男の全裸とか誰得ですか? やけに懐いてくる猫被り後輩と俺の関係が絶対におかしい
俺の人生において、未来永劫、絶対に関わることのないと思っていた彼女の様な人間との最初の出会いは、最悪だった。
見知らぬ後輩に全裸を見られた。
保健室のベッドを仕切るカーテンを開いて目を丸くした見知らぬ女子と、寝起きで状況を理解できず、彼女を見返す俺。
何が何だか分からないと言った顔で、じっくりと俺の全身を下から順に見上げていって、最後にもう一度俺の股間に視線を固定した。
じっくりと、俺の股間を見つめ続ける。
そして、数秒じっくりと確認した彼女は、顔を羞恥に染め上げて悲鳴を上げた。
「――――へ……え…………ひゃぁぁっ!?」
「ど、っど、どおおおおおぉぉぉぉ!!??」
女子の悲鳴によって正気を取り戻した俺も、共鳴するように悲鳴を上げた。
まさに保健室の中は、羞恥と羞恥のオーケストラ。
俺達の悲鳴と言う爆音で、駆け付けた保険医によりさらに被害が拡大したのは言うまでもない。
そして、恐らく俺の母親よりも、俺の股間をじっくり眺めた彼女と、まさかこれから先も関わりを持つとは、その時想像もしていなかったのだ。
「せーんーぱーい!! なんで置いてくんですかー!? 私、先生に呼ばれてるって言ったじゃないですか! 少し待っててくださいって、言いましたよねー!!!」
「うっせぇっ!!?? 耳元で叫ぶなバカ野郎!! お前のせいで何度イヤホンの音量が物足りなくなったと思ってるんだ!?」
「先輩が私をないがしろにするから悪いんですぅ!! こーんな可愛い後輩が、『待っててください(ハート)』って言ってるんですから、カッコつけるべき先輩は、『ああ、お前の為ならいくらでも(渋イケボ)』って言うべきなんですぅ!!」
「無駄に声真似うまいなぁ!! って言うかどんなシュチュレーションだっ、聞いてるこっちが恥ずかしくなるような夢小説は自分の部屋の中だけにしてろボケナス!!」
「はぁ? 先輩がこんなイケボな訳ないじゃないですか。ナルシストもほどほどにして下さい」
「なんだぁテメェ?」
もう見慣れてしまった彼女とのやり取りは、もう数か月続けられている応酬だ。
既にお互いに遠慮が無くなり、どう考えても人前には見せられないような汚い言葉の応酬だが、もう周囲の人は慣れたもののようで、買い物途中のよく見る奥さんなんか、もう毎度のように微笑ましそうに俺達を見ている。
流石に、周囲の状況に気が付いてしまうと恥ずかしくなってくる。
「あー、やめだやめ。また俺ら微笑ましそうに見られてっから、こいつら馬鹿だなぁって目で見られてっから。俺、清廉潔白で通ってる優等生の優斗君だから、お前みたいに評判下げたくないし」
「夫婦漫才みたいな感じじゃないですかぁ、別に私は気になりませんよ?」
「夫婦漫才って……お、お前、何恥ずかしい事言ってんだっ……!」
「はい、糞童貞ポイント加算ですね。流石に吐き気を覚えるので気を付けてください」
「お前っ! いつか! 泣かすからな!!」
一年前、保健室で全裸を見られたあの事件で対面した女子こそ、この不遜系ドアホ後輩である、立柳紫苑。
お互い不幸な事故だったと納得して、事件は終わったものの、どちらも思春期真っただ中の二人だ。
顔を合わせるのは彼女も気まずいだろうと、最初こそ俺は別学年の彼女と出くわさないように気を使っていた訳だが、この立柳紫苑は何を思ったか、数日後、問答無用で俺のクラスまで突撃してきた。
『せーんぱいっ! 愛しの紫苑ちゃんが会いに来てあげましたよ☆』
『…………はい?』
呆然自失とはこのことだろう。
被害者は俺だが、花も恥じらう年頃の女子に見知らぬ男の裸体など毒にしかならない筈だろうと、何とか顔を合わせないようにしていた俺の努力が全て木っ端微塵に吹き飛んだ訳だ。
