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捨てられ世界の国造り〜3つの力で頑張ります〜   作者: マメ太郎
異世界の無人島と青の守護者
5/10

無人島と非常食


 異世界無人島生活二日目の朝


 アッシュ達は早朝から食料確保に奔走していた。

 

 役割は昨日と変わらずで、ムサシ達は森へ、マウリが海で釣り、ゴーレム君は木の伐採、ウルフは俺に寄り添い、そして俺は黙々と塩作りに励んでいる。

 もう釣りは完全にマウリに任せることにした。

 だって、俺が一匹釣る間にマウリは10匹近く既に釣っちゃってるんだよ? 

 俺がやる必要ないじゃん。

 だからせめてもと、俺は一人黙々と海水を汲んで火で炙って塩作りに励んでいます。

 今現在、塩は唯一の調味料ですからね。


「ウム、今日も朝から大量だな」


 そう言うマウリのバケツの中には本当に大量の魚が入っている。

 朝の短時間の間に、一体どれだけのペースで釣ればこれだけ釣れるのだろか? それとも、単にマウリに釣りの才能があるのか運がいいだけなのか。 何にせよ、食料の確保の問題はない。


 テントを建てている場所に戻ると、やはりゴーレム君が朝から多量の木を切り倒して森を伐採していた。 

 広さとしては、既に50メートル近くゴーレム君が一人で切り倒した感じ。 実に働き者である。

 とりあえず、家を建てるには十分な広さを確保出来ているので、この後は地ならしと基礎工事の打ち合わせでもしようかな。


 ムサシ達も戻ってきた。

 ただし、昨日とは違ってピッグルは持っていない。


「ゴブ、ゴブゴブ」


「何? ピッグルは狩れなかったけど他にも食べれそうな生物を見つけたって?」


「ゴブ! ゴブゴブ」


「だから罠を仕掛けてきたって? それはいいけど、あんまり無茶なことはしちゃダメだぞ。 危険な相手を見つけたらすぐに逃げるんだぞ?」


「ゴブ」


 そんなこんなで朝食皆で頂く。

 メインはマウリが釣った魚に、ムサシ達が森から持ち帰った森の幸。

 贅沢をいっちゃダメだけど、パンか米が食いたいな。

 パンは小麦粉がないからダメだし、米だって取り寄せるには神力がかかるから俺の我が侭で取り寄せるわけにはいかない。

 いずれ神力が溜まって余裕が出来たら、畑や田んぼを作って自給自足出来るようにすれば毎日パンも米も食えるようになるかな。


 ついでに教えておくと、昨日寝る前の段階で神力は0ではないけど0に近い所まで消費した状態だった。

 一日休んで確認したところ今は半分程度まで神力は回復していて、神力の上限が10程増えていた。 

 なので現在の最大値は110だ。

 一日休んでも神力が全回復するわけではなかったので、時間経過での回復にはかなり時間が掛かるものであると思われる。 現状ではもう一日休めば全回復する。

 

 正直、この回復速度には困っている。


 何故なら、今の生活にはまだまだ足りない物が多すぎるからだ。

 食べ物然し、道具然り、人然り、新しくどれかに手をだそうと思うとどうしても神力を必要としてしまうのだ。

 

 一日で神力が全回複するなら、ある程度取り寄せで一気に必要な物を揃えてしまうと思っていたんだけどそれも難しくなった。

 つまりは、自力でしなければならない事が増えた形だ。


 う~む。

 何とか神力を早く回復させる手段はないものだろうか。

 

「どうしたアッシュ? 悩み事か?」


「う~ん.....神力の回復が思いのほかよくないなぁと思ってね。 この分だと、予定していた取り寄せもかなり変更しないとダメかなって考えてた」


「そうか。 確かに足りない物が今はまだほとんどだが、何でもかんでも力に頼るのはあまりいいことではないと思うぞ。 人間は楽を覚えるとすぐに堕落し、腐敗して人が変わってしまうことがあるからな。 そう言う意味で、きっと神様もアッシュに楽な修行はさせないという意味もこれにはあるんじゃないのか」


