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あめと天道家の兄弟たち①。


「何が、どうして、こうなった?」


雨水あめ《ウスイアメ》がポツリと呟いた言葉は、誰に聞かれること無く闇夜の中に溶けていく。

夜空の真ん中に輝く、大きな真ん丸お月様がとても印象的な夜だった……が、あめは天体観測なんてものに全く興味は無く、いつもと同じ時間、自分の家の自室にあるベッドの中に潜り込み、昼間母上様が干してくれたと思われるフカフカの、お日様の香りがするお布団の中に入って、就寝した……はずだった。

それなのに、何で自分は一人、こんな所に、こんな姿になって居るのだろう?

見下ろした自分の姿は、さっきベッドに入る前に着替えた、菫色のパジャマ姿、そのまま。

だがしかし、ダイエットに成功した訳でもないのに、パジャマの上着はブカブカでずり落ちて肩が出ているし、ズボンに至ってはそのままにしていると、腰からズボンが落ちそうになるので、小さな両手でしっかりと押さえてる。

これはもう、自分の身体が縮んだとしか考えられなかった。

住宅街と見られる場所の道上に、ブカブカのパジャマを着た子供が、靴もはいていない裸足のまま、ポツンと一人立っている……これはどう考えてもおかしいでしょう!?

その時、ふと、あめは思った。

自分はさっき布団に入って寝たのだ。

そう、寝たのだから……これはきっと夢なのだ。自分は夢を見ているに違いない!

あめが、そう思えば思うほど、何故かそんな気かしてきた。

夢の中なんだと納得してみれば、自分の身体が縮んでしまったのも気にならない。

きょろきょろと回りを見渡せば思えば、何処か見覚えのあるある住宅街のような気もしてきた。

昔、あめの大好きなお祖父ちゃんが住んでいた街が、ここに良く似た住宅街だったような?……確かこの道を少し歩いて曲がった先に、小さな公園があっような気がする。そこでじいじによく遊んで貰ったっけな。

夢なら良いじゃん?楽しんだもん勝ちだと、あめは幼い頃の記憶を頼りに道を歩き始めた。……勿論ブカブカのパジャマを引き摺って。

……パジャマが重い。

もう、下履きは脱いじゃって良くないか?上衣でスカート見たいになってるし?

しかし、もしも夢の中で人に会った時が怖いから、夢の中でもズボンを脱いで歩くと言う思い切った行動に、あめは中々踏み切れないでいた。

夢の中でも体裁を気にしてしまうのは、自分の引っ込み思案な性格が邪魔をしているからか。

夢って、自分の真相心理が構成しているものだって言われてるしね?

小さい身体を一生懸命に動かして、歩いた先にあめが求めていた公園が見えた。

あめは嬉しくなって、公園へと走り、そして飛び込むようにして公園の中へと入った瞬間、その足をピタリと止めた。


…………何か居る!!


しく、しく、しく……と人の泣き声が聞こえる。

怪訝に思いながらも、あめは泣き声が聞こえてくる方へと目を向けた。

小さな公園に、たった一つだけ存在している外灯の仄かな明かりの下、今の自分と同じくらいのサイズをした少年がそこに居た。


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