③
半年ぶりに一話更新してみました(笑)。
「日笠晴かぁ~良いお名前だねぇー。じゃあ~晴ちゃんだね!!」
「晴、くんっ!!」
「えーー?ちゃんの方が可愛いのに」
子供なのに小さな所にこだわるんだから。
あめは結構好きだ。男の子が「君」と呼ばれるのも、女の子が「ちゃん」 と呼ばれるのも。
男の子に「ちゃん」と付けて呼ぶのも好きだ……だって、可愛いじゃないか!!
「さん」で統一されている今の方がつまらないよ。
まあ、そんなあめの心情は今は横に置いといて、取り敢えず晴くんが、言葉を返してくれた事から、自分と話をする気持ちが有るってことが分かったから、良しとしよう。
「それじゃあ、立派な男の子の晴くんは、何でこんな時間まで公園で遊んでいるのかなー?」
ママに怒られたりしないの?っと、あめは自分から顔を背けている晴に聞く。
知らない人に名前を教えちゃ駄目だと子供に教える母親が、こんな時間まで遊んで良いなんて、流石に子供に教えている分けないだろう。
「……僕は悪くない。迎えに来ないママが悪い」
「ママが迎えに来ないの?」
コクりと、晴は頷く。
晴からよく話を聞いてみると、お家に帰る時間になると、公園で遊んでいる晴の所に、いつも母親が迎えに来てくれるらしい。
「一緒に帰ろうねって、ママが言った」
だから、母親が迎えに来るまで、自分は公園で待っていただけなんだと。
ずっと待っていたらいつの間にかこんな時間になっていたんだと……晴に言わせればそう言う事らしい。
「何か、ママが迎えに来れない事情があったのかも知れないよ?」
こんな天使のような少年を、母親が公園に置き去りにするなんて事はないだろう。いつもは迎えに来てくれてると言っていたし。
晴が着ている、質の良さそうな上下の服は、そこらのスーパーじゃ御目に掛かれない、ブランドマークの付いた高級子供服だ。靴も黒革。……何だか今ちょっと、裸足の自分が恥ずかしくなったぜ。
……身ぐるみ剥がして売ればそれだけで、高級ホテルにでも泊まれそうな服着た少年が、忠犬ハチ公の様に母親を待ちぼうけているのは、何かおかしい気がする。
「晴くんは、一人じゃお家に帰れないの?お家はここから遠いい?」
「帰れる。晴は、馬鹿じゃないから帰り道分かるし、でも……」
「でも?」
「……ママと一緒じゃなきゃ、新しいお家に、帰りたくないの」
晴は、言葉を濁しながらも、そう悲しそうに口に出して言った。
「ーー晴!!」
……その時、あめと晴しかいなかった公園の中に、誰かが
晴の名前呼び、慌てた様子で駆け込んできたのだ。
あ、もしかして……
「晴くんのお母さん!?」
「八雲お兄ちゃん!!」
……あ、違った。残念。
晴!っと呼びかけながら、ベンチの側へと駆け寄ってきたのは中学生くらいの少年で、当たり前だが晴の母親には見えなかった。
晴と同じ髪色をした少年は、晴に駆け寄るやいなや、ベンチに座りキョトンとした表情で自分を見上げる晴を、ギュッと強く両腕の中へと抱き締めた。
「……あーもう、何時までも帰ってこないから探した。本当に心配したんだからね、晴!!」
「ちょっと、八雲兄ちゃん、痛いっ!」
「……良かったー。晴が、無事でいてくれて良かったよー」
少し泣きが入っている、八雲と呼ばれた少年の腕の中に、じっと抱き込まれていた晴が、八雲の言葉を聞いてか少し居心地悪そうに、モゾモゾと動いていた時、じっと二人を見詰めているあめと晴の目が合った。
すると、晴は、慌てたように八雲少年の腕の中から抜け出すし、あめに向かって怒鳴って言った。
「僕は、甘えん坊じゃない!!」
「……小さい子供の内は、いっぱい甘えておくべきだと私は主張する!!」
大きくなるにつれて、人恋しさも同じように育つが、大概羞恥心が邪魔して、大好きな人に抱き付けなくなるものなんだよ。だからこそ、今のうちにいっぱい抱きしめて貰えるのならばすればいい、とあめは思う。
真っ赤な顔をして、あめにそう言い訳する晴に「別に恥ずかしいがる事じゃないから、もっとお兄ちゃんに抱き締めてもらえばいいじゃん?」っと言えば、益々晴は拗ねたように頬を膨らませて、そっぽ向いたのだ。
……子供って難しい。
お読みくださり有難うございました。




