憧れ
メガネは視力が良くない人には欠かせないものとなっている。今よりコンタクトレンズが普及されていなかった頃、私は裸眼で眼鏡に対する憧れを密かに抱いていた。
しかし、祖母からは眼鏡なんてみっともない。眼鏡は良くないと言い聞かされていた私は、祖母に反抗するかのようにテレビを近くで観たり、
暗い中スマートフォンを弄っていた。視力が落ちるのに時間は掛からなかった。
親に伝えると怒られたが、眼鏡を買ってもらえた。念願の眼鏡に心が躍ったことを今でも覚えている。眼鏡をかけると世界が一変した。
今まではぼんやりと見ていたものが全てくっきりしていたのだ。
それから何年もめがねが手放せない生活を送っていたが、ある時、メガネなしで外を歩くと心がスッとした。
すれ違う人の顔も斜め前にある看板も見えないが心地よかった。
社会人になり周りの顔色を伺うことが増えいつの間にか眼鏡で見える世界は窮屈になっていたのだ。
あんなに憧れていたメガネで見る世界は疲れるものに。