「いや、あれに限ってそれはないない。 むしろ、この情況もアイツが仕組んだとかなら凄い納得するところなんだけど、多分これが普通の使用なんど思う。 まぁ、なければないで何とかするさ。 最悪、食べる分には困ってないわけだしね」


「腹が減っては戦は出来んと言うからな。 で、話は変わるが新たな召喚はしないのかアッシュ? 確か、一日おきに召喚出来るはずだった気がするが?」


「あぁ、それね。 確かに今なら一人新しく召喚出来るけど、次の召喚は10日後までしないつもり」


「どうしてだ? 人でがあって困ることはないだろ?」


「そうなんだけど、召喚の条件に召喚の回数を翌日に持ち越せるってのがあるんだよ。 それの最大日数が10日。 で、一度に複数召喚した方がレア度の高いのが召喚される確率が上がるらしいだよ。 マウリと同じレア度Lがどれ位の確率で出るか分からないけど、少なくとも1回1回召喚してたら召喚される確率はかなり低くなると思うんだよね」


 勝手な予想だけど、多分1回でレア度Lが出る確率は1%もない気がする。

 逆に、NやHNは出やすいと思うから召喚の7、8割は占めてるんじゃないかな。

 マウリのステータスを見て分かったと思うけど、レア度Lは破格の性能を持っている。 だからこそ、そんなのをほいほいと簡単に召喚出来てしまっては世界のバランス的にかなり問題になる。 何たって、レア度Lは過去に英雄とか何とかそんな風に呼ばれてた奴の集まりだってマウリも言ってたからね。

 だから、初回サービスとはいえマウリを最初に召喚出来たのはかなり運が良かったのだと俺は思う。

 後、レア度Lの子は俺が召喚するのを持ってるって話だったので、あんまり待たせ過ぎるのも悪いよね。


 とは言え、召喚は完全に運次第なんだけどね。


「フム、そう言った理由があるなら仕方ないか。 何、私は今いる中では最後に召喚された身だからな。 召喚の時にいなかったからどんな風に仲間が召喚されるのかと気になってな。 だが、楽しみは先にとっておくことにしよう」


「うん。 ごめんねマウリ」


「フッ、気にするなアッシュ。 それで、今日はこれからどうするのだ? また昨日のように食料を取りに行くか? それとも、私達も森の探索でもするか? 私はどちらでも構わないぞ」


「う~むどうしようかなぁ? とりあえず、ムサシ達はまた森に入るみたいだね」


 ムサシ達は昨日のピッグルの狩りで味をしめたのか、やる気十分で森に入ることを心待ちにしている。

 朝も自分から罠を仕掛けてまた何かを捕まえようとしてた位だから、ムサシ達にはこのまま森で食料確保に励んで貰うことにしよう。

 ただ、改めて危険なことをしないように釘をさしておく必要はあるけどね。

 

「ゴーレム君の方も家を建てるには十分なスペースを切り開いてくれてるから、もう少しスペースを広げるか後はノームに頼んで地ならしと基礎工事の打ち合わせ位はしときたいかな」


「フム、となると私は何をすればいいのだろうか? アッシュといても私に出来ることがあるようには思えないのだが?」


 そうなんだよねぇ。

 現状で言えば、マウリという戦力があまり気味になってしまう。

 戦闘方面に関しては間違いなくハイスペックなマウリだけど、今はマウリの力が必要になる問題が出てるわけではない。

 かと言って、マウリほどの者を家の建築や食料確保に使うのもどうなのだろうか.....。

 本人は気にしてないし、頼めばまず断らずにやってくれるのは間違いないんだけど、さてどうしたものか。


「う~ん.....じゃぁ、マウリには島の探索と地図作りをお願いしようかな。 森には入らなくていいから、今日の所はこの浜辺がどこまで続いてるのか確認してもらって来てもいいかな?」