最悪なことに、立柳紫苑と言う後輩は学校中の話題を搔っ攫う超有名人。
曰く、外を歩けば芸能事務所にスカウトされる。
曰く、入学一カ月で告白された回数は三桁を超えた。
曰く、付き合った回数は数知れず、芸能人と付き合っていたこともある。
そして例外なく、付き合った男性は短期間のうちに立柳紫苑にこっぴどく振られる、と言うものだ。
良くも悪くも話題の尽きない人物。
話題の中心で、かつその卓越したコミュニケーション能力から友達も多いらしく、常に彼女のクラスでは紫苑を取り巻く人間が溢れているらしい。
陽キャここに極まりと言わんばかりの彼女が、クラスの端でボッチ街道一直線だった俺の元へ突撃してきたのだ。
クラスでいつも俺を馬鹿にしていた陽キャ達が目を剥いて俺を見ていたが、そいつらよりも俺が驚愕していたのは言うまでもない。
住む世界が違うどころか、吸う空気すら違う生物である彼女との接点など、平穏無事に生活できればと思っていた俺にとっては厄介なものでしかない。
なんとか拒否ろうと、なんとか逃げようと、涙がにじむ様な苦心を続けた俺だったが、抑えようとする周囲の制止も一切聞かずに、彼女は俺の元へ通い続けた。
授業の合間にやってくる。
休み時間に入って数秒で教室にいる。
帰る時は誰かが席を立つ前に、俺の後ろに立っていて。
トイレの窓から逃げ出せば、なぜか正門で待っている。
結果、折れた。
俺の逃げようとする心が、見事なまでに折れ曲がったのである。
『なんなんだっ!? お前っ、拒否られてることに気が付けないほど馬鹿なのか!? 俺は少しもお前と一緒にいたくないんだけどっ!!??』
もういっそ嫌われてしまえ、と、口にしないで仕舞い込んでいた俺の不満を思い切り彼女にぶつけた時、ニヤリッ、と見せた彼女の悪い笑顔は今も忘れることが出来ない。
『ようやく本心見せましたね? 優斗、せんぱぁい☆』
その時の、捕食者を思わせる獰猛な笑みを見たのは恐らく俺一人だった。
それからだ、罵倒の応酬のような関係が始まったのは。
気が付けばいつも隣にいる。
頼んでも無いのに弁当を作ってきたり、好みの髪形を聞いて馬鹿にしてきたり、次の日その髪型にしてきたり、勉強を教えろと駄々こねてきたり、デートに連れて行けと駄々をこねたり、と要求は際限ない。
……まあ、弁当は最初はえげつなかったが、今は美味しいし、これだけなら俺が苦労するだけなので我慢するが、コイツと関わっているとクラスメイトからの視線が恐ろしく痛いのだ。
その癖、それを分かっているのか、周囲に見せつける様に体を密着させて、甘えたフリをしてくるから始末に負えない。
最初こそ気を使っていたが、すぐに気を使う必要すらないと、遠慮はとっとと放り投げた。
その結果出来上がったのが、今の惨状である。
「せんぱいー、何黙ってるんですか? 可愛い紫苑ちゃんのオーラにあてられて意識が飛んじゃいました?」
「……お前は相変わらず世界で一番自分が可愛いと思ってるんだな。ずいぶん自信のあるナルシストなようで」
「じゃあ先輩私よりも可愛いと思う人言ってみてくださいよ、10秒以内ですよ?」
「はっ!? ちょ、まてよっ……!? え、え、えっとぉ……?」
「いーち、じゅーうっ!! はい、私の勝ち! 先輩公認の世界一可愛いグレート美少女紫苑ちゃん爆誕!!」
「色々やり方汚ねぇしっ、なんか追加で変な称号が付いてるんだけど!?」
ブイッ、と両手でダブルピースを決めた後輩に思わず笑いが零れた。
陰キャで、友達も居なかった俺が、学校をここまで楽しいと思えるようになったのは間違いなくコイツのおかげなのだ。
まあ、なんだかんだあったが、この不遜で失礼極まりない後輩の事が嫌いでは無かった。
