これから一緒に殴りに行こうか(辺境伯side)
辺境伯は赤い森を歩いていた。
「辺境伯、 挨拶も無しに帰るとは随分じゃないか?」
マクスウェルは辺境伯の前に立ち塞がる。
「おや? 付き人の方は?」
「先に帰したよ、 それよりも、 だ
話でも如何だ?」
「話、 ですか
八王の一角が私程度の者に何の用でしょうか?」
「人間圏の話とか如何だ? 知って居るか?
人間圏では海からの侵略者との戦争が有ったとか」
「人間圏の事は無知な物で」
「おいおい辺境を守る辺境伯がそれで良いのかぁ?」
けらけらと笑うマクスウェル。
「この赤い森に入って来て人間圏に帰るつもりの有る者は皆殺し
そういうスタンスで私はやっています」
「そうかそうか」
「メディア王、 この赤い森に何の御用件で?」
「流行りになりそうな店なら俺は何処にでも行くぜぇ?」
「ほう・・・つまりあの店は流行る、 と?」
「そうだな、 流行るだろう、 まぁ俺は宣伝しないが」
「何故?」
「客が増えて俺が行く時に混んでいたら嫌だから」
「そうですか・・・しかしそれだけが理由ですか?」
「・・・・・」
マクスウェルのディスプレイが真っ暗になる。
「マジな話なんだけどさあの店の主人、 只者じゃねぇ
ドラゴンの鱗を揚げるなんて火力が相当高くないと出来ない芸当だ」
「ドラゴンの鱗を揚げる・・・ですと?」
「あぁ、 お前そっから居なかったのか、 ドラゴンの鱗は耐熱性能が高いのは周知の事実
そのドラゴンの鱗を調理するなんて考えるとは恐れ入る
恐らくドラゴンの鱗を調理する際の火力は石油王に匹敵するだろう」
「待って下さい、 あの女将は八王並の戦闘能力を持つと言う事ですか?」
辺境伯が驚く。
「メディア王、 私は目利きはそれなりに有ると思います」
「俺だって目利きは有るさ」
「ならば分かる筈です、 彼女の魔力は人間の平均よりも少し高い程度
そんな高い火力を出せるとは思えません」
「だが事実ドラゴンの鱗はサクリと美味しく揚がっている
その現実からは目を逸らす事は出来ない」
「・・・・・」
マクスウェルが辺境伯に顔を近づける。
「辺境伯、 あの女将、 大事にしなければならないぞ」
「大事に? 一体どういう事ですか?」
「どっかの馬鹿に拉致られない様にしなければならない、 と言う事だ」
「・・・・・」
マクスウェルが辺境伯から顔を離れディスプレイに顔が表示される。
「兎も角、 あの女将は良い腕を持っている、 大事にしなきゃな
それで?」
「・・・それで?」
「おいおい、 アンタこそ、 この赤い森に何か用が有って来たんだろう?」
「それを貴方に教えて如何なりますか?」
「手伝ってやるよ」
「貴方に何の得が有りますか?」
「得ならばこうしてアンタに話をしたって事が得かなぁー?
アンタの能力は運の操作、 当然自分の運を良くしているだろう
裏を返せば俺と出会う事でアンタに利が有れば
こうしてバッタリ出くわせるって訳だ」
「・・・なるほど、 この森に侵入者が居ます
あの女将とは違いこの森に入って人間圏に帰ろうとする者です」
「なるほどなるほど、 じゃあ殴りに行こうか」




