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空は花を見つける~貴方が私の運命~  作者: 小畑 こぱん
―巡るひととせが繋ぐもの―
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Episode273-2 クラス演劇と香桜祭三大不思議


「「「香桜祭三大不思議?」」」

「あ、やっぱり皆知らなかったよね」


 本日の全てが終わって、『花組』に集合をかけた私の部屋でくつろぐ三人にそのことを告げると揃って首を傾げて返されたので、やっぱりとなった。

 知っていたら装飾課ゲート班の話が出た時に絶対口にしていた筈だし、そもそも『妹』である私たちの耳に入らないように規制が働いていたのであれば、知らないのは当然のことである。


 今日の特別授業でクラス演劇の配役決めでそんな話が出たことを説明すると、『ジュリエットはどこへ消えたのか』で桃ちゃんは悲鳴を上げたし、『奪われてしまった救世主の輝き』では麗花ときくっちーが過敏に反応した。ちなみに『折り鶴を抱えた逃走者たち』は三人とも「ああ……」となった。


「というか、どうして配役決めでそんな話をしているんですの。真面目に進行なさいな」

「だって気になったんだもん」

「まあしょうがなくない? そんな話されたらアタシも気になっちゃうし。だってアタシたちの『お姉様』の話だぞ?」

「桃、あの時お仕事ちゃんとしなくちゃ!ってなってたから、全然知らなかった……」


 雲雀お姉様と副会長業務をしていた桃ちゃんがそう言うのに対し、麗花も考えるような素振りを見せてから、当時のことを口にする。


「私も千鶴お姉様とご一緒の時は、そんなご様子は微塵もありませんでしたわね。もし本当に殿方に恋をしていらっしゃったと言うのであれば、教室以外でもふとした時にそういうのが出るのではなくて?」

「アタシは違うと思うけどな。それに何で皆恋愛と結びつけようとするのか、アタシはそれこそ不思議でならない」

「去年の香桜祭を思い出せば、貴女だけはそんなことを言えないのではなくて? 葵」

「うぐっ!」


 ド正論かまされて床に倒れたきくっちーを尻目に、考察は続いた。


「麗花と一緒の時はどんなご様子だったの?」

「そうですわね。去年の帳簿を元に今年の予算などを色々と確認して照らし合わせたりしておりましたから、大体帳簿と向き合っていたので、特にご様子までは……。私がお姉様に質問して教えて下さるの繰り返しが主でしたので、私といらっしゃる時は他の思考が入る隙間はなかったと思いますわ」

「なるほど。じゃあやっぱりこれもお姉様本人に確認しないとダメかぁ」

「え、確認するの?」


 きょとんとする桃ちゃんに頷く。


「うん。だって不思議なままだと気持ち悪いし。それに雲雀お姉様の直の『妹』としては、やっぱり気になるし。皆も気にならない?」

「……桃はポッポお姉様が犯人じゃないって信じたい! だからちゃんと聞いてみる!」


 キリッとした顔でそんな決意を述べているが、桃ちゃんはポッポお姉様に裏の顔があることに気付いていたのだろうか?

 というかそんなことを言っている時点で、先輩を消した犯人だと若干疑っているも同然なんだけど。


 すると今まで床に倒れ伏していたきくっちーがパッと起き上がった。


「お姉様たちと会うんならアタシも行く。気になることがあるんだ」

「気になること?」

「うん。話聞いてる内に思い出したんだけど、椿お姉様もあの時期、ちょっと変なご様子だったんだよ。変って言ってもそう目に見えてって感じじゃなくて、何かソワソワされてた」

「ソワソワ」

「ソワソワ」


 あの厳格な椿お姉様からは想像もつかないようなオノマトペだ。……いや、待てよ。


「もしかしてそれ、衣装決めしてからの話?」

「いや、それより前だったけど。何で?」

「某ネズミーになるのが待ち遠しかった線があるかと思っいたっ!」

「とにかく! この三大不思議すべてには、お姉様方が関わっているということですのね。私も話を聞いた以上は捨て置けませんし、本格的に香実の補佐に入る前に確認するべきですわ!」

「ねえ何でいま私の頭叩いたの!? ねえ!?」

「じゃあ桃がポッポお姉様にメッセージ送って、皆で集まれるか聞いてみるね!」


 何故か麗花からスパンッと頭を叩かれた私以外は皆頷きあって、翌日桃ちゃんがポッポお姉様に連絡を取った結果、次の休日で久し振りに『鳥組・花組』姉妹が一堂に会することとなったのである。



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