「フム、探索か....騎士である私にあっている仕事だな。 分かった島の探索は私に任せろ」


「お願いね。 探索に必要そうなペンと紙にそれから食料に水を入れた袋を渡しておくね。 他に必要な物はある?」


「フム、ではお供にウルフを貸してくれないだろうか? 流石に話し相手の一人もおらずの旅はつまらないからな」


「ういうい。 ということでウルフはマウリについて行ってあげてくれるかな?」


「ワフッ!」 


「うん、よろしく頼むね。 夜になるまでには戻って来てね」


「承知した。 夕飯にはお土産を見つけて戻ってくるから期待していてくれ」


 マウリは鎧に身を包み、お供のウルフと荷物を担いで旅立っていった。

 

 残されたこっちはこっちで、予定通り作業の相談に入る。

 相談と言っても、ゴーレム君達は喋れないので俺が決めたことを二人に伝えてやってもらう感じだ。

 その間に俺は、ゴーレム君が切った木をせっせとノコギリを使ってちょうどいいサイズに切って行く。

 ノームが魔法で地ならしした土地に、家の基準となる柱を地面に打ち込んで行く。

 こういう時機械があると便利なんだろうけど、その変わりここには力自慢のゴーレム君が機械以上に活躍を見せる。

 ハンマー片手に、ドスンドスンと大きな音をたててあっという間に柱となる木が地面に打ち込んでいく。

 打ち込まれた柱は、ノームが土魔法でしっかりと地面と一体となるように固定してくれるので倒れることはないので耐震問題も万全だ。 魔法って凄いよね。


 てなわけで、たった3人で本当にあっといまに家の基礎が完成した。

 ほとんどはゴーレム君とノームの活躍なんだけど、それにしても仕事の進みが早い。


 そして、ここからは家のパーツを切り出す細かい作業となる。

 大雑把な部分はゴーレム君の得意分野だが、細かな作業は体が大きい分苦手なようで、木を切ってパーツの形作りは俺が一人で担当する。

 かなりの重労働だが、ここまでゴーレム君達が頑張ってくれたのだから俺も休むわけにはいかない。

 切ったパーツを釘でトンカントンカン繋ぎ合わせ壁と床が完成、屋根となる高い場所も、ゴーレム君の背の高さが生きるのですんなりと進んでいき、雨風を凌げるだけの簡単な家が半日の速さで完成した。

 当然家の中には家具等一切ない。

 一応人数がいるということで、大部屋と小部屋をそれぞれ2つ作って部屋割りはしてある。

 残った木で簡単なテーブルとイスを作りそれを置く。 それだけも凄く家っぽくなった気がする。


「アッシュ!今帰ったぞ!」


 そうこしていると、陽が傾き始めたところでマウリとウルフが戻ってきた。

 

「フム、このたった半日でこれだけの家を建てるとはたいしたものだな」


 マウリは俺達が作った家を見て関心する。


「雨風が凌げるってだけで、家具も内装もほとんどない簡単なものだけどね」


「いや、雨風が凌げるだけでも十分であろう。 テントも悪くないが、やはり家があると気持ちの落ち着きが違うからな」


 それは分かる気がする。

 それに、自分達で作ったということもあり、凄く感慨深い思いがあるんだよね。

 やっぱり気持ちを込めるって大切だね。


「それで、そっちの方は何か変わったところあった?」


「いや、流石に今日一日だけでは調べきれなかった。 と言うよりも、まだまだ浜辺の端にすら辿り着けないのだからこの浜辺だけでも相当の広さがあることは間違いないだろうな。 浜辺も全部調べるとなるとさすがに日帰りでは無理だ」


「となると、野営をしながら泊り込みで調べないとダメってことか」


「ウム、だから明日からは泊り込みで探索をしようと思うのだがどうだろうかアッシュ?」


「う~ん危ないことはなかったの?」


「ないな。 浜には生物の影すらなかった。 ただ、浜の境が森になっていることを考えると夜のことまではどうなるか分からない。 だが、私は野営に慣れているし自衛出来るだけの力もあるから問題ないと思っている。 食料も現地調達可能だ。 だから後は、アッシュが許可してくれればの話だがな」


 マウリが強いのは知ってるし、現状浜辺の探索位は進めておきたいのも確かなんだよな。

 食料も問題ないみたいだし.....後、何故かウルフまでもやる気になっている。 何があったウルフよ?


