誤算
「もっとすぐに会えると思っていたのに…甘かったな」
誰に言うわけでもなく発した言葉は、ただ冬の空に溶けていった。
冬の太陽のそれほど強くない日差しでも直射の光は眩しく、
太陽は白く、その形を目視することができない。
「いつまでも会えない彼みたいだ…」
あれから長い時間が過ぎた。
あの約束を交わした時の私は必ずまた彼に会えると信じていた。
約束は守るって言ったでしょ、と笑って言えると思ってた。
でも…
「輪廻初心者なんだから少しくらいヒントとかあってもいいのにな…」
本当は初心者かどうかもわからないけど、記憶がないなら初心者と同じだ。
彼は何度も輪廻を重ねていたようだから、今もきっとどこかにいる。
そう、どこか、に。
もしかしたら地球の反対側にいるかもしれないその人に、会える確率は奇跡に近い。
魂に深く刻みつけた記憶。
でも、その想いが報われることは今回の転生でも叶わなかった。
ーーードクン…
魂が大きく波を打った。
何度か繰り返したからわかる。
これは、終わりの予兆だ。
ーーーまた繰り返す気か?飽きないな
「声」がいつものように話しかけてくる。
嘲るような、それでいて楽しんでいるような「声」
「彼に会えるまではやめるつもりはない」
そう答えて目を閉じる。
これから襲われる痛みに備える。
ーーーいつまで耐えられるか見ものだな
「!!!」
体の内側から激痛が走る。
魂に記憶を刻みつける作業。
死そのものよりもツラく、苦しい。
ーーー魂は輪廻を繰り返すたびに磨耗していく
激しい痛みに意識を失いそうになる中、遠くで声が聞こえる
ーーーお前の寿命が輪廻を繰り返すたびに短くなっているのも、魂を傷つけ過ぎているからだ
あぁ、やめて…もう意識が保てない
次に目が覚めた時も、ちゃんと彼を覚えていたいのに。
ーーーこのままだと後2度くらいが限度だな
えっ…
「声」が低く笑っている
ーーーお前の願いは叶うかな?
そこで意識が途絶えた…




