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SLの客車

 世間では夏休みになった。

 夏休み期間、これがツバサとミサシマがぐんま車両センターで過ごす最後の期間となった。

 夏休みのイベント列車を牽引した後、ツバサとミサシマはD51‐59と共に、しなの鉄道へ帰り、しなの鉄道の「SLしなの」の試運転を行う。

 また、しなの鉄道へは、先行してEF15電気機関車と一部の客車がJR貨物による甲種回送で入線し、EF15電気機関車による臨時快速の運行が始まっている。

 電話でツバサは、まもなくしなの鉄道に帰ると伝えた。持田萌と明里の友人の出羽美穂は、SL運転の拠点になる小諸駅に転車台と車庫が出来たと言う。それを聞いた後、明里について聞いたら、

「明里は職場復帰したよ。愛美子ちゃんは無事保育園に入園出来た。」

 と、萌は言った。

「姉さんや美穂には世話を掛けたな。」

「いやいや。妹の子だもん。姉が手助けしないでどうするのよ。それより、明里がSLの試運転の日にサプライズイベントやろうって―わっ!」

 萌は電話の向こうで明里に電話を奪われたらしく、明里に声が変わった。

「何も聞いてないよね!」

「何をかな?」

 ツバサは誤魔化した。電話の声が美穂に変わった。

「SLが小諸駅に着いた時、停車場ガーデンを見てみなよ。」

 と、美穂は言った。

「間違っても、線路に入るなよ。入ったら轢き殺されても、文句いえないからな。」

「分かってるよ!ツバサこそ事故るなよ!」

 美穂の声が聞こえた後、電話が切れた。

 電話が切れると、ツバサは保火番に向かった。

 今日は一晩、D51‐59の保火番である。

 仮眠を取りながら、火室の様子とボイラーの様子を見る。

 車庫の隣りの線路には、火を落したC57が入線している。この機関車は明日、ぐんま車両センターで行われるSL祭りというイベントで展示された後、本職の場である新潟と京都に帰ることになっていた。

 C57‐1は京都の梅小路運転区に帰った後、「SLやまぐち」を牽引するため山口線に、180号機は新津に帰ったら「SLばんえつ物語」の牽引だ。

 そして、このD51‐59は夏休みの運転が終わると、高崎で一度火を落し、点検整備の上で、JR貨物の電気機関車に牽引され中央本線を経由してしなの鉄道へ向かう事になっている。すでに、JR西日本から12系客車3両と、24系客車5両がしなの鉄道に入り、JR北海道からも、食堂車がJR東日本大宮車両センターに入り12系客車の電源で起動するように改造工事が行われている。

 残るは、夏休みの運転を無事に終えて、しなの鉄道に向かうだけだ。

「おいツバサ。」

 炭水車に登って水を炭水車に入れていた時、ミサシマが車庫に入って来た。

「どうした?今日はもう上がりだろ?」

「大宮工場で食堂車を改造しているが、それの現場指揮している奴誰だか知っているか?」

「誰だ?」

「ミサカだ。」

「何?」

「ミサカが、JRに戻った後、しなの鉄道とデザイナーが喧嘩になったと知ったらしい。それで、JR東からもなんとか言えないかとごねたが、どうすることも出来ず、逆に言い過ぎて大宮工場に飛ばされたんだが、それを聞いたセイコさんのお父さんが怒鳴り込んだんだと。その後、JR西日本の機関士達がしな鉄に来たデザイナーに対して一揆を起こして客車を提供したと聞き、更にJR北海道も食堂車を提供すると言い出した。ミサカは「他社はこんなにやってんのに、JR東日本は機関車以外に何もしないのか!」って上層部に怒鳴り込み、結果、JR東日本の食堂車と、JR北海道の食堂車を大宮工場で改造して、しな鉄に協力しようってことになったんだと。それで、誰が責任者になるかと言ってまた揉めた時、ミサカが自分で責任者になり、客車改造工事に携わることになったんだってさ。」

「そうか。誰から聞いた?」

「俺の携帯にミサカが自ら電話でそう言ってきた。(ビビって逃げ出すような奴だけど、せめてこれぐらいのことはしなければ。)ってさ。結局、あいつは何がしたいんだろうな。」

「さあ、凡人には解らないよ。」

 ツバサは給水ホースの弁を閉めながら言った。


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