音
夜に耳を傾ける
扇風機が遠慮がちに
風を送る音
防音謳った窓の隙間から
車の走り過ぎる音
時計が今日を昨日に
変える音
心の奥からいつか聞いた
ピアノの音
枕に耳を押しつけて聞いた
心の音
次へ次へと向かう
心の足音
夜が今日と明日の狭間を
ゆっくり分ける音
が
聴こえる
昼間の眩しい音とはちがって
恥ずかしげに
音のない世界を知らないまま
今日まで来られた
音が悪者になるときもあるけれど
音なしよりはマシなのだ
ひとりではない
と
わかるだけで救われる夜がある