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空は花を見つける~貴方が私の運命~  作者: 小畑 こぱん
私立清泉小学校編―1年生の1年間―
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Episode60-2 麗花の報告

 たっくんがそんな瑠璃ちゃんに尊敬の眼差しを向け、彼女のシュミレーションも落ち着いた頃、何やら麗花がモジモジとした様子で私達をうかがってきた。


「じ、実は今日、二人に重大な発表がありますの」

「重大な発表?」


 本人は隠しているつもりだろうが、口元がニヨニヨと動いていて嬉しそうなのがパッと見ても分かることから、良い発表なことには違いない。瑠璃ちゃんもそんな麗花に嬉しそうな顔を向けている。


 たっくんが「僕、聞いていいの?」と言うが、発表者の麗花が「ぜひ居て下さいませ」と言ったことから、大人しく聞く体勢に入った。


「こほん。えー、長らく心配をお掛けしておりました、私の学院でのお友達作りですが……先日、ようやく一人、お友達ができましたの!!」


 きゃー言ってしまいましたわ!と顔を手で覆って恥ずかしがる麗花に、聞かされた私達はポカンとした表情をさらす。


 友達って……友達……えーっ!?


「なにそれ麗花おめでとう!」

「やったね麗花ちゃんおめでとう!」

「ありがとうございますわ!」


 きゃーっと立ち上がって駆け寄り、顔を覆う手をぎ取ってブンブン上下に振って喜びをぶつける、まるきり同じ行動をした私と瑠璃ちゃんに麗花が笑顔で応える。

 そんな私達をポケッと見つめるたっくんに気づかぬまま、興奮冷めやらぬ私と瑠璃ちゃんは麗花へと質問をぶつけた。


「経緯は!? どんな子!?」

「同じクラスの子? 女の子?」

「もう、落ち着いて下さいませ! そ、そうですわね。男の子ですわ」

「「男の子!?」」


 うそでしょ!? 女子だけで手いっぱいとか言っていたのに、友達男子なの!?


「無口でいつもお一人でいらっしゃる子なんですけれど、一本筋が通っていると言いますか、意見はしっかり言って下さりますの。私のこともこ、怖くなくて、しっかりしているって。お友達になって下さいって言ったら、承知したって言って下さりましたの!」

「へぇ~。承知って、難しい言葉使うのね」

「麗花が一方的に喋ってるの?」

「まぁ、ほとんど私が話しているのを聞いて下さっている感じですけれど。で、でも自分はこう思うとか、言うところは言って下さりますもの。顔にもすぐ出ますし。同じクラスではありませんから、お昼休憩とか放課後しか会えませんわ」


 同じクラスじゃない男子。

 やだ、すごく経緯気になる。


 あ、待って。放課後って最近麗花、サロンにもよく顔を出すようになったってお兄様も言っていたし、もしかしてその男子ファヴォリ?


「その子ってファヴォリ?」

「そうですわ。一応私とは近い立場の子の集まりでしょう? たまにサロンに行った時にクラスの子よりはもしかしてって思って、こっそ……よく観察してたのですが、他の子はお喋りしたり勉強したりして色々しておりましたのに、奥の隅のソファから全然動きませんの。目だけ少しは動いておりましたけど、もう気になって仕方がありませんでしたわ! 勇気を出して隣のソファに座る許可を頂いて、それから少しずつ話すようになりましたの」


 こっそり言い直したな。


 今までも会った時に相談とかされたりしていて、麗花が頑張っていたのはよく知っている。

 だから、その頑張りが実ってすごく嬉しいと思う。ちょっと聞いていてその男子、何か変な子だけど。


「良かったね、麗花」


 満面の笑顔でそう伝えれば、目を見開いて、そして嬉しそうにほころんだ。


「ええ!」

「よし! 今日という日は、麗花友達ボーイ記念日と名付けよう!!」

「そんな恥ずかしい記念日名は却下です!! 貴女のそのセンスの欠片もないネーミングセンス、いい加減どうにかなりませんの!?」

「色々。色々台無しになっちゃったわ、花蓮ちゃん……」


 そうして女子三人できゃいきゃいしていると、今までポケッとしていたたっくんが。


「何か、普通の女の子だね」

「え?」


 ポツっと言ったその言葉に、彼へと視線を向ける。

 たっくんは目をパチパチとさせて私達を見ていた。


「花蓮ちゃんもそうだけど、薔之院さんもすごくお嬢さまって感じの子なのに、悩んでることとかそうやって女の子で楽しそうなのとか、僕達と変わらないなって」

「……」

「あっ。な、生意気言ってごめんなさい!」

「花蓮が柚子島さまをあんなに好き好き言っていたの、しっくりきましたわ」

「えぇっ」


 たっくんを見つめてこくりと頷く麗花に、ニマーと私の目尻がやに下がる。


「でしょう!? 拓也くんはとても素敵で魅力的で、とっても良い子なんです!」

「花蓮ちゃん僕さっき自重してって言ったよね」

「はい」


 すぐさまお口チャックする私を見て、麗花と瑠璃ちゃんがプッと笑った。


「花蓮ちゃんが学校でどんな感じなのか、とってもよく分かるわ」

「花蓮のことよろしくお願いしますわ、柚子島さま」

「……はい!」


 麗花にそうお願いされたたっくんは、ソワッと視線を少し彷徨さまよわせた後に私へと戻ってきて、照れたようにそう返事をしたのだった。


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