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ラスボスを幸せにし隊 本日発足です! 【完結済み】  作者: えるぜ


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5

ほ!

…………ほう!


タレ目ですか!


ここにタレ目を配置するとは、なんとも憎い。ふむふむと首を振る。

二次創作内には無かった描写である。

名前からして日本人系だろうと予想はしていたが、ここに来てまさかのタレ目。

ちなみに私はタレ目に弱い。

もうね、ヤマト博士のタレ目を見た途端膝を打った!

膝、ないけど。いや、あるのか?

懊悩しながらヤマト博士の近くでホバリングを続ける。


「………良かった……心配してたんだ急に、急にいなくなるから」


両膝に手を置き、ぜえぜえと呼吸をしている。あちこち走り回ったのか、よく見ると髪にも小枝や枯れ草が絡まっているし、足元も泥だらけだ。


「………ごめん、寝ちゃって………………」


ルー様のすまなそうな言葉にくしゃりと笑う。


出たよ!目尻の皺!

妙齢の女性としては皺は天敵ではあるけれど、笑い皺は好き。特に見るのが好き。


「でもさ、ほら見てよ!」


ルー様が、懐に抱いたフェル様を両手で持ち上げて博士に見せる。


「こいつ、拾ったんだ。はぐれちゃったみたいで」


博士はフェル様の鼻先に顔を近づけると、まじまじと見詰めた。ややあって、口を開く。


「これは………黒オオカミの仔ですね」


最初の一言こそ、思わずと言った体でタメ口ではあったけれど、落ち着いたのかヤマト博士の丁寧な口調が戻る。


いい。


文字でもいい物は実際耳で聞いてもいい。

これは良い物だ、私はしみじみとその言葉を噛み締めた。


「絶滅危惧種です。ルーシャス、貴方がこの仔を見つけたのは、何か意味がある事なのかもしれませんね」


そう言ってルー様を見る博士の目がまたなんとも。

もちろん、博士はルー様が絶滅危惧種どころではない、史上初の悪意の具現、単一の生命体である事を知っている。無論私も知っている。

虫だけど。


「連れて帰りましょうか。暖かい寝床と食事。………名前も考えないといけませんね」


穏やかに微笑み合う2人、満足そうな一頭。

え!ちょっと待って!

私の事すっかり忘れてるでしょ!

名前付けたでしょうが!責任取れよ!


私は怒りも新たにルー様の眼前を飛び回った。


「…………なんです?それ」


ヤマト博士が嫌そうに聞く。


「ああ…………これも‥‥拾った、と言うか着いて来るんだ」


ルー様が嫌そうに答える。


「…………砂糖水、とかですか?」


暖かい寝床と食事とかとは随分扱いが違う。

でもいいんだ。これで私たちは森の中の小屋に向かう。

常識的に考えれば、ルー様を連れて逃げたヤマト博士が見つからない訳がない。けれどここはファイナル・デスティネーションの世界。ルー様の幸せだけを望んだ乙女たちの妄想の世界なのだ。

ここで待っていればやがてユージェニーが現れる。


……………ジェニータソ。

あの頃は存在していなかったタソ呼び。

ジェニータソ可愛いよ、可愛いよジェニータソ。

今では最早風化してしまったようなフレーズ。

私は今こそその言葉を思い切り叫ぼう!



………………虫だけど。






とは言ったものの、なかなかジェニータソは現れない。

そして犬の成長は早い。


『ねえ、フェル様』


私は相変わらず心で語りかける。


『…………何だ』


ああ、もうここにはあの可愛かったフェル様はいない。

僕、とかいう思念は飛んで来ない。

私は、綿に含まれた砂糖水をちゅうちゅうと吸いながらフェル様を眺めた。

犬は一年で成犬になるという。

体躯の大きなオオカミであれば、もっと時間は掛かろうかというものなのに、フェル様の精神年齢は体よりも遥かに速い成長を遂げているらしい。


『なんかさ、ここに不審な…………って言うと変だけど。今までいなかった人が近付いたら分かるの?』


フェル様は、当然だとでも言うように傲然と顔を上げた。

ふん、と鼻を鳴らして返事もしない。


………まあ、そうだよねえ。


フェル様は、最後にして最強。

人間の気配を感じる事など造作もない。


けれど、その瞬間、フェル様の耳がぴくりと立った。





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