理由は分からないが、俺に懐いてくれて、積極的に話しかけてくれるこの後輩には手を焼かされるが、助けられたことも少なくないのだ。
だが、だからこそ目的が分からない。
俺の何の変哲もない裸体を見て、いったい何が彼女をここまで俺に執着させたのか。
正直、俺の顔はそんなにイケメンではない。
この後輩に告白する奴どころか、そのへんでナンパしてくる男の方が顔が整っている可能性すら十分にあるだろう。
だから、恋愛的な好意を持たれているだなんて勘違いはあり得ない。
より取り見取りな彼氏候補の中から、よりにもよって地味で暗い性格の俺を選ぶ理由が無いからだ。
「なあ、馬鹿後輩。1つ聞きたいんだが」
「ぶいぶい? いきなり改まってなんですか先輩、ポンポン痛いんですか? トイレくらい付き合いますよ?」
「いやそれは付き合うなよ……。だから、何が面白くて俺に付き纏ってるんだ? いや、最初の頃とは違って、もう俺もまんざらでも無いんだけど、俺よりも構って面白い奴なんて幾らでもいるだろ? だから、どうして飽きもせずこう毎日俺のところへ通い詰めるのかなって、思って」
「んー、中々糞童貞ポイント高い質問ですねぇ☆」
ふふんと、彼女は自信満々に胸を張った。
「先輩私の噂色々聞いてるんじゃないですか? めちゃ可愛いとか、告白されまくってるとか、めちゃくちゃ可愛いとか、彼氏が一杯いるとか、地上最かわ生物とか、彼氏振りまくってるとか」
「……いや、ほとんど自慢じゃねーか」
「正直そういうのめんどくさいんですよねぇ、まあ、私だって恋に憧れる年頃の少女ですから? この人はっ、と思える人を見付けたくて、試しにカレカノの関係になってみたりしましたが、どれもなんか違う人ばかり。で、そういう噂が蔓延しちゃってて、息苦しかった時に先輩の裸を見た訳です。それで、『あ、この人無害だ』って思った訳です」
「……?」
前後のつながりが分からない。
陽キャ特有の言語だろうか。
「だってぇ、普通私みたいな超絶美少女と接点があったら、もっと関係を深めたいって思うのが当然じゃないですかぁ? それなのに、その後の先輩は私を避けて避けて避けまくるから、もうこれは逆に振りだなぁと思って突撃したわけです」
「……???」
やっぱり分からない。
もしかするとこいつは宇宙人なのかもしれない。
「まあ、そんな訳でっ! 先輩と関わるの面白いなあって思ったんです!」
「いや、どういう訳……?」
説明が終わってしまったようで困惑する。
結局何一つ疑問が解決しなかった。
「もうっ、先輩っ! こういうのはパッションで話を理解するんです! うぇーい系の人とか、特に理由が無くても『うぇーい』するでしょう!?」
「え、あれってそういう感じなの? 俺知らないんだけど」
「だからー……もうっ! 良いんです変に難しいことは考えないで! 楽しければいいじゃないですか!! それよりも今日と言う今日は先輩のお部屋にお邪魔したいんですがっ!!」
「いや、だから、俺の家昼間は共働きで両親がいないからダメだって。流石に男女二人きりは不味いだろ」
「はー!? 根性なしの先輩が女の子に何か出来る訳ないじゃないですか!! 良いから行きましょう! 掃除とか皿洗いとかくらいやってあげますから!」
「いやいやいや、それくらい俺がやるし。なんでそんなに俺の家に上がりたいんだよ。なんもないぞ、俺の家」
「ちょっとだけ! ちょっとだけですから!!」
そんな、異常に強い後輩の押しに押し切られて、俺の疑問の解決も出来ないまま、家まで彼女を連れて行くことになってしまう。
何もない普通の一軒家。
せいぜい俺の部屋がしっかりと分けられてるくらいが自慢できる箇所だろうか。
特段ボロくも、新しくもない俺の家の中に入って「ここが先輩のハウスですかっ……!」と感激混じりに声を上げている後輩に困惑する。
