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お茶会の真相にユリナの心情

 暖かな日差しと爽やかなそよ風が頬を撫でていく庭園のテラスで私ことユリナ・モーリテスとその夫ロイデンに、彼の妹リリ姫がテーブルを囲み座っていた。

「急なお誘いをお受けていただきましてリリ姫様には感謝いたします」

「・・・ロイデンお兄様の従者からのお言付けでしたからてっきり」

 来てみたら私も一緒だったと。

「リリ、ユリナからの誘いだと来なかったのかい」

 いきなりこの人は何を言ってくてるんでしょうか。リリ姫とその侍女の表情がこわばったしマルスに関しては半眼でロイを見ている。

「ロイデン様」

「ロイ」

 貴方こんな時に名前の訂正なんて必要でしょうか。私を見つめてくるロイの視線とその様子を嫉妬似た感情を込めた視線で私を見るリリ姫。なんと言うかそうゆうとこ似てるね兄妹だ。

「リリ姫様申し訳ございません。わたくしがどうしても姫様にお聞きしたい事がございましてお兄様であるロイデン様がご一緒の方がお話やすいかと思いました」

 リリ姫の視線が下がる。

「わたくしにですか・・・」

「はい。一週間前のお茶会でローランド様が退席された後、リリ姫様たちとどんなお話をしたのか知りたかったんです」

「別に・・・たいした話はしていません」

「たいしたことがなくても話をしたのだろう?」

 ロイ君、そんなツッコミいらないから。

 大好きな兄上の厳しい言葉と視線に姫は瞳を潤ませる。

「私の妹はいつも素直だと思っていたけど?」

 リリ姫の瞳が大きく開かれる。わかる。『私の妹』とこにキュンてきたのよね。これってツンデレ? あれっ違うか。それともこれ無自覚なのかしら。

「・・・ローランドお兄様が出て行かれた後、あの・・・ロイデンお兄様のお話になりました」

「私の?」

「はい。お兄様が遠征で先で無事に過ごされたいるかどうかとか」

 まあ確かにローランドがいたら話しにくいかな。

「そしてお母様はこれからのお兄様とユリナ様の事を心配されていました」

「これからのロイ様と私・・・」

 私は隣に座るロイに視線を向けると、ロイも意外そうな表情でこちらを見ていた。

「リリ、具体的にはどんな事」

「おふたりの立場とか・・・ユリナ様の王族の務めなど」

「ふざけた事を!」

 ロイデン王子の声色に怒りがにじみ、リリ姫は身を震わせた。

「ロイ様、落ち着いて。姫様が驚いています」

 私はリリ姫の側に行きその背中をそっと撫でつつ、マルスに新しいお茶を運んでくるよう目配せをした。

「すまない」

 ロイデンが自分を落ち着けるかの様に呟くのと同じにしてマルスが新たなカップにお茶を注ぐ。

 みんなでお茶を頂きながら私は以前マルスからお茶会の話を聞いた時の悪寒をリリ姫の話からまだ感じてはいなかった。もしかしてまだ彼女は全部を話してはいないのかもしれないし話せないのか・・・。

「ロイ様」

「んっ?」

「もう、執務に戻られた方が宜しいかと」

「えっ。もう? 出来ればまだ一緒にいたい」

「早くお仕事が終われば一緒に屋敷に戻れますよ?」

 ロイデンは席を立つ。

「迎えに来るからここで待ってて」

「はい。リリ姫とお持ちしています」

 ロイは優しく私の髪にくちづけを落とし、足早にこの場を退席した。

「マルス。お願いしていい?」

「はい。かしこまりました」

 返事をするなりマルスは姫様の侍女と共に庭を離れた。

 ユリナはリリ姫と向き合う。

「姫様、王妃様は他にどんなお話を」

 辛そうに表情を歪めるリリ姫。なんか私悪い事してるみたいなんでけど・・・話を聞きたいだけなのよ、わかってね。

「・・・お二人の間にお子をと」

 私の胸にチクリと痛みが刺さり、 

「そしてその子を王族に、いずれはアマテナの後継者にと」

 リリ姫の言葉にユリナの体を悪寒と鳥肌が支配し、思わず私は身体を抱きしめた。その時のユリナの気持ちを思うとやり切れないし、会の後に気分も落ち込むでしょう。私は感情を押さえ声を絞り出す。

「でも、ローランド様やロテスタ―様がいらっしゃるではありませんか。お二人がご成婚しお子が出来たら問題は無いのでは?」

「多分ですが貴女の子供、だからではないでしょうか」

「私・・・」

 わたしの子供。つまり、ユリナのモーリテス家の血が入った子がアマテナの王族にいれば国としては安泰だとでも言いたいのかな。特にお金の面で。

 まあ、国を慮るのは王妃の務めでしょうけどね。それを息子やその奥さんを使ってどうにかしてしようとするのはいかがなものか。

「お母様がこの国を想う気持ちはわかります。わたくしもいずれ他国に嫁げばお母様と同じ気持ちになるやもしれません。ですが、その方法としては賛同できません。だから・・・」

「だから?」

「・・・奇跡の花レインリナを見つけて、ロイデンお兄様の無事の帰還と国の為に願おうと」

「姫様がご提案されたのですね」

 リリ姫は小さく頷いた。

「王妃様から私を庇ってくれたのですか?」

「違います。わたくしはただ余り良い話の流れではなかったから・・・」

 膝の上で強く握られたリリ姫の小さな手に、私はそっと自分の手の平を重ねた。

「姫様のお心遣いに感謝いたします」

 リリ姫は首を横に振り、

「でも、そのせいで貴女が花を探しに行くなんて思わなくて」

 きっとユリナもリリ姫と同じ気持ちだったのかもしれない。国の事はともかくロイデンを心配し無事を願った・・・自分の側に帰って来てくれるように。レインリナを胸に抱き逝った彼女の様子が思い浮かぶ。

 んっ? てことはユリナはロイデンを好きだったのかな? この流れからすれば嫌いではないよね。

「ユリナ様?」 

「あの、リリ姫様から見て私はロイデン様を好いているように感じになられますか」

 ローランドと同じ青い瞳が大きく見開く。

 兄が大好きな妹に訊ねる事ではないかもしれないがユリナの気持ちわからない以上、他の目線で確認するしかないよね?

「リリ姫?」

「お二人がまだご成婚する前、私がロイデンお兄様を見ているとユリナ様とよく視線が合ったんです」

 私は首を傾げる。

「お兄様はわたくしの視線には気づかれないのに貴女の視線には気づかれる。お兄様が兄ではなくひとりの女性を想う男性だと気付かされました。そして」

 リリ姫の瞳が私を見て頷く。

 そうか・・・ユリナもロイデンを好いていたか。好いていたのになんか彼女のロイデンに関する記憶と感情とかが薄すぎない? もっとこうなんかキュンキュン・イチャイチャ・ムラムラ・・・ちょっと最後違うかユリナごめん。でもなんか寂しいなと魂43歳の私は思います。 

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