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ラスボスを幸せにし隊 本日発足です! 【完結済み】  作者: えるぜ


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6

ジェニータソ!?


私は素敵な予感にぶるっと羽ばたいた。

その瞬間、どかっ!と音がして扉が開く。


「何で車で来れないの?ふざけんなよ、何で僕が」


足蹴りかよ、人の家、足蹴りで入って来んのかよ!

しかもそのピカピカの靴、泥まみれじゃないか!そのまま入ってくんじゃねえ!


私は木箱を抱えたその姿を見て、ああ…と嘆息した。

シザリオ!あんた混ざるのかよ!と。

綺麗な短髪直毛、イメージで言ったらアレだ。魔法使いの男の子が主人公の映画、あれの伏字にもなってないけれど○フォイ的な?拗らせた坊ちゃんがいらっしゃった。


いや、これ、おかしくね?

ヤマト博士がルー様さらって、そこに何でルー様作ったファウンデーションのシザリオ来るかな。


「ほら!食糧と資材と!」


木箱を下ろすと、家の奥に向かって怒鳴る。

………あと、荷車表に停めてあるから、とぷいと横を向いて呟く。


なにこのツンデレ。

シザリオ坊ちゃんは、ファイナルデスティネーションでは、ほんの脇役だったはず。

巨大ファウンデーションの巨頭、会長の孫息子。両親は既に他界。

ほんのちょっとジェニータソに横恋慕して、ルー様とジェニータソのラブラブっぷりに癇癪起こすような、名脇役ほどでもない、ちょっとした添え物だった。

なのに何でここから関わってんのよ。


え、だったらヤマト博士はシザリオとグル?

まさか悪の巨大組織の会長が、孫の動向を知らないなんて事、あり得ないよね。

………じゃあ、ルー様は、会長の手のひらの上で、ほんの束の間の自由を味わってるってだけ!?


そんなの可哀想過ぎる。

思い出が多ければ多いほど、自分の出自を知った時に絶望に打ちひしがれるだろう。

いやむしろ、それが狙いか!?

私の瞳がきらんと瞬いた。


「……………鬱陶しい!」


本気の平手打ちをかまそうと振り上げられたシザリオの腕を、ふわりとした物が遮る。


『アキ、下がって』


「え………何?」


突然腕に絡みつくように現れた、黒くて柔らかくて温かいモノに、シザリオが一瞬躊躇した。

その隙をついて、私はフェル様の眉間の上、すべすべしたお気に入りの場所に無事着地。嫌そうに眉根を寄せるフェル様の筋肉の動きが直に伝わってMの血が騒ぐ。

………Mだったのか!?私。


『………下がれと言ったはずだが』


まあだから、細けえ事はいいんだよ。今私、大事な事考えてて忙しいんだから。


とん、と着地したフェル様を見てシザリオが呆然としている。


「………犬?……………まさか、オオカミ!?」


まあ、最初は箱抱えてたしね、見えなかったかもしてないけど、何かこう、この家に住む人に会いたくてたまらないうずうず感が凄くてね、足元に注意が全く向いていなかったね。


まだまだだな。


私はフェル様の頭の上からふふんと鼻を鳴らした。ここに居る私は強いよ!?


「オオカミですよ」


ニコニコと笑いながらヤマト博士がキッチンから出て来た。


「お久しぶりです。シザリオ。お元気でしたか?」


ヤマト博士が優雅な手つきでシザリオを椅子へと誘う。

………エプロン姿だけど。


肩を軽くすくめてつまらなさそうに座ったシザリオに、ヤマト博士はお茶を淹れますねと声をかけ再び居間を後にした。


「そうそう、その仔はオオカミですよ!悪戯しないで下さいね。機嫌を損ねたら、貴方なんて一噛みですよ」


閉まりかけたドア越しに声が聞こえる。


「………子供じゃあるまいし」


いや子供だろ、突っこみかけた瞬間私は見てしまった!

心なしか頬を紅潮させ、両肘をテーブルに突き、その両手で頬を包みにんまりと微笑むシザリオの姿を!

いや、美形だからそこはうっすらと、とか微かにとか微笑んで欲しいところなのだが、どうにもこうにも拗れた感が否めない。


やおら立ち上がると、フェル様の側に寄って来た。


「ミキのオオカミ?………いいなあ、ミキといつも一緒なのかな。触っても怒らない?」


ブホッ。


シザリオがこんなに美味しいキャラ、もとい、尊みであったとは。そしてどうやら執着の対象はヤマト博士らしい。ジェニータソが登場したらまた変わるのかな。

………どっちにしろルー様を目の敵にしてる事には変わりないよなあ。



シザリオがフェル様を撫でようとした時に、私に気づいた。


「なんだろ、この虫。さっきはまるでこの仔が虫守るみたいにしてたし」


うーん、と首を傾げながらそれでは背中でも撫でようかと手を伸ばしかけた所でノブの音がした。


ドアが開いた時には膝を組んで背もたれに片手を預け、つまらなさそうに座るシザリオが爆誕している。


「………悪戯、しなかったみたいですね」


優しく笑うヤマト博士は、ノブが動いてから、ほんの少しの呼吸を置いてドアを開けたような気がした。

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