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空は花を見つける~貴方が私の運命~  作者: 小畑 こぱん
私立清泉小学校編―高学年の2年間―
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Episode148-2 初詣お家デートの始まり


「じゃ、お参りするか」

「あ。その前にお参りの手順を確認させて下さい。鳥居に一礼して、それから手水でしたよね?」


 聞くと意外そうな顔をされた。


「やっぱ良いところの令嬢だな。そういうのしっかり教育されてるんだ」

「いえ。こればっかりはお母様の教育ではなく、知り合いのマナーの鬼からの教わりでして」


 三年生の時くらいの冬休みにそういう話になって、お正月は日本にいたい純日本人である麗花は、お参りとはこういうものだと教えてくれたことがある。

 全然覚えられなくて何度も聞いたら、家の玄関を神社に見立てて実地で手取り足取りしごかれた。うん、多分体は覚えている筈。


「おう。手水にも順番あるけど、そこは説明が貼り出されてるだろ。清め終わったら会釈して、賽銭を入れてお辞儀二回。後は二回拍手してお祈りして、最後にまたお辞儀な」

「……そう言う太刀川くんもよくご存知ですね」

「例によって兄貴からの教えだ」

「おおう」


 覚えられる裏エースくんもすごいけどな。


 そうしてお互いに確認しながら一緒にお参りし、お祈りする時になってハタとなる。

 あ、何お祈りするか考えてなかった。ど、どうしよう。ここはやっぱり空気読んで合格祈願か!? それとも『麗花私のお義姉さん化計画』の成就か!?


 内心焦って薄ら目を開けて隣に並ぶ裏エースくんをチラ見すると、目を閉じて真剣な様子でお祈りをする横顔があった。


「……」


 薄眼を閉じてお祈りする。



 ――太刀川くんとずっと、ずっと一緒に笑い合えますように



 パチッと目を開けて再度隣を確認したら、パチッと視線が合った。


「!?」

「ほら、お辞儀するぞ」


 言われて慌てて深くお辞儀した後、腕を引かれて後ろに並んでいた人に譲ってその場を少し離れて止まる。


 ……見られてた!? ガッツリ視線が合ったことからして、ずっと見られていた!? いつから!?


「お、お祈りする時はちゃんと前向いてなきゃダメじゃないですか。なに私を見てるんですか」

「花蓮だって俺のこと見てただろ」

「!!?」


 何故バレてる!?


「……別にカマかけたつもりじゃなかったけど、お前ちょっと反応素直すぎるぞ。何か頬の辺りがかゆくなったから、見てんだろうなって思っただけだし」

「どんな察知能力ですか!」


 碌にコソ見できないじゃん! 大勢に紛れてないとコソ見できないじゃん!

 そう言えば、前に偵察任務した時にもすぐに見つかった! さすが出来過ぎ大魔王!!


「お相子あいこお相子。おみくじとお守り、先にどっち買う?」

「え、え。じゃあお守りで」


 お祈り内容聞かれたりとか、見ていたことをもっと突っ込まれるかと思ったのに、普通に次のことを聞かれた。

 拍子抜け……いや、普通でよろしい、普通で!


 そうして神社に着くまでは合格祈願とか言っていたけれど、よく考えたら合格確実なのに合格祈願のお守り要る?となり、一番必要そうなのを選んだら家内安全になった。

 この家内安全のお守りに、私はブラック企業退散の念を込める……。お父様、貴方の行いをこのお守りと共に見ておりますよ……。




 お守りを買ったら、次はおみくじ。

 振ったらカラカラ鳴るおみくじ筒から飛び出した、棒に記載されている数字と一致した引出のおみくじ箱から、一枚を取って広げると。


「あ、中吉です」

「俺大吉」

「えっすごい!」


 見せられたそれには確かに大吉と書かれており、本当どんだけである。

 そうか。裏エースくん、今年はウハウハなのか……。


 さっきお祈りした効果が最速で出始めたようで、私のお祈りの力もすごいなと自画自賛しながら、自分の内容をじっくりと読む。

 中吉らしく良いことが結構書かれてある中で、しかし一つだけ気になる項目が。



 【争事】友にあり



 待って。本人じゃなくて、私のお友達に争事が起きるってこと? 何それ怖い。

 というか本当に何か起こったら、これ引いた私が悪いということになるのでは? 土下座で済むだろうか。


 悶々としていたら、「何か悪いこと書いてあったのか?」と聞かれたので、これだと指を差す。


「私のお友達に争事が起きるそうです。何故私に降りかからないのか。私のせいで他の人に不幸が降りかかったら、どうすればいいのか分かりません……!」

「いや、ただのおみくじだろ。そう本気にしなくてもいいだろ」

「太刀川くん! おみくじは神のお告げも同然ですよ!? そんな無礼なことを言っていいとでも思っているんですか!」

「お前、絶対サンタクロースいるって信じてるタイプだろ」


 さすがにサンタさんは信じてないよ!

 部屋で枕元にプレゼントを置こうとしたみたいで、けど暗くてよく見えなかったっぽいお父様が壁にぶつかった音で起きちゃったもん! 寝てる振りを続けて、お父様サンタの名誉はちゃんと守ってあげたよ!


 プンプンする私の頭を一撫でし、体をとある方向へと向けさせられた。


「ほらあっち。紐に紙が結んであるだろ? あそこがおみくじ掛けだから、ちゃんと結んで帰ろうな」

「持って帰らないんですか?」


 首を後ろへ傾けて聞くと、笑って説明してくれる。


「良くない内容があったんだろ? そういう場合は、結ぶことで厄を落とすって聞いた。後は内容を覚えていられたりとか、内容に納得したりとかした時にも結んでいいんだってさ。俺は覚えたから」


 そうなんだ。

 というか、覚えられたとか本当出来過ぎ大魔王。


 言われた通りにおみくじ掛けに二人でおみくじを結んで、これで私は厄落とし完了。もうこれでお友達に争事なんて起きません!


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