表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ラスボスを幸せにし隊 本日発足です! 【完結済み】  作者: えるぜ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/17

ファイナル・デスティネーション

ぼんやりと野菜を洗っていたヤマト博士の耳に、シザリオの怒鳴り声が届いた。


「じゃあ、その力を使ってみろよ!」


いけない、とヤマト博士は反射的に思う。

母親の言葉が蘇る。


「ユーシスさんのお孫さんが産まれたの。その子は………私達とは比べ物にならないくらいの力を持っているわ。

可哀想に、これから2人は逃げ続けなきゃならないし、ユーシスさんは、お孫さんに癒しの力を使わせないようにと、必死になるでしょう」


「シザリオ、お客様の前で大声を出すものじゃありませんよ」


落ち着け、とヤマト博士は心の中で思う。

まだ子供だ。売り言葉に買い言葉で、ユージェニーが癒しの魔法を暴走させてしまうかもしれない。


「ユージェニー、一旦話を整理しましょう」


ヤマト博士がソファに座った。


「ユーシスさんは、あなたに薬1つ作らせなかったのではないですか?」


ユージェニーは一つ瞬きをした。


「そう。お祖母ちゃんは、私に何一つ手伝わせてくれなかった。でも、お祖母ちゃんの体が悪い事が自然に分かって…………それを治す薬を作った。驚くほど簡単だったわ。博士は知っているの?何故私達は引っ越しばかりしていたのか、何故私は何の役にも立たなかったのか………………なんでお祖母ちゃんは姿を消してしまったのか」


ジェニータソが嗚咽を漏らす。


「薬を作ってしまったんですね。ユーシスさんは………それを飲まずに姿を消した」


「……………何も感じないの。お祖母ちゃんの気配をなんにも。ひょっとしたら…………そう思ってここへ来たの」


恐らくもうユーシスさんはこの世にいないのだろう、と博士は思った。


魔力を発動させてしまった孫娘と一緒にいたら、2人の力が相まって、見つかってしまう可能性が大きくなる。そして、気配を感じない、と言う事が何を意味するのか、この少女も分かっているのだろう。


大体、話がうま過ぎたんだ、博士は自重気味に思う。

ルーシャスを連れ出せた事も、ルーシャスを憎めない事も、シザリオが協力してくれた事も。

…………ルーシャスが黒オオカミとてんとう虫を拾って来て、その表情がどんどんと和らいで行った事も。


役者が揃ってしまった。


早晩、ユージェニーは見つかってロトタワーに幽閉されるだろう。

そして、出産が可能な年齢になったら、第二の母胎として被験者にされる。


『大丈夫だよ』


私の耳に、再びあの声が響いた。

20年近く聞いていない、懐かしいお姉ちゃんの声。


『お姉ちゃん?どこ?どこにいるの?』


同時にジェニータソも、亡き濡れた瞳を上げる。


『貴女のお姉さんね、貴女と一緒にいる』


え⁉︎どう言う事?


『誰の事も分かるわけじゃない、貴女は特別だ、って言ったでしょ?』


ジェニータソは続ける。


『最初に会った時から不思議だった。1匹のてんとう虫の中に2つの魂が入ってる。そして、私と貴女は思念で会話が出来た。だから、貴女のお姉さんの事も分かったの』


私はぶぶと飛んで、ジェニータソの前に着地した。


『お姉ちゃん、同じ体の中にいるなら、何で今まで話してくれなかったの⁉︎』


『半分眠って、半分覚醒しているような感じだったから。でも、ジェニータソが来てくれて、意識がはっきりしたの』


また話せて嬉しい。お姉ちゃんはそう言った。


『私ね、貴女の部屋の勾配天井の1番上で、貴女をずっと見ていた。冬を越したから1年近く。てんとう虫としたら長生きだったわ」


勾配天井!

くっ、死角だから気づかなかった。

お姉ちゃんは本当にてんとう虫になって、私に会いに来てくれていたんだ。


『あの日、貴女がみんなの100万回の思いを乗せて、エンターキーを押した瞬間、この世界に貴女の魂が引っ張られたの』


まさかの幽体離脱だったか!


『それでね、剥き出しの魂のままじゃあまりにも危険だと思って、私の体に貴女の魂を乗せたの』


ユージェニー、とお姉ちゃんがジェニータソに語りかける。


『大丈夫だよ、って。ヤマト博士に伝えて』


『大事な事だから、よく聞いてね』


私の頭の中に再びお姉ちゃんの声が響いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