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帰ってきた執事のお土産話。

 モーリテス家の執務室にユリナとカイン、ソニオが集まったのと同時にドアがノックされる。

「失礼します。マルスでございます」

「マルス…」

 ユリナの記憶映像が頭の中でリプレイされる。

 マルス・ホーデン・ノット、50歳。モーリテス家の筆頭執事であり、ユリナの秘書も兼ねている。

「入ってマルス」

 マルスは部屋に入るなり、深々とユリナに頭を下げた。

「この度はお側にもいられず、ユリナ様をお守りできずに申し訳ございません」

「マルスが謝ることではないでしょう? 貴方はお母様に呼び出されてあっちに行ってたのだから」

 ユリナの母に呼出を受け、マルスはユリナが山に向かう前日屋敷を後にした。 

「しかし、私がユリナ様お側を離れなければ山にお1人で行かせることなどしませんでした」

 確かにユリナの記憶にある彼はとても優秀でこの人がいたらユリナはひとりで山に行く事は出来なかったかも…んっ? てことはユリナは彼がいない時を狙って山に入ったと言う事か。

「・・・マルス。私が勝手に行動した事に関して貴方が謝ることはないわ。謝るなら私の方だもの。ごめんなさい」

 私は席を立ち頭を下げた。

「姉上!」「義理姉!」

 カインとソニオが驚きの声を重ねる。

 マルスは頭を下げたままなのでユリナである私が頭を下げている姿を見ていないが、カインとソニオの声に只ならぬ様子を感じたのだろう。

「ユリナ様、モーリテス家の主としてそして上に立つ者としての振る舞いをお忘れなきよう」

「私は、私とモーリテス家に大切な者に当主として謝罪しただけ」

「ユリナ様・・・」

「さあ、もう顔を見せてマルス。貴方が今までお母様の所にいた訳がないわよね」

 マルスは顔を上げ、ユリナに頷いた。

「パパスからユリナ様暗殺未遂の報告を受けたのは奥様のお屋敷を出た直後でしたので、そのまま暗殺者の情報を調べて参りました」

「何か分かったの?」

「はい。すでにカイン様よりお話はあったと思いますが、暗殺者は王宮と繋がりのあるもので…ユリナ様を亡き者としモーリテス家の全権を奪うために動いた模様です」

「モーリテス家の全権って…だとしたらやっぱり」

 カインとソニオが顔を見合わす。

「ロイデン王子かな」

 私の口から出た名にカインとソニオ、マルスの視線が集まる。

「多分、ロイデン王子も駒の1人なのでしょうね。私が亡くなれば夫である彼が一応モーリテス家の当主。そして、彼が当主となったのちその後私の様に命を落とせば…モーリテス家の全てがアマテナのもの」

「暗殺目的はそこかと」

 マルスの静かに肯定する。

 ロイデン王子のユリナへの想いがこんな形で利用されているなんて、アマテナもやることが黒いわ。今の段階では誰がとはわからないけど、わかったらボコボコにする。

「ロイは王族を抜ける事を王に願い出たわ」

「今回の事をわかっててですか?」

 カインが心配そうに私を見る。

「彼の事だからわかってないわね。純粋にモーリテス家の1人としてそして私の夫として側にいたいと言っていたわ。あと、国に私を利用されたくないとも」 

「ロイデン様らしいですね」

 ソニオがロイデンを擁護する。妹のセレサの夫である彼はロイデン王子と立場は違えど同じ境遇、思うところもあるのかもしれない。

「となると、ロイデン王子が王族を抜ける前に私をどうにかしないと暗殺者を仕向けた黒幕的には困る訳で・・・そう言えばローランドはロイデン王子が王族を抜ける事をすぐに許したわね」

「多分ローランド様も黒幕の思惑に気付かれたのではないでしょうか」

 マルスの言葉が当たっているとしたら、ローランドは私やロイデン王子を守ろうと動いてくれていると言う事になる。いや、ローランド的にはユリナオンリーなんだろうけど。

「・・・黒幕は私が山に入ることを知っていた?」

 ユリナがなぜ山にレインリナを探しに行ったのか。その辺りを彼女の記憶から探しても見当たらない。思い出そうとすると記憶がぼやけると言うかはっきりしないのである。レインリナを探す理由はそんなにも知られたくないのだろうか・・・って言うか私にも?

「ユリナ様。山に行かれる数日前に王宮でお茶会がありましたが、パパスの報告では王宮から戻られてからの貴女の様子が少しおかしかったと聞いております。もしかしたらそこで何かあったのでは」

「お茶会…」

 思い出そうとしたがお茶会の記憶が出てこない。私は首を傾げ、マルスが言葉を続ける。

「王妃様とリリィ様、ローランド王子に第二王子のロテスタ―様がご一緒だったと聞いております」

 ユリナの身体がゾクリと震えた。

 消えたお茶会の記憶。先に謝っておくけど、私謎解き得意じゃない。テレビでも小説でも漫画でも観たり読んだりするのは好きだったけどそれだけ。私にコ◯ン君や科捜研のマ◯コさんのような事は出来ませんし無理です。でも、そのお茶会でユリナは身体が震えるほどの何かがあったのだ。それが何だったのか。

「何かって…ローランドもいたのよね?」

 彼が物理的にユリナを傷つける事はあり得ないし、他の三人が何かしたとしてもローランドがそれを許さないだろうとも思う。しかしサンの報告にはユリナの変調が見て取れた訳で・・・。

 私を見つめる弟たちと執事の視線に私は息をついた。

「なぜだか私にそのお茶会の記憶がないみたい」

「毒の所為でしょうか」

 マルスの眉間が寄せられる。

「かもしれないし、他の要因があるのかもしれないけど・・・思い出せないものは仕方がないでしょう。なら知る方法は限られているわね」

 私は椅子から立ち上がる。カインとソニオは頭に?マークが浮かび、マスルは困った表情を浮かべた。

「ローランドに話を聞きましょう」

 お茶会で何かあったかなんて机上の空論をしているよりローランド聞いた方が早いと思う。まあ彼が馬鹿正直に全てを話すとは思わないけどね。

 魂年齢が40超えてると時間は有限てわかっているから、ユリナの身体がまだ若いうちに頑張って動かないと思ってしまう。それに、出来ればなんの心配事もない人生をユリナには送って欲しい=私の人生だけど、その辺は気にしないっと。

 


 

 

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