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電子カルテの創成期  作者: 播磨王65
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2話:漆器職人の子が、コンピューターに興味を持つ

 長野県木曽に昔から木曽漆器店を営んでいる常本家があった。1929年生まれの常本一郎は、古くから常本一族の分家筋で10人の漆器職人と3人の弟子が、その技術を勉強していた。大きな農家を改造した家を常本漆器店の宿舎として提供して寮生活をさせていた。1960年代の高度成長期も人気があり引き合いが多く、繁盛していた。


 しかし、常本一郎は、愛弟子「まなでし」達がしっかりと仕事を後輩の弟子達を教えて、奥さんの常本繁子も商売上手で、経理をしっかりやって常本商店を経営していた。そのため、常本一郎は、悠々自適な生活をしていた。そして1950年代、やっと窯元が、再開されると松本のN証券に口座を開いた。


 そして電話で、証券会社の担当者と連絡し合って、大型株を中心に売買し始めた。その後、木曽漆器の商売で。利益を徐々に増やしていった。そんな1955年「昭和30年」5月に、待望の長男、常本肇が、誕生した。1956年12月に長女、常本和子、1958年10月、次女、常本慶子が誕生し子供3人の5人家族になった。


 もちろん、その当時、塩尻に移り住み、5人で生活をし、仕事場の平沢の常本屋まで車で30分かけて通勤し、忙しい時には、平沢の常本屋に泊まり込んだ。店では木曽漆器は、もちろん漆器作りの道具、木工細工、お土産品を販売する商店も経営していた。長男の常本肇は、父から小さいときからソロバンをみっちりと仕込まれた。


 そのため、金勘定の早い子供になり店の経理を手伝った。長男の肇は、中学に入っても数学、科学が、得意な子供に育った。一方、長女、次女は、化粧品、洋服に興味を持ち、東京に憧れていた。そのため、将来、東京の大学に入って東京に住みたいわと憧れていた。常本肇は、中学2年になり、めざす高校を長野県立深志高校と決めた。


 その後、猛勉強し、同学年でもトップクラスの成績となり合格。その後、東京の理系大学をめざし夢は東大、東工大、落ちても早稲田大学理工学部に入るのを夢見ていた。父も応援するように、できたばかりの松本の大学予備校に通わせた。やがて、高校3年、志望校を東工大と早稲田大学理工学部として受験票を手に入れた。


 そして、1974年2月に上京して東工大を受験して見事合格した。そして、この頃、アメリカで使われ始めたコンピューターに興味を持ち、電子工学科に入った。この頃、父の一郎は、日本株投資と古い友人の吉村朝吉さんがN証券に勤めていたので情報をもらいながら資産を増やしていた。


 そのため商店は、母と働いていた男女2人の合計3人で販売、在庫管理、仕入れなどを全部、やっていた。そして、たまに一郎が店に顔を出す程度。そして下平哲平さんが、家に来ては、これからの日本経済は、急速に発展するから日本株投資は、有利だと酒を飲みながら熱弁を振るっていた。


 常本肇が、東京都内は、家賃が高いので川崎の中原から自転車で15分の風呂付きの2DKの古いが大きな家を借りた。すると、兄弟の常本和子と常本慶子が東京に来る時、1部屋を借りて、ちゃっかりホテル代わりに使った。常本肇は、好きなコンピュータの勉強が出来たので、夜遅くまで研究室に残った。


 そしてコンピューターの勉強を熱心にしていた。そして将来、大型コンピューター会社なら日立、東芝、三菱電機への入社を考えた。小型コンピューターなら日本電気、日本電気、ソニーに入社したいと希望を膨らませていた。1960年代半ば、始まった経済産業省主体の大型プロジェクト超高性能電子計算機開発計画に興味を持った。


 それは、アイビーエムなどの海外のコンピューターの助けを借りず日本独自のコンピュータシステムを構築していこうと言う壮大な計画だった。その後、通産省の下でコンピュータシステムの開発を進めた。1973年、日本でもコンピュータの輸入自由化が、閣議で、決定された。


 アイビーエムを初めとする海外メーカーに日本市場を席巻されると考えた通商産業省は、国内コンピュータ業界の再編に乗り出し、当時6社あった国産コンピュータメーカーのうち東芝とNECを1つのグループとし、補助金を支給のうえ、各社に「IBM対抗機」を開発させた。この際に開発されたのが、日本の国産メインフレーム・エイコス・シリーズだった。

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