本当に何が目的なんだろう。
もしかすると、金銭関係だろうか。
いや、それにしたってそんなそぶりが無さすぎる。
お茶を汲んでくる、と言って俺の部屋で後輩を待たせて台所に立った。
少し高いお茶菓子でも持って行ってやるかと、いくつかあいつが気に入りそうなものを選んでいる時、ふと、クラスメイトの陽キャの1人が悔し紛れに言っていたことを思い出す。
『アイツなんてっ、珍しく紫苑ちゃんにがっつかない男だから。告白させるまでにどれくらいの時間がかかるかで紫苑ちゃんが友達と賭けをしてるだけに過ぎないんだよ! それを楽しそうにしやがって……!』
「あー……」
一番ありそうな可能性に思わず声が出る。
これまで気にもしていなかった言葉だったが、カチリと嵌らなかったピースが埋まった気がした。
「そうか、そういうことか……、いやまあ、その方が納得できるな」
淹れ終えたお茶を持ち、得心がいったと肩を下す。
つまり、このまま俺が告白しなければ後輩との関係は継続されるのだろう。
これまでの、苦労もあるけれど初めて学校が楽しいと思えた彼女との生活が、彼女が飽きるまで続けることが出来る。
楽しいと思えている後輩との関係を、続けることが出来るのだ。
なら、俺がやるべきは……。
そして、ようやく決心がついて、俺は後輩が待つ部屋に戻る。
お茶を溢さない様に慎重に廊下を歩き、俺の部屋の扉を開けた。
部屋にいたのは、当然後輩の姿。
――――何かを自分のバックに仕舞っている後輩の姿がそこにはあった。
俺と目が合って、後輩は顔を真っ青にする。
まるで泥棒の現行犯であった。
「はっ……!? しぇ、しぇんぱいっ!? 足音しなかったんですけど!!??」
「…………え、やっぱり金銭目的?」
「き、金銭っ? ち、ち、違いますよ! ちょっとバックの中確認してただけです!」
「え、いや、確認てか、何か丸いの入れてなかったか? ……ちょ、ちょっと見せて見ろよ。無実の証明の為にも」
「やだー!!! 止めてください先輩!! セクハラ―!!! セクハラですーーー!!!」
「いやいやいやっ!? お前今どんな状況か分かってるのか!? なんか盗まれようとしてるのを見たんだぞ!? 良いからちょっと、その仕舞ったもの見せろオラァ!」
お互いに引っ張り合った後輩の鞄が、吹き飛んだ。
ゴロゴロと床を転がって、壁にぶち当たる。
そして、俺の登場でしっかりと閉める余裕が無かったバックの口から、後輩が盗もうとしたものが飛び出した。
そしてそれは、ひらひらと部屋の中心に落ちて、堂々とその姿を露わにした。
「ひゅいっ……!!??」
「…………ん?」
――――黒色のトランクス、俺のパンツであった。
「……はっ……?」
絶句。
どういうことかと混乱が極致に足を踏み入れる。
なんでこいつは俺のパンツを自分の鞄に仕舞おうとしていたのか。
訳が分からな過ぎて、後輩の顔を見るが、真っ赤な顔をした彼女は弁明もせず顔を俯けて黙り込んでしまう。
何も言うつもりはないようだ。
こうなると自分で考える必要がある。
必死にいくつかの可能性を考え、なんとか、これも告白させるゲームの延長だと納得する。
きっと中々告白してこない俺に業を煮やした彼女の友達は、別の終了条件としてパンツを取ってきたら終わりで良いと言ったのだ、そうに違いない。
「あばばばばばばっばばばばっばばばばっばばばばっばばばばば」
壊れたラジオのように口から異音を垂れ流している後輩は、目をグルグルと回しながら、顔から湯気を出し始めた。
そりゃあ恥ずかしいだろうし、屈辱だろう。
こんな地味な男のパンツを性欲が抑えきれずに盗んだとか、世界一の美少女を自称する彼女にとっては死を選ぶレベルかもしれない。
弄ばれていたとはいえ、流石に同情が勝ってくる。