「じゃぁ、そっちはマウリに任せるから好きにしていいよ」


「そうかそうか。 アッシュならきっとそう言ってくれると思っていたぞ。 それとこれは今日のお土産だ」


 おぉ、今日も魚が一杯だね。

 後、食べられそうにはないけど装飾品に使えそうな貝殻が一杯。 これは大事にとっておくことにしよう。

 それと、マウリと何時でも連絡が取れるようにトランシーバーでも取り寄せておこうかな。 そうすれば俺の心配も減るだろうしね。


「ゴブブ~!」


 ムサシ達がご機嫌な様子で森から帰って来た。

 その肩には、手足を棒に縛り付けられてムサシに担がれているピッグルが2匹もいた。

 ホントに捕まえて来てしまうとは.....。

 しかも、それ以外にも兎と思われる生物を3匹ほど狩って来ているところを見ると、今日の狩りは大成功だったみたいだ。


「ゴブ、ゴブゴブ」


「えっ、ピッグルは俺に任せるから煮るなり焼くなり好きにしろって?」


「ゴブ、ゴブ」


「必要ならもっと狩ってくる? そんなに狩りが楽しいのか?」


「ゴ~ブ!」


 そうだと大きく頷くムサシ。

 まぁ、肉が定期的に入るならいいかな。 森に関しては今のところムサシ達に任せることにしよう。

 問題はこいつだな。


「さて、お前達はどうしたものかな」


「ブヒ、ブヒ~」


 助けてと言わんばかりに縋るような目で見てくるピッグル2匹。

 食べるか?

 こいつらに肉は昨日食ったけどホントに美味かったからな。

 でも、家畜としてこいつらを育てるのもありかな。

 

「マウリ、こいつらって肉以外に家畜として飼う意味ある?」


「そうだなぁ、ピッグルはもっぱら食用に飼育されることはあるがそれ以外だと特に利用価値はないな。 こう言っては何だが、生物である以上排泄や食料の問題が出てくるだろうからまな。 かわいそうだがここは食うほうがいいだろうな」


「だそうだよピッグル君達」


「ブヒ~」


 そんな~って顔してる。

 まぁ、家畜として飼うにしてもうちには世話をする人員足りなければ、その日の食料だって怪しいところだからね。 

 でもなぁ....ちなみにこのピッグルはオスとメスです。 子供は1回で5、6匹ほど生まれるそうで食事もそこらへんの草で問題ないらしい。

 とすると、


「非常食として飼おう」


「ブヒー!」


 俺がそう言ってやるとピッグルは喜んで鳴いた。


「いいのかアッシュ?」


「まぁ、非常食ってことでいいんじゃないかな。 流石に、目の前でこいつら殺して食うのも何だかね.....世話も手間がかからないようだからしばらくは置いて見ることにするよ」


「まぁ、アッシュがいいなら私は問題ないがな」


「と言うことで、ピッグル君達の世話は一応のところムサシ達にお願いするね。 くれぐれも逃げちゃダメだよピッグル君達」


 ピッグル君達の後ろでムサシが刀を抜いて素振りを始める。

 ピッグル君達は、それを見てブヒブヒ鳴いて怖がっている。

 うん、きっと逃げ出したりはしないだろう。

 仮に逃げられても俺は問題ないけど、きっとムサシは見つけだしてこんどこそピッグル君達を狩るだろうね。

 なんだかムサシが優秀な狩猟民族に見えて来たよ.....。


 その日、俺達の家に新しいペットが2匹加わることになった。

 ムサシの狩ってきた兎の肉と魚の夕食を囲み、同時に家の完成も含め夕食は実に盛り上がった。

 明日からも頑張って働こう。



 異世界無人島国造り 二日目 終了

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