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プロローグその2・一方その頃

【ドM】×くろす×目撃スレ【マザーグランデ最強?】

1 名前:まっする@とーすとうめえ

 第1回ウヴァ杯優勝者×くろす×について語るスレ

 スキル石全取ってマジ?


2 名前:モイ@とーすとうめえ

 >>1

 全取はさすがに都市伝説じゃね?


3 名前:りんちゃん@とーすとうめえ

 露店で捨て石1s1kで纏め売りしてたらくろすが全部買い占めてった あざーす


4 名前:†暗闇†@とーすとうめえ

 >>3

 捨て石とか何に使うんだよ てかなんで売ってんだよ


5 名前:りんちゃん@とーすとうめえ

 >>4

 初心者が買ってくかなーと思って

 まさかくろすが買っていくとは

 慈善事業か何かかね?


6 名前:モイ@とーすとうめえ

 >>5

 慈善事業ウケる笑

 そういうところもマゾなのか


7 名前:スミス@とーすとうめえ

 アイオラ入口とかいう辺境で露店やってんの見た

 料理売ってたが品質全部Sランクでやべえ

 ミルククッキーくそ美味かった


8 名前:大剣使い@とーすとうめえ

 アレキスで料理してたから奇襲かけたけど一撃でやられた…

 しかもサイバンチョウとかネタ武器で…


9 名前:†暗闇†@とーすとうめえ

 >>8

 サイバンチョウwwwww

 くろすって弓士じゃねえの?


10 名前:まっする@とーすとうめえ

 >>8

 ウヴァ杯は弓だったよな

 けどソロらしいし他の武器も使ってんじゃね


11 名前:まっする@とーすとうめえ

 >>7

 Sランクのミルククッキーってなんだよ

 ステ補正いくらだった?


12 名前:スミス@とーすとうめえ

 >>11

 ATK+8の30分 ハンマーの俺歓喜

 値段も2kくらいで良心的


13 名前:まっする@とーすとうめえ

 >>12

 そんな持続時間きいたことねえwwwwwww

 てか料理の話題多くね?くろすって料理好きなわけ?


14 名前:†暗闇†@とーすとうめえ

 料理とか超マゾスキルじゃん…

 ドMの名は伊達じゃねえ…


× × ×


 まだ少し肌寒い、三月の半ばのこと。夕焼けに頬を染め、二年と一年だけの運動部が汗をきらめかせる由芽崎第一高校のグラウンド――の、隣に立っている、東棟。学校関係者からは旧校舎と呼ばれている、コンクリート作りの古い建物の三階。

 以前は教室として使われていたであろう板張りの床と、前後の壁に黒板の設置された室内は、半分ほどが古い机や椅子、教材を詰めた段ボール箱で埋まっていた。さらに、暗幕と遮光カーテンが引いてあるため、中の様子は一切窺えない。

 ふと、外で器具の片づけをしていた野球部の一年生が、その物置教室の窓を見た。友人が訊ねる。

「どうした?」

「あの教室のカーテン、さっきまで閉まってたっけ?」

「変なこと言うなよ、閉まってるに決まってるだろ」

「だよなー!」

違和感を吹き飛ばすべく、二人は笑いながら、何事もなかったかのように通り過ぎていった。


 シャッと音を立て、背の高い男子生徒はカーテンを閉めた。日中は開けているが、外が暗くなってくると光が目立つので、閉めるようにしている。

 物置になっていない半分には、古い事務机が三台並び、それぞれに大きなモニターが載っていた。机の下には武骨なタワーPC。それらとセットになるように、背もたれの広いオフィスチェアも三脚。床に傷がつかないようにするためか、オフィスチェアの下にはカーペットが敷いてある。

 なぜかその背後には、寝心地の良さそうなセミダブルサイズのマットレスが一枚、敷いてあった。

「智、遅いな。春果、連絡してみろよ」

「そろそろ着くって、メッセージ来たよ」

春果と呼ばれた女子生徒が、オフィスチェアに腰かけ自分のスマートフォンをいじりながら答える。黒い髪を背中まで伸ばした、色白の少女。瞳は大きく、瞬きするたびに音がしそうなほどに睫毛が長い。

「今からじゃ、一時間くらいしか遊べねえな」

「カーテンを閉め終えた男子は、言われてポケットから自分のスマートフォンを取り出した。

「智にも食わせたかったなー、ドラゴンの肉」

「巧、さっきからそればっかり」

春果が笑うと、その度に艶のある髪がさらさらと揺れる。

「マシュマロだったら、家でも作れるかな?」

「やめとけよ。どうせ失敗して黒焦げにするだろ」

「やってみなきゃわかんないじゃん」

口を尖らせる春果の仕草は、水色の髪の少年とよく似ていた。巧と呼ばれた男子も、金髪の剣士と似ている。

「すみません、遅くなりました」

「どうしたの、智。何かあった?」

息を切らして物置教室に入ってきたのは、小柄な男子生徒だった。こめかみを汗が伝い、分厚い眼鏡がずれる。よたよたとマットに崩れ落ち、鞄から取り出したハンカチで汗を拭って、息を整えた。

「それが……」

少し落ち着いてくると、智と呼ばれた眼鏡の男子は正座で座り直し、項垂れた。

「じ、実は……。とうとう、両親が離婚することになって。……ボク、母方の実家がある北海道に引っ越すことになってしまいました……」

最後は嗚咽交じりに泣きだしてしまった。それを聞いた二人も、ぽかんと口を開け。

「えええええええええ?!?!」

旧校舎に、絶叫が響き渡った。

(注)1s=1セット、またはスタック

   1k=1000

です。

ご指摘ありがとうございます。

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