ここまで色々されても、なんだかんだこの後輩の事は、嫌いになれないのだ。
もうとっとと終わらせてやるかと、両膝を床に突いて混乱している後輩の肩を掴んだ。
真っ赤な顔で、目じりに大粒の涙を溜めた後輩と目を合わせる。
「……紫苑、俺、お前が好きだ。男女の関係として好きなんだ。そういう付き合いにウンザリしてるかもしれないが、俺と付き合ってほしい」
「……ふぇ……? ……え、……ちょっと、待って……? え、なんで?」
「……正直に言う、全部分かったうえで言ってるんだ。あの全裸を見られた時から、お前がなにに興味を持って俺に関わってきたのかも、どうして今俺のパンツを盗ろうとしたのかも、分かったうえで、俺はこうして告白してる……だから遠慮なんてするな、俺はお前がどうしようとも、お前の事は嫌いになんてなれないから」
「………………そっか、全部、バレてたんですね。バレた上で先輩はこんな私を受け入れてくれるんですね」
ポトン、と彼女の手から俺の使用済みティシュが落ちる。
真っ赤な顔で、うるんだ目で、艶やかな声色で、俺を見る後輩の表情は今まで一度だけ見た、あの捕食者のものだ。
あれ?
と、俺が疑問に思う前に押し倒された。
あっと言う間の出来事と、腕を抑える彼女の力はあまりに強い。
息を乱しながら、俺を見る彼女はペロリと自分の唇をなめる。
「そうなんです、先輩の裸を見た時確信しました。この人が私の運命の人だって。程よく引き締まった筋肉と形の良いチ〇コっ! 地味目な顔も、白い肌も、全部が私のドストライク! おまけに先輩の匂いは、いつも私の頭を惑わせる!! いつ私が狂ってしまうのかと不安になるフェロモンが私の鼻孔をくすぐって!! もう我慢できなかったんですぅ!!」
「…………へ、……へ、……変態だ――――!!!???」
想像をぶち破っていった後輩の姿に、悲鳴を上げる。
トロンととろけた後輩には俺の悲鳴が聞こえないのか、俺の制服を脱がせながら、さらに鼻息を荒くしている。
「ああ、先輩先輩安心してください! 私も初めてですけど、先輩と会ってからちゃんと事前準備は済ませてあります!! 48手も全部暗記済み!! 先輩は黙って天井の染みを数えていれば終わります!!」
「あわわわわ、へへへっへ、変態――――!!!! や、やめろ――――!!!!」
その後の事はよく覚えていない。
けれど、帰ってきた両親が俺の顔を見て、病院言った方が良いんじゃないかとだけ言ってきたのは覚えている。
……ただ、その日から、1週間は引きこもることになった。
「いやー、まさか私の本性がバレ切ってるとは思わなかったですけど。それを知ってもなお、私の事を受け入れてくれるとも思いませんでした☆」
「…………そうだな」
「糞童貞ポイント高いしどうなるかなーって思ってたのに、ここまで私が望んでいた通りに行くとは……やっぱり神様も私の可愛さにメロメロってことですね☆」
「…………ああ、そうだな」
今日も、俺の元にやってきた後輩は俺の事を小馬鹿にする。
もう見慣れたそんな光景に、周りの人達は嫉妬半分、呆れ半分の視線をぶつけてくるが、この後輩の本性を知っているのは俺だけだ。
この後輩の猫かぶりを、俺以外はきっと誰も知らない。
……いや、俺だって本当は知りたくなかった。
まあ、ただ……。
「せーんぱい☆ 今日は何処に行きましょうか!? ラーメンでも、お寿司でも、水族館でも、カラオケでも、あ、何なら先輩の家でも私の家でもオッケーです☆」
「……何言ってんだ、お前そろそろ試験近いだろ。勉強教えてやるから図書館行くぞ」
「ええええええええええええええ」
やかましくて、失礼で、態度が悪くて、変態な。
そんな後輩との新しい関係も、俺は嫌いじゃなかった。
猫科の動物であるライオンは、メスが求愛行動を取るそうです




