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Wild Flower  作者: 朽葉 周
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004 PSI


「大分馴染んできたようじゃな」


この世界へ着て早一週間。ババ様の下で修行をして、既に七日経った。

人間追い詰められれば適応できるのか、それとも勇者の端くれとしてご都合主義の補正でも働いたのか、現在の俺は大分この世界で得た知識と技術に馴染んでいた。幾らなんでも身につくのが早すぎる、と言う思いは無いでもないが、本来必要な『休憩時間』がヒーリングという手段によってバッサリとカットされているのだ。おかげで筋肉痛になることも無く――正確には、成っても常に治療を受けている状態であるために被害が出ず、そのまま修練を続行できる――その結果として驚異的な速度での修練を可能としていた。

「あんまり馴染めてもなぁ。こんなスキル、持ち帰っても確実に腐らせちゃうだろうし」

「それでも無駄にはならんよ」

俺がこの一週間で身につけた技術は、

1.心霊術(基礎)

2.弓術

3.サバイバル術

の三つだ。大雑把に分類すると、だが。他にも心霊術と弓術の複合で、弓にオーラを纏わせて微弱な誘導性と貫通力を強化する付与法だとか、弓を使ったハンティング、心霊術を用い、匂いや気配を消してのサバイバル術など、複合的な技術もいくらか修得している。

……まぁ、とは言っても所詮一週間で身につけた粗製技術だ。

心霊術は基本こそ確りと続けている為に、ノーモーションからの術発動が可能となってはいる。が、そもそも術のレパートリーがヒーリング(治癒)、リーンフォース(強化)、ピュアファイ(浄化)、ハイド(気配遮断)と、戦闘向けの技術は少なく、殆どサバイバルの為の技術だ。

弓術に至っては心霊術とサバイバル術で補助して漸く使えている、と言う程度の物。心霊術の強化で誘導補正を掛ければ飛ぶ鳥くらいは落とせるが、素の腕前だと極一般的な城の兵士程度の腕前、とババ様に言われた程度の技術しかない。

一応心霊術とサバイバル術の応用で、ナイフの扱いも学んでいる為、苦手な距離というのは無い。無いのだが、基本距離をとる、と言うのが俺の基本的な生存戦略になるだろう。

で、これら技術。俺が元の世界、地球に帰る事ができたとすれば、先ず間違いなく使うことがなくなる類の技術だ。いや、心霊術は割りと便利なので、使えるなら使い続けるかも、だが。

「ま、たら、ればよりも、今生き残る事を最優先に考えるべき、かね」

まぁ、思考を放棄する事はできないが、とりあえず「後回しにする」必要はある。

何せ、現在の俺は未だ未だ平凡な日本人に過ぎない。本当に命の危機に陥ったとき、正しく対処できるとは到底思えないのだから。





俺がババ様の下で修行を始めて一週間。この間に、幾つか実感として理解した事がある。

先ず初めに、俺が目覚めた心霊術というモノに関して。これ、当初は『見えないものを見る』とか、『悪霊を払う』とか言われていたために、地球で言うところのオカルト、『霊能力』とかその類の能力だと俺は思っていたのだ。

ところが、だ。

あれは確か弓を強化する方法を覚えた後、その強化に付随するように、微弱な誘導性を付与する事が出来る、という事に気付いたときのことだ。

地球的な解釈で言えば、矢をオーラで強化する、というのは、『矢に霊力を籠める』という解釈になるはず。が、矢に霊力を籠めると、誘導できるようになるものなのだろうか? 破魔矢の思想に近いと考えたのだが、破魔矢ってそこまでファンタジックな技術だろうか。

――寧ろファンタジーと言うよりも、SFのサイキックに近いような気がする。

ふと脳裏に浮かんだその言葉。それが妙にカチリと嵌るような感覚がある。

そういえばの話、ポルターガイスト(騒霊)っていうのは、実のところサイコキネシスの暴走だ、見たいな話を胡散臭いテレビでやってた様な気がする。案外超能力と霊能力というモノは似たようなものなのかもしれない。

と、其処まで考えて、改めてオーラの扱いについて考えてみる。

コレまではババ様の教えに従って、その指示の通りに術を使っていた。が、少しくらいは自己研鑽をする、と言う必要もあるのではないだろうか。

無論、素人が勝手に手を出して事故を起こしたりした場合、ソレは間違いなく自己責任になる。

安全第一を考えるならやるべきではない。……だが然し! 男なら多少冒険はするものでしょ!!


と、いうわけで早速実験をして見ることに。

現在の俺の技能、心霊術。これを、超能力と捉え直して、改めてコントロールの練習を行なってみる。

