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え、ちょっと待てよ、と私は考える。
さすがジェニータソ、スペックが違い過ぎる。
「えと、私の言葉が通じてます?」
恐る恐る探る。
「ええ、さっきからあなたの言葉がどんどん通じてくるわ。
とても不思議な感覚。
こんな事今までなかった」
さすが聖女様、と私は思った。
でも、その思いはすぐに彼女に伝わる。
「聖女なんかじゃないわ。
わたしは……………魔女よ」
ジェニータソのその自虐のようなひと言に、私は一瞬思考が止まる。
え、いや、私がいた世界ではユージェニーは間違いなく聖女カテゴリ
いや、カテゴリと言うか、いやーその、存在があの、
とぐるぐる思考を巡らしていると
「あなたも、本来の姿じゃないわね。
どうしててんとう虫に?」
と聞いてくる。
いやそんなのこっちが聞きたいし、と思っていると
「貴女は本当の姿に戻りたい?」
と、ジェニータソが聞いた。
「ねえ、この子、喋れないの?」
と、イライラした口調でシザリオが口を開いた。
「おまえが連れて来たんだろ?何も聞かずにここまで連れて来たの?」
シザリオがルー様にきつい眼差しを送る。
「なんで?」
シザリオは追求の手を緩めない。
「ここがどれだけ隠匿された場所か、分かってるんだよね?」
「………ミキを探していると。
ミキに会いたいと、森を彷徨っていた」
ルーファスが「ミキ」と言った瞬間、シザリオのまなじりが上がる。
「ミキをミキと呼んでいいのは僕だけだ」
ルーファスは軽く肩を上げて、そう思うのならご自由に、といなす。
「なんでミキを探してたの?」
シザリオは問う。
「……………お祖母ちゃんの……………お祖母ちゃんの大事な人だった
サクラさん。
その人の子供がヤマトミキだって。
だから調べたの。
何処にいるか、何してるのか、って」
いやいやいやいや、それおかしくね!?
ルー様攫って隠遁生活してて、シザリオがコンピューター改竄して
それでも見つからない場所が、なんでそんなに簡単に見つかるのよ。
これが聖女チートってやつ!?と私が思った瞬間
冷たい冷たい意識が流れた。
だから言ったでしょ。
私は聖女じゃない、魔女だって。
私の力のせいでお祖母ちゃんは徒に命を縮めた。
私は知らなきゃならないの。
この力は何なのか。
どう扱えば良いのか。
お祖母ちゃんと同じ力を持ったサクラさんの息子なら、その答えをしっているのか。
それを知りたくて私はここに来たの。
「いや、だからさあ」
苛々したようにシザリオが言葉を続ける。
「僕がどれだけ緻密に隠してると思ってんの?何重にもミスリードするようにトラップ仕込んで。
この家自体にだって隠蔽魔法と認識阻害の結界張ってる。
そんな所にどうやって来たのさ」
へえ!坊ちゃん意外とやりなさる、と私は思った。
ファイナルデスティネーションの物語の中では、シザリオはほんのちょい役。
しかも小太り設定だったはずなのに、妙にすらりとしているし、しかも良い仕事をしているらしい。
………実は私はシザリオ嫌いじゃなかった。
捻くれて、ユージェニーに片想い、報われない役所。
そこまで考えて私は思う。
ここは、ファイナルデスティネーションの中の、更に私の願望が入り混じった世界なのかもしれない。
だとしたら、まだ勝機はある。
「魔法には気づいていたわ。
だから…………待っていたの、外で」
「まあまあ、せっかくのお客様なんだから、シザリオもそんな剣呑な顔しないで。
まずはお茶でも飲んでいただきましょう」
ヤマト博士がおっとりと微笑んだ。




