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かぐや姫の頼み

【大和撫子】Aluminum*様親衛隊スレ【かぐや姫】

312 名前:和菓子の怨@アルミ様万歳

 クリベリで黙々とミノ狩りしてるアルミ様に偶然遭遇

 今日も美しいですあるみ様


313 名前:nana@アルミ様万歳

 >>312

 戦ってるアルミ様とか超貴重じゃん

 SS撮った?


314 名前:和菓子の怨@アルミ様万歳

 >>315

 もち

 あとで貼るわ


315 名前:マオマオ@アルミ様万歳

 アルミ様と×くろす×は仲が良いらしい…

 羨ましい…妬ましい…


316 名前:ケースケ@アルミ様万歳

 そういやたまにトルマリで喋ってんの見かけるな

 やっぱ廃人同士気が合うのかね


317 名前:キューティクル@アルミ様万歳

 トルマリって言えば

 トルマリのワープポイントの傍で三人組と喋ってんの見た


318 名前:nana@アルミ様万歳

 >>317

 三人組?

 大勢と一緒にいるの珍しいね


319 名前:ケースケ@アルミ様万歳

 >>317

 俺も見た

 あんま見たことない三人組だろ

 金髪と青いのと白いの


320 名前:キューティクル@アルミ様万歳

 >>319

 そうそれ

 中身若そうなリア友の集まりって感じの

 アルミ様ちょっと笑顔とか見せてて遠巻きながらときめいた


321 名前:マオマオ@アルミ様万歳

 >>320

 笑顔?!?!?!


322 名前:nana@アルミ様万歳

 >>320

 笑顔?!?!?!


323 名前:ケースケ@アルミ様万歳

 盛り上がってるとこ悪いんだけど

 今まさにカフェのアルミ様のとこにくろすが来たぞ


324 名前:キューティクル@アルミ様万歳

 まじか見てくる


× × ×


 八時少し前。夕飯を済ませてログインし、カフェに急ぐと、ある美さんはテラスの椅子に腰かけて、いつものように通りを眺めていた。

「ある美さん、おまたせ」

「いえ、待っていません。先ほど来たばかりです」

「え?あの後カフェにいたんじゃないの?」

「貴方のために一時間も前から待ちませんよ」

とりつく島もないところが素敵だ。向かいの椅子に座って、NPCのウェイトレスにコーヒーを注文する。

「ある美さんも何か飲む?奢るよ」

「では、抹茶フラペチーノを。トールサイズで」

かしこまりました、と下がるウェイトレスの後ろ姿を見送って、視線を戻す。

「いやァ、でも驚いた。まさかあそこである美さんに出くわすとは」

「貴方こそ、誰かと組んで何かをするとは思いませんでした」

お互い、ソロプレイヤーとして名を馳せる者だ。特段ソロでいる理由を訊くこともないが、俺だって、ある美さんが誰かとパーティを組んでいるところは想像できない。以前一度だけ、公式イベントでパーティを組んだことがある。しかしそれはパーティを組んでいないと参加できなかったからで、戦闘スタイルは完全にソロのそれだった。刀を振るうある美さんは、息をのむほどに美しかった。

「ちょっと事情があって」

「あの様子ですと、貴方とあの彼の中身が同一人物だとは、お友達はご存知なさそうですね」

「そこまでわかっちゃうの?さすがある美さん」

「昨日の今日でカエデ装備の話が聴こえて、偶然とは思えませんでしたので」

失礼します、と、NPCがコーヒーと抹茶フラペチーノをテーブルに置いて去っていった。

「そうそう、先に報酬渡すね。はい」

テーブルに置いたのは、茶色の表紙の本。カエデ装備のレシピが書いてある本だ。これを最後まで読むことで、装備を作ることができるようになる。中身をぱらぱらと確認して、

「本当に本物なんですね。……これをどこで?」

「偶然だよ偶然。身内のつてで」

これに関しては本当に偶然なので、他に説明のしようがなかった。

「その本、あげるよ。俺は本人からまたもらえるから」

「……今までで、一番驚いた報酬でした。本当に、妙な人ですね、貴方は」

そういうと、手に持った本は光となって、ある美さんのインベントリに収納された。

「ある美さんにそんなに高く評価してもらえると、なんかくすぐったいなァ」

なにしろ、普段は罵られに来ているようなものだ。誰彼構わずツンツンと突っぱねるのではなく、時にはきちんと評価をくれるところが、アメとムチというか、尽くし甲斐があるというか。

「それでは、頼まれていた牛革をさしあげます」

「やったー」

アイテム取引は直接手渡すこともできるが、数が多いときなどは、直接インベントリに入るトレード機能を使うのが一般的だ。ウィンドウが開き、頼んでいたものがスロットに並んだ。数と質を確認して、承認しようとしたところで、

「これはおまけです」

さらに、二つ追加された。アクセサリー分類の青い宝石のついたピアスと、渋い赤色のマフラー。どちらにも、DEF5パーセント強化の補正付きだ。アクセサリーに付く補正値の最高が5パーセントなので、買おうとするとかなりいい値段になる。

「お友達に渡してください」

「……どうしたの、熱でもあるの?」

普段のある美さんなら、頼まれたもの以外に何か余分にアイテムを譲ってくれることなど、絶対にない。驚く俺に、ある美さんは首を振る。

「いいえ。貴方がレシピをくれたのも、元を辿れば彼らのおかげでしょう。それに、素材だけでは見合いませんので。お友達の趣味に合わないようでしたら、売って何かの足しにしてください」

「喜ぶと思うよ。ありがとう」

今度こそ、トレード申請を承認した。きっと、二人の外見と名前を見た後で、二人に合うものを作ってくれたのだ。そうでなければ、偶然瑠璃色のピアスと蘇芳色のマフラーができるわけもない。

「それと。これは貴方に」

これで取引終了かと思いきや、ある美さんはテーブルの上に、静かに一丁の銃を置いた。グリップと銃身に精密で豪奢な装飾の施された、真鍮色のライフル。ゴシックブラススナイパーライフルといい、遠距離武器の中でも屈指の射程を誇る、DEX依存の武器だ。素材が非常に手に入りにくく、また扱い辛いため、カエデ装備ほどではないが、使っているプレイヤーは少ない。ぽかんとしている俺に、彼女は続けた。

「勘違いしないでください。これは私からの、逆依頼です」

そして、妖艶なる和装の美女は、静かに言った。

「学園杯に出てくる、『雄正工業高校』のチームに勝ってください」


× × ×


【大和撫子】Aluminum*様親衛隊スレ【かぐや姫】

325 名前:マオマオ@アルミ様万歳

 なんでくろすはアルミ様にあんな親しげに話し掛けられるんだ


326 名前:ケースケ@アルミ様万歳

 それな

 俺なんか真似して話し掛けたら完全に無視されたぞ


327 名前:nana@アルミ様万歳

 >>326

 下心スケスケだったんじゃないの


328 名前:キューティクル@アルミ様万歳

 渡してたのレシピ本かな?

 アルミ様がまだ持ってないレシピなんてあったんだ


329 名前:みょん@アルミ様万歳

 アルミ様が出したのゴシブラじゃん

 やっぱくろすの装備はアルミ様製か


330 名前:ケースケ@アルミ様万歳

 羨ましくて血涙流す


331 名前:キューティクル@アルミ様万歳

 >>330

 翁かよ


332 名前:みょん@アルミ様万歳

 >>330 >>331

 かぐや姫だけに?


333 名前:マオマオ@アルミ様万歳

 くっそー くろすに対人仕掛けてくる

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