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再会

 JR東日本では、群馬県や新潟県、福島県等でSL列車を運行している。

 ミナミツバサ達が本来の職場である、しなの鉄道からJR東日本に来たのは、蒸気機関車の機関士、又は機関助手になるためだ。機関士、機関助手になるには甲種蒸気機関車運転免許とボイラー技士2級以上の二つの資格を取得しなければならない。

 今回、蒸気機関車の機関士を募集したのは長野県を走る第三セクターしなの鉄道である。2020年頃から、D51蒸気機関車を使用したSL列車「SLしなの」を走行させるという計画に先立ち、長野県辰野町の荒神山公園に保存されていたD51‐59蒸気機関車を復活させる事を決定。2020年より機関車を分解して埼玉県のJR東日本大宮車両センター、及び大阪市にある専門業者の元へ搬入し、機関車の復元工事を開始、それと同時に新規募集のSL機関士の育成をJR東日本に委託する形で進めていた。

 同時に蒸気機関車の乗務員の募集を行い、しなの鉄道から推薦を受けた者と、JR東日本で募集し応募してきた者、その他、JR東日本、JR北海道、JR西日本等の蒸気機関車を持っている鉄道会社で、蒸気機関車を運転できる資格のある者を集めて蒸気機関車を運行するという壮大な計画だ。

 ミナミツバサとミサシマヒタチは、しなの鉄道で列車の運転手を勤めている。列車の運転士になってまもないが、教官や先輩運転士の推薦で機関士の試験に臨むことになった。なぜ、二十六歳という若さで推薦されたのかは不明だが、ミサシマは、過去にしなの鉄道は115系電車を改装した豪華列車を走行させていたのだが、不評で大赤字を出し、更にその列車の車内で行ったアイドルのゲリラライブのせいで車両故障を起こし、世間から批判を浴びたため、これらの批判を関東から来た二人の若い運転士に押し付けようという先輩運転士達の思惑があるのではと思っていた。

しかし、ツバサは違った。

ツバサは、しなの鉄道に入社した後、国鉄上がりのベテラン運転士から直々に厳しい指導を受けて一人前の運転士になった。そのため、その時に得た経験をSL機関士になって活かしてもらいたいという教官やベテラン運転士達の思いが、ツバサを推薦したと思っていた。

 ツバサとミサシマで考えが違うが、教室に入り、授業を受けている時や、共に仕事をこなす時は考えの違いなど気にならない程仲が良い。

ミサシマは大学へ進学するとき、長野に住む彼女のために長野の大学に進学してしまって良かったのだろうかと悩んでいた。ツバサはいつも、そんなミサシマの相談に乗っていた。そのため、ミサシマはツバサがLevel―Zの隊長に向いていると思っていた。

 そのツバサもまた、東京の大学を卒業すると、JR東日本に入ることはせず、彼女の住む長野を走るしなの鉄道に就職した。その時に相談に乗ってくれたのはミサシマだった。ツバサも、ミサシマと同じく長野と関東で遠距離恋愛をしていて、散々ツバサに悩みを聞いてもらったからミサシマは受けた恩を返さなければと思ったのだ。

 午前の授業が終わると、食事に向かう。食堂ではミサカ、ニセコ、ミサシマは久しぶりの再会で思い出話に花が咲いていたが、ツバサは食事を終えると授業の復習をしていた。

「復習か。お前は相変わらずだな。」

 と、ミサカが言った。

「やっていないと不安になる。それに、夜は彼女に電話したいし。」

「なるほどな。」

「まあ、その結果、大学で孤立していた上にチャラい奴らにいじめられた。」

「それでも、やることやってから好きなことをする。お前はそういう奴だ。」

 ミサカは言いながら食器を片付ける。その時、皆の食器も片付けてくれた。皆の気を使ってくれ、気配りが出来るミサカはLevel―Zのリーダーに向いているとツバサは思った。ミサカの結婚相手は1歳年上のモデルだ。高校の先輩で当時、学校で浮いていたミサカに声をかけ、それ以来の恋仲である。しかし、彼女の婿になったのは良いものの、彼女の父が経営する芸能プロダクションの仕事は彼に向いておらず、JR東日本に中途入社したのだ。

「さて、午後の授業も頑張りますか。」

 と、ミサカが言い、皆で教室に向かう。

 ツバサはミサカの背中を見ながら、昨日の出来事を思い出した。

 Level―Zの面子でSLを動かせるぞと夢を語った時、ミサカはなぜか俯いていた。あれは一体何だったのだろうか?

「SLを皆で運転しよう。」

 Level―Z最後の活動が終わった時、ミサカはこのように語っていたミサカがなぜ俯いたのだろうか?

(まさかこいつ、彼女と揉めているのではないか?)

 ツバサは思ったが、授業になるとそれはどこかに消えてしまい、授業に没頭した。

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