表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/4


「……子供で良かった」


こんな時間にこんな公園で、一人寂しく泣いているんだもの……誰だって、この世に存在してはいけない方を思い浮かべるよね?

外灯の下で泣いている子供に、キチンと足が有ることを確認してから、あめは子供の側へと歩いて行った。


迷子かな?家出かな?


年齢的には、小学校にまだ通ってないくらい?に見えるから、夜中に家を脱け出し、一人で公園に遊びに来たとは流石に考える難い。夜遊びするにはまだ早いと思うし。

……家出なら、正直有りうるけど、家出であって欲しくないのがあめの正直な気持ちだ。これが夢でも現実でも困る。


あめは子供の側へと近付いて行きその顔を見てギョッとした。

直ぐ側に人の気配を感じたのか、子供は涙で濡れた顔を上げて、あめの顔を見たからだ。

子供は凄い綺麗な顔をした男の子だったのだ。


薄い茶金色をしたさらさらの髪は外灯に照されキラキラ光って見えるし、涙をいっぱい溜めた少年の大きな瞳の色は碧色。

どちらかと言えば、顔の作りは日本人風なのに、可笑しいな、あめの目にはこの少年は天使に見る。


……思わず、少年の背中に羽根がないか確認しちゃったよ。


こんな時間に一人で公園にいちゃ絶対に駄目!危ない大人に誘拐されちゃいそうなレベルの美少年じゃないか!!


「子供が、こんな時間にこんな所に一人でいちゃダメじゃないか」

「君だって子供じゃないかっ!!」


……そうだった。


天使のような少年に睨まれ、怒ったように言い返された言葉で、今の自分の姿がこの少年とそんなに年も変わらない様な子供の姿だったことを、あめは思い出した。

ブカブカのパジャマを着ている分、あめの方がこの少年よりも数倍怪しい気もしないでもない……けど!


身体は縮んでしまったが、あめは今年16歳になる、現役バリバリの女子高生だ。

夢の中での姿は子供でも、考え方は16歳の女子高生。あの有名な某国民的テレビアニメの、縮んじゃった名探偵と、あめの気持ち的には似たような状態なのだ。……まあ、名探偵の頭脳にはかなり劣る女子高生だが。


だからこそ分かる、この少年が、今子供なりに虚勢を張るだけで精一杯な状態なのも、思わずあめにきつく当たるように怒鳴ってしまったのも、そしてその事を少しは後悔しているのだということも。


気まずそうに眉を下げた、少年の顔を見ているだけで、16歳のあめには分かったのだ。


「……取り敢えず、お掛けになりませんか?」


外灯の直ぐ横に置かれていた、公園の古びたベンチへと、あめは先に座り、空いている隣側をぽんぽんっと手で叩いて少年を促した。

少年は、あめの姿が自分とそう変わらない子供だから大丈夫そうかな?っとでも思ったのか、警戒はしつつも、子供一人分くらいの間を開けて、あめの隣に座った。

あめが手を伸ばせば届く位の、少年の警戒レベルってちょっと面白い。余程、少年は人恋しかったんだなー。少年を見付けたのがあめで本当に良かった。


「こんばんわ、良い月夜ですね?私の名前は、雨水あめです。あなたのお名前は何と言うんですか?」


少年の方を向いて、あめはニコリと微笑みながら問い掛けた。

初対面の人には、まず世間話から入った挨拶が友好的だぞ?っと昔ジイジが言っていたのを思い出したのだ。この場所がジイジと遊んだ公園だと言うことも影響してるかも知れない。


「……知らない人に、名前を聞かれても答えちゃダメだって、ママが言ってた」


顔を背け、あめとは目を合わせないようにして言った、少年の言葉にあめは正直感心した。

そりゃそうだ、ママ偉い。しっかりママの言い付けを守ろうとする君も偉い。

でも、それじゃあ会話が続けられなくて困るので、ここは現役女子高生の会話術に巻き込んでやろうと決めた。

話したい盛りの女子高生を舐めんなよ、子供!!

あめは腕を伸ばして、少年の頬を両手で掴み、グイッと無理やり、あめの顔と少年の顔がキチンと正面で向き合うように、力ずくで彼の顔をこちらへと向けた。

余程、ビックリしたのか少年はその大きな瞳を零れ落ちそうなくらいに開き、唖然とした表情であめを凝視している。

その少年の表情に、思わず笑みを零しまったあめは、涙に濡れた少年の顔をブカブカのパジャマの袖で拭ってあげながら言った。


「君は、もう私の名前を知ってるでしょー?知らない人じゃないよっ。だから、ママの言い付けを破ったことにはならない、はず!!」

「な、何それ!?そう言うの屁理屈って言うんだよ」

「私より年下に見えるのに、よく屁理屈なんて難しい言葉知ってるね!」

「どう見たって、僕の方が君より年上だよっ!!」

「え~~?自分の名前も名乗れないのにぃ~~??」


そう、あめが少年の顔をニヤニヤした顔で覗き見れば、少年はあめが掴んでいた頬に時分の両手重ね、あめの両手を頬から外させ、やっぱりプイッと彼女から顔を背けた。そして、頬を少しだけ赤らめると小さな声、でもちゃんとあめに聞こえる声で名乗った。


「僕は、晴。日笠 晴 《ひがさせい》だよ」



お読み下さり有難うございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