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帰り道

 JR貨物のEH200が迎えに来た。

 既に編成されている甲種回送列車に、静かに連結する。ミナミツバサとミサシマは、世話になった、ぐんま車両センターの人々にお礼を言った。

「二人とも、立派なSL乗務員だ。しなの鉄道でも、しっかりやれよ。」

 と、ベテラン機関士達が言い、二人はそれに敬礼して答えた。

 深夜、EH200に牽引される甲種回送列車はぐんま車両センターを後に、中央本線、篠ノ井線を経由して長野へ向けて発車した。

 途中、大宮に寄って大宮工場で改造された食堂車を連結する。大宮で食堂車を連結していると、改造工事の責任者であったミサカがSL伴走車に乗り込んできた。

「無事に動くところを見るまでが責任者の仕事だ。」

 と、ミサカは言いながら座席に座った。12系客車を改造したもので、普段は機関車の部品等を積んでいる車両である。座席も直角座席のボックスシートである。これで一晩過ごすのだ。

「お前、なんでSL機関士辞めたんだ?正直に言えよ。」

 と、ツバサは単刀直入にミサカに言った。

 ミサカはツバサと上司に言った本当の理由をミサシマにあっけなく話した。

 ミサシマは黙って聞いていた。

「なんで、俺達に嘘を言った?」

「セイコを責められるんじゃないかって思ったから。」

「まったく。だからって、セイコさんとイチャ付きたいとか言うな。正直に言えよ。だから大宮工場に飛ばされんだよ。大体コネでJRに入ろうなんて馬鹿げているぜ。まあ中には、当時の社長がバカだったからってJRを蹴って、しなの鉄道に来たバカも居るけどな。」

 ミサシマの言った事に、ツバサはくしゃみをして応えた。

「まあ、ツバサはそれで良かったと思うぜ。」

 ミサカが言った。

「なんでそう思うんだ?」

「だってさ、しなの鉄道に就職したから、明里さんと結婚できて、しなの鉄道に就職したから「SLしなの」を運転する事が出来て、おまけに高崎支社のSL列車を運転しまくってだ。もしJRにいたらそんなこと無かったかもしれないぜ。」

 ツバサはまたくしゃみをした。

「あーっ眠いから寝るわ。」

 ツバサは靴を脱いで向いの座席に足を乗せ、カーテンを閉めて雑魚寝状態で寝ることにした。

「寝台車で寝たいね。」

 と、ミサカが言った。

「じゃあ、こいつを寝台車に改造しろよ。こんなんで寝られるもんなら寝てみろっての。」

 ミサシマもツバサと同じようにして寝ることにし、ミサカも同じようにして寝た。

 翌朝、ツバサは尿意を覚え、トイレで用を達しながら、今列車はどこの駅にいるか調べた。列車は松本駅を発車したところだった。

 時刻は午前4時。後、1時間でこの列車は長野総合車両センターに到着する。

 ミサカとミサシマも起きていた。

「それでだ、キッチンの電気コンロ要らんってことだったから、これ壊して冷蔵庫を増設した他、スタッフが―。」

 と、ミサカとミサシマが、改造した食堂車について話しているのを尻目に、ツバサは車窓を眺める。

 列車は松本駅を発車し篠ノ井線に入り、今、冠着トンネルを走行している。トンネルを抜けると、善光寺平が見えてきた。

(善光寺平。帰ってきたんだな。俺達。)

 と、ツバサは思った。

 列車は長野総合車両センターに着いた。ここでツバサとミサシマはJR各社から来たベテラン機関士達と対面した。

「しなの鉄道においては、君達が先輩だから、よろしく頼むよ。」

 と、機関士達は言った。

 ミサカは早速、食堂車の起動テストを行う。

 元は485系特急電車の食堂車で、これを「北斗星」向けに24系客車化改造をした物であるが、24系客車は編成ごとに専用の電源車が無ければエアコンや電気式調理器を使う食堂車のキッチン等のサービスが出来ない。それを12系に搭載されているディーゼルエンジンで動かせるように改造したのだから、簡単に行くはずは無いとミサカは思っていたが、意外にもすんなり起動した。

「仕事終了。」

 と、ミサカは言い、ミサカは一人、大宮工場に帰った。

「こっから先は俺達の仕事だ。」

 と、ツバサはミサカを見送るミサシマに言った。



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