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星の落とし子  作者: hachikun
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これからどうしよう?

 何とか戦闘もおわり、そして地球上の生き残り的存在にも出会う事ができた。

 それはよかったんだけど、俺には大きな懸案事項(けんあんじこう)がまだ残っていた。つまり、俺自身がこれからどうするのかって事だ。

 何もかも後回しにして、とにかく戦わせろってやっちまったんだよなぁ。

 結局、本当に巨人の操縦者……つまるところアズラのパイロットをするのかどうかも未定。

 ニャンコ先生のところには同じ日本人の子供たちがいるわけだけど……そっちに合流するのかっていうと、それも何か疑問が残る。

 何より、俺にはしなくちゃならない事がある。いや、義務というわけじゃないのだけど、どうしても確認したい事があった。

 そう。

 地球の破壊を指示したという業者について調査して、大本の依頼元を突き止める事だ。

「だけどなぁ」

「?」

「いや、何でも」

 何でもないさ、と言ってミーナの頭をポンポンと叩こうとして……ふと思った。

 そういえばミーナ、指環があれば話ができるんだっけ。

 本人はどうも指環が嫌いというか、指環で話をするのが嫌みたいだったけど……意見を求めてみるくらいは許してくれるかな?

「なぁミーナ、ちょっと聞いてくれないか?」

「……」

 俺はミーナに、自分の迷いを話してみる事にした。

 これから先、どうするべきなのか。

 仮にあの業者の依頼元を突き止めるとして、具体的に何をどうすればいいのか。

「……」

 ミーナはじっと俺の言葉を聞いていたが、やがて、指環をはめた手をスッとあげた。

『気になる事があるなら、確認すればいい』

 指環から声が聞こえてきた。

「確認?」

『ユウは、むずかしく考えすぎ……アズラ?』

『なんですかミーナくん、ユウくんもですか』

 ふわりとアズラが現れた。

『地球を破壊しにきた業者をたどる件について、何か情報はある?』

『話を聞いてたかどうか確認しないのかい?……ああわかったわかった』

 眉をしかめるミーナに、アズラは苦笑するとうなずいた。

 なるほど。巨人はつまりアズラなんだから、聞いてないわけがないって事か。

『あの船のセキュリティは老朽船のわりに立派なものだったよ。

 でもね、商業運転している船によくあるように、内部情報はセキュリティで隠していても、所属をかくしてはいなかった。それは、いわゆる公開情報に属するものだからね。

 で、そちらをたどって、彼らの使っているネットワークへの入り口を突き止める事もできたよ』

「え、アクセスできるのか?あんたからすると彼らも異星人なんだろ?」

『ユウくんの言いたい事はわかる。だけど、情報ネットワークなんてものは多くの場合、常に利便性が優先されるものなんだよ』

 ふふふ、とアズラは笑った。

『文明圏ごとに情報ネットワークはバラバラに作られる。だけどその文化圏同士が深く交流をはじめると、必ず両方にひとつの考えが浮かぶんだ。

 これ、相互接続できたらものすごく便利だよなってね』

「まぁ、そうだろうね、でも」

 地球にだって、自国に不利益な情報をフィルタリングして国民に情報を与えないって国は存在するぞ。

 ましてや宇宙文明の国なら、権力側の好き放題になるんじゃないか?

『国同士、地域同士の思惑でネットワーク接続が阻害される可能性については否定しないよ。

 でもね。たとえ戦争している敵同士でも、航行ルートもデラクラインも……あー、地球人的にいえば、道はつなぐものだし、商人も行き来するものだろう?違うかい?』

「あー……それは確かに」

 俺の中にある記憶にも、それにあたるものが確かにあった。

 東南アジアなどで、大昔から戦争ばかりしている仲の悪い国があるんだけど、軍隊が国境を挟んで睨み合っている横でも、ちゃっかりと商人は行き来して商売が行われていたらしい。

 国の道と商人の道は違うってことか。なるほど。

『私たちの作られた時代には既に銀河連邦があった。情報ネットワークもちゃんとつながっていたんだよ。国交すらなかったのにね。

 ただ、太陽系近くまで漂流してきてから後の事はわからない。この近郊の情報ターミナルを知らなかったからね。

 でも彼らのおかげで、この近くの中継ポイントを知る事ができたんだよ』

「え、そうなのか?」

『ああ』

 それはもしかして、ものすごい朗報なんじゃないか?

「そのポイントって、どこにあるんだ?ここからアクセスできるもんなのか?」

『地球の単位でいえば、約4.22光年ほどの場所にあるらしいよ。ただし通信キーが異なるから地球からのアクセスはできない。これはシステムが違うためというより、昔、私たちが登録していたコードが失効しているためみたいだけどね』

「コードが失効?」

『ずっと未使用だったわけだからね、仕方ないさ』

「なるほど」

 ああなるほど、わかりやすいトラブルだな。

「そのコードとやらの復活をすれば、アクセスして調べられるのか?」

『調べられる。だが問題は、私たち自身が最寄りのターミナルに行かなくちゃならない事かな。何しろ約4.22光年だからね』

「なるほど……あれだ、ワープとかさ、こう、ぱぱーっと行っちまう方法はないのか?」

『あるよ。でも今の私たちには使えないけどね』

「どういう事?」

 アズラは、俺の質問に少しだけ困ったように笑った。

『ハイパードライブをするには、ただ出力が出るだけではダメなんだ。どのくらい向こうまで飛ぶのか、そして狙った場所にきちんと出現するにはどうするのか、安全は確保できるのか。たくさんの要素を交えた計算をしてからその通りに飛ばないと、正直どこにぶっ飛ばされるかわからない』

「そんなもんなのか?」

『ああ、そうだね……わかりやすく言うと、空間っていうのは平坦じゃないんだよ。揺らぎも歪みもあり、濃いところも薄いところもある。しかもそれが随時変動を続けているんだ。

 しかも、だからといってそれをきっちり測定したからって正しく飛べるわけでもない』

「よくわからないけど、なんか難しい計算が必要っていうのはわかったよ」

『うん、ユウくんたちはそれでいいよ。

 でね、こういう難しい計算をやってくれるサービスターミナルっていうのがあってね、今回の場合、問題の中継ポイントにはその機能があるんだ。つまり、要望を出せばハイパードライブ計算をやってくれて、私たちは今日のうちにもステーションまでたどり着けるわけなんだけど』

「……それってもしかして、アカウントがないと要望を受け付けてくれないって事?」

『正解』

「うわぁ……なんていうか」

 あれか。要は、缶切りが缶詰の中にあるような状況なわけか。

「じゃあ、どうすんだよそれ。ワープせずに普通に飛んでいくのか?四光年も向こうまで?」

『大した手間じゃないさ。仮眠機構もあるから、君たちにとっては一晩だしね』

冷凍睡眠(コールドスリープ)!?」

『地球の物語みたいに凍結させる事はないけど、まぁ、似たようなものかな?』

 うわぁ……ちょっと待てやオイ、そんなハードSFみたいな真似をしろと?

 いやいや、ちょっと待て俺。

 なんか別の方法があるよな、な、な?

「ああ、そういやニャンコ先生がアマルーの星に連絡するって言ってたよね。そっちに依頼してコードをもらう事は」

『その方法は、できればとりたくないのだけど……まぁ私たちの気持ちは別としても、ちょっと難しいのではないかな?』

 え?

「それは、どうして?」

『コードの登録や復活は、代理でやっちゃいけない事になっているからだよ。

 あの猫さんはどうやら一般市民ではないようだけど、彼女の権限でもそれは覆せないはずだよ。可能なら……そうだね、アマルーなら本星の聖女王か、始祖の関係者か……相当に特殊な立場のものでないとね』

「なんでそんな大事なの?」

『たかがコードというけど、それは各国、各組織の信頼の元に発行されているからだよ。バカバカしいと思うかもしれないけど、そこだけは理解してほしい』

「そうなのか」

 ここまできっぱりと言い切るって事は、それなりに意味があるんだろうな。

「他に船とか、通信で聞けそうな人か?アルダーだっけ、トカゲの学者さんたちの方はどうだったの?」

『オン・ゲストロなら融通はきくと思うね。でも彼らは商人だ』

「えっと、だから何?」

『わからないかい?対価が用意できない可能性が高い』

「あー」

 八方ふさがりか。参ったな。

 いや、でも、まてよ?

「確認したわけじゃ、ないんだよね?」

『む?確かにそうだけど?』

「まずは確認してみよう。少なくとも何年もベッドの上で固まってるよりは建設的だと思うしさ」

『ふーむ』

「な?」

『……ふむ、そうだね。君がそう言うなら、やってみるとしようか』

「うん!」

 ふう。どうやら折れてくれたようだ。

『とりあえず了解したよ。では、とりあえず最優先項目の援助物資の準備を進めるとする。交渉材料にもできるだろうからね。

 それでユウくん、君にもひとつ頼みたいんだが?』

「え?ああわかった、俺にできる事なら」

 俺に頼み?なんだろう?

 でもそれは、俺の予想とは少し違ったものだった。

 

『また、君が私たちを説得してしまったせいか、お姫様がおかんむりみたいだ。彼女の方はたのんだよ?』

「あ」

「……」

 

 ふと横を見ると、どこからどう見てもお怒りモードのミーナ。

 うわぁ……しまった、途中から話に夢中になって、完璧においてけぼりだったよ。

 

 

 俺はこの後、夜になるまでミーナのご機嫌取りに奔走させられる事になった。


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