第6話:医師達とのコンピューター研究会1
それを聞いて、T教授もマッキントッシュの連中も理論的には可能ですが、そのためには、最高級ベンツ5台以上の値段がかかり、現在の技術では、理論的には可能でも物理的に不可能と言った。だから60点なのだと笑った。それだけわかっただけでも今日、来てもらっただけの成果は、あったと言った。
そして話を聞き終えた常本肇は、医局を後にした。そして大学病院の玄関の陰で隠れていた。その後、玄関から出て来た医療関係者に良かったら一緒に食事をしませんかと誘ったが、無視されたり、笑われたり、車だから飲めないしと言われたりした、しかしタクシーで送ってくれるならOKという、男が2人、現れた。
30歳位のメガネをかけたインテリ風の男だった。そして君の名刺を頂戴できますかと聞くので、常本肇が、日本電気の名刺を渡すとニヤッとした。彼も名刺をくれ医薬品のメーカーの池辺と名乗った。そして、もう2人も連れていってい良いかとその男が言うので、同じ会社の人かと聞くと、さっきの教室のドクターだと言った。
そりゃありがたいと常本が言った。少しして3人が揃い大学病院の前に待っている、タクシーに分乗し松本城の近くの地元の料理屋、居酒屋に到着。暖簾をくぐると品の良いおばあさんが、その男を見て個室になさいますかと聞くと頼むと答えて案内されて個室に入った。真ん中に囲炉裏があって信州の民芸調の雰囲気のある素敵な部屋だった。
その男が仕切って、先生、何にしますと聞くとビールと言い、つまみは、お任せで良いですかと聞くと、おでんと味噌おにぎり、お焼きを手際良く注文した。ビールが来ると、まずは、今日の成功を祝してと言い、乾杯と言った。その後、その男が、ごめん、驚かせてと言い、僕は、昔からコンピュター、オタクだと言った。
最初に購入したのが。日本電気のTK80だと話した。その後、3人の先生が自己紹介し、いずれも医局の中堅、若手の先生だった。その男が、実は、僕らは、大学のコンピュター研究会のメンバーなのだと、あかし、今晩の実験の手はずも、教授に頼まれて半年前から、アップル社、IBM、日立、富士通、日本電気に連絡したと言った。
その中で、唯一、IBMだけが、無償で、引き受けてくれたと話した。すると、今後も情報いただけますかと思わず、常本肇が、彼にお願いした。あー良いよと言い、但し、日本電気さんだけを優先することだけはできませんがねと笑った。つまり、えこひいきはしないと言う方針で行きますときっぱりと言った。
わかりましたと答えてビールを飲み、うまい物を食べながら常本は、彼に教授は、最終的に、どこまで希望されているのですかと聞くと、君、営業経験少ないねと笑った。そんな、大事な事を最初に聞くべきではないと思いますよと笑った。そして、これを教えたら2次会も頼むよと肩をたたかれた。
了解ですと答えて、汗をかいた。それを見て、みんなが、笑って、君は、営業じゃなくて技術屋さんだねと指摘した。すると常本もその通りですと言い、ビールをおかわりをお願いしましょうと言った。そして教授の求めているのは、カルテをデータベース化することだよと教えた。
それを聞いて素直な、常本は、思わず、えーと言って、どうやってと、さらに質問を重ねた。あんた技術屋さんの割に図々しいねと、彼が、言った。全部、俺から聞き出そうってのかいと言って笑った。まー良いかと言い、じゃー、教えてやろうと言い、データベースと聞くと、君は、どんなソフトを想像すると聞かれた。
それに対しデーターベースⅡ、Ⅲと答えた。意外と知ってるじゃないかと肩をたたいた。君は、そのソフトを知ってるかと聞かれ、うっすらと言いリレーショナルデータベースですよねと言い、多数のデータを分類されたフィールドに入力し大きなデータベースが完成後フィールドごと並べたりキーワードで検索したりするソフトと答えると、その通りと言った。
そのフィールドは、文字、数字だけだが、将来、画像を入れたいと言うのが、秘密事項だが、T教授と、我々コンピューター研究会の最終目標だと言った。写真入りリレーショナル・データベース。もし、それができれば、レントゲンの入ったカルテのデータベースが作れる。