ここはみんなに頼もう。
「みんな、この子と一緒に、ちょっと向こうに行っててくれえるか? 僕はなるべく早くお父さんスノーベアーを治療するから。そうだな、後で治療が終わったら、クッキーをあげるから、その話しでもして待っていて」
『クッキー!! 分かった!! ほら、一緒に向こうに行こう!!』
『クッキー!! とっても素晴らしい物なんだぞ!!』
『くっき~、くっきぃ~♪』
『クッキー?』
『うん!! クッキー!!』
『クッキーのこと教えてやるぞ!! 話してる間にささっと治療は終わっちゃいはずだぞ!!』
『くっき~、くっきぃ~♪』
クッキーに釣られて、子スノーベアーが俺僕から離れて、みんなとちょっと離れた木の方へ。うん、これで治療に専念できる。
僕は軽くなった足を軽く振ってから背中の方へと回った。すると確かに子スノーベアーの言った通り、ちょっと太めの線のような傷が。
だけど見た感じ、そこまで酷い物ではなく、これは僕の初級回復魔法で十分なものだった。みんなの言うことじゃないけれど、ささっと治るだろう。
その後は、傷のある場所以外の背中部分を、ついでに全部診てしまうことに。傷については、肩も腰も問題なしと。それからお尻の方も問題ないし。うん、これは良い感じだな。後は痛みか。
「なぁ、背中やお尻、足の裏なんか、痛みはあるか?」
『……』
「おい、起きているだろう? 子供があんなに心配して怪我を治してくれと、会ったこともない、しかもどちらかといえば敵の僕に、必死にお前を助けて欲しいと訴えてきたんだぞ。このままだと本当に最悪なことになりかねない。……あの子を1人にするつもりか」
『……背中には痛みはない。が、足以外に腕に少々痛みがある』
「分かった!! しっかり診て、しっかり治療するから安心してくれ。見た感じお腹の怪我もしっかりと治せそうだからな」
親スノーベアーが答えてくれた!! これで更に治療が捗るぞ!! 親スノーベアーが返事をしてくれた腕を見る。更に詳しく聞くと、左腕の中間位が痛いらしい。ちょうど左を上に倒れてくれていたから助かった。
すぐに左腕を調べると、骨折はしておらず、こちらも僕の初級回復魔法で何とかなるだろう。
それからついでに足を見ることに。足も左足で、足首に痛みがあるとのことで、そこを調べた。
すると骨折はしていなかったが、捻挫にしては腫れが酷いなと。そこで回復魔法についている鑑定を使い調べれば、骨にヒビが入っている事が分かった。
鑑定魔法には、物を鑑定する能力、その人物の情報や能力を調べる能力など色々あるんだけど。回復魔法を使う人には、治療に関する鑑定能力を、回復魔法を授かった時に一緒に授かっている。
そしてその鑑定能力の力は、回復魔法の力が高ければ高いほど、詳しくその人の病状を知る事ができるんだ。僕は中級の回復魔法だから、病状もそこまで詳しくは鑑定できない。だけど骨折やヒビくらないならしっかりと鑑定する事ができる。
だから足首にヒビが入っている事を確認できたんだ。しかもちょっとのヒビだったから、これも僕の回復魔法で治せるだろう。
「他に痛みは?」
『他は腹が痛いだけだ』
「そうか。じゃあお腹を確認したら、傷の具合によるけど、順番に治療を始めて。分かっているところの治療が終わったら、全体の確認をするからな」
『分かった。……すまない面倒をかけて』
「気にするな。ただ、治療をした後、攻撃しないでくれると助かる。僕は良いけど僕の家族には手を出さないで欲しい」
『そんな事をすると?』
「いや、一応言っておいただけだ。あの子スノーベアーは、人を恐れていなかった。お前がどんな教育をしているか知らないが、誰でも彼でも敵として教えているってわけじゃなさそうだからな」
『魔獣にも人のも、種族が同じだったとしても、色々だからな……くっ』
「話しは後にしよう。さぁ、次はお腹の怪我を」
足のヒビを確認しながら少し話した後、僕はお腹を見ることに。
「水を傷にかける。少し滲みるけど我慢してくれ。血で傷がよく見えないんだ」
水魔法で全体的に水をかける。親スノーベアーは少し体を動かしたが、我慢をしてくれて、その後は静かにしていてくれた。
かなりの範囲怪我しているように見えたが、血にせいでそう見えただけらしい。それほど大きな傷ではなかった。そして傷の形は、背中の傷と同じような、太い線のような傷だ。
違いはその傷の深さだ。背中は浅かったが、お腹の方の傷は5センチくらいの深さの傷で、そのせいでお腹は血だらけに。だが、これならば。俺は親スノーベアーに良い報告をする。
「この傷なら、ほとんど傷を目立たずに治す事ができるよ。良かったな!!」
『そうか……、そうか!!』
親スノーベアーの顔がさっきまでは苦痛の表情だったけど、今は苦痛の表情の中に安堵の表情も。
俺も内心ホッとしていた。チラッと見た時に、大丈夫だろうと思っていたけど、実は怪我が酷すぎて、やっぱり治療は無理だった、なんてことにならなくて。
よし、そうだな。治ると分かっているのなら、先に酷い傷から治してしまうか。そうすれば残りの治療は、そこまで苦痛を感じないで済むはずだ。
「よし、じゃあ、治療を始めるぞ!!」




