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ラスボスを幸せにし隊 本日発足です! 【完結済み】  作者: えるぜ


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ファイナル・デスティネーション ファイナル



『聞いて、ここはファイナル・デスティネーションの世界だけれど、私達がサイトで読んでいた、あの小説の世界とは違うの』


どういうこと?と私は首を傾げた。


『ここはね、私達が話していた、ああだったらいいな、こうだったらいいな、そうなったらいいな、っていう私達の妄想の世界』


だからシザリオ美少年だったのか!


『そこ?』


そう言ってお姉ちゃんは笑った。

あの頃、お姉ちゃんの世界は本当に狭かった。私達は来る日も来る日も、この先こうなったらいいね、と小さな病室の中で語り合った。




シザリオさあ、勿体無いよね。なんで小太りなんだろ

そうだよね、せっかくお金持ち屋さんなのに。私はゲームはしてないけど、ゲームの中でも太ってたの?

いや、普通にナイスな青年だったよー

じゃあ……ダイエットでもしたのかな

ジェニータソに小太りは嫌い!とか言われて⁉︎

でも確かに、美少年だったらルージェニに混ざった三角関係とかもあったかも!

惜しい!なんでそんな美味しい設定を管理人さんは捨ててしまったのか!


笑い合った思い出が蘇る。


『だから………大丈夫だよ。貴女がこの世界を守り続けるから、きっと誰も不幸になんかならない。ここは、私達がこうなればいいなと思っていた物語』


ユージェニー………


一拍置いてお姉ちゃんがジェニータソに声をかける。


『お願いするね』


ジェニータソが小さく頷いて私の前に両手をかざす。


「ユージェニー!いけない!」


ヤマト博士が焦ったように叫んだ瞬間、私はピンクと金色の混ざったような光に包まれた。


はあ〜、極楽、極楽


久しく浸かっていない湯船に全身を投じたような温かさと気持ちの良さが私を包む。

光が消えた時、私はしっかりと両足で立っていた。







「なんだ…………ずいぶんちんちくりんなんだな」


沈黙を破ったのはシザリオだった。


「黙れシザリオ!」


いきなりの呼び捨てにシザリオは一瞬硬直した。


あんたなんか、私達がいなければ小太りだったくせに‼︎


私は洗面所に駆け込んだ。

そして自分の姿を見て呆然とする。

これは…………革命が起きた頃の自分だ。

まだお姉ちゃんも元気で、レディバードが頻繁に更新されていた頃。


『…………私の中では、この頃の貴女の印象が1番強かったから………」


なんだかお姉ちゃんの声が遠い。

そうだ、さっきお姉ちゃんは何か不穏な事を言っていた。


………………てんとう虫にしてはずいぶん長生きだった……………


急いでリビングに戻る。

どこ?お姉ちゃん、どこにいるの?


『ぼんやりだけど………覚えてるよ。フェル様の額がすべすべだった事や、ルー様の指先に止まった事』


声がどんどん小さくなる。





『砂糖水……………美味しかった………ね』


それがお姉ちゃんの最後の言葉だった。

逝かないで!私は必死にさっきまで自分だったはずのてんとう虫の姿を探す。


「…………アキ、そう呼んでいい?」


ジェニータソが大事な物を持つようにして両手を閉じて近寄って来た。


「アキ…………」


ジェニータソが、包んでいた両手をそっと開く。

手のひらの上にはもう動かないてんとう虫が1匹。


「……いやだなあ、死んだふり?」


私は泣き笑いをする。

てんとう虫の生態、外敵に襲われると死んだふりをする、これも昔仕入れた知識。

お願いだからふりだと言って。


「お姉ちゃん!また私を置いて行くの⁉︎やっとまた会えたのに!」


涙が止まらない。

てんとう虫に向かって叫び続ける私を、ジェニータソ以外の全員が不思議そうに見ている。


「お姉ちゃん!帰って来てよ!大事な事なら2回言ってよ!」


『ここは私達がこうなれば良いなと思っていた物語の世界。これからは貴女がこの世界を変えて行くの。ルー様とジェニータソを守ってあげて』


ルー様を幸せにしてあげてね。








「…………見送るわね」


ジェニータソが、傷ましそうに私を見ながら手のひらを上に上げる。

小さなてんとう虫は、小さな光の球になって、ジェニータソの指先まで昇り

……………そして消えた。


お姉ちゃんがいなくなった場所を呆然と見つめ、ダラダラと涙と鼻水を流し、どのくらいそうしていただろう。

ふと私は、傍に寄り添う温かい生き物の気配を感じた。


…………フェル様

フェル様も、お姉ちゃんの気配を少しは感じてくれていたのだろうか。

私は、ゴシゴシと顔を擦った。

そうだ、泣いていたって何も始まらない。

お姉ちゃんと約束したんだ。



お姉ちゃん、私、みんなを幸せにするよ。

ルー様を幸せにし隊、本日発足するよ!

『フェル様、隊員1号はキミだ』


フェル様の心の声はもう私には届かない。けれど、心得た、とばかりに小さく尻尾を揺らす。


「ヤマト博士…………話があるの」


長い話になる。




ここから、私が紡ぐ物語が始まる。




中3年も空けてしまいました。

初期の頃読んで下さった方々には申し訳なく、またありがたく

3年空いているにもかかわらず読み始めて下さった方々に

心から感謝致します。

プロットもなく書き始めた拙い一作ですが、

読んで下さった皆様、本当にありがとうございました。


リアクション等頂ければとてもありがたく、勉強になります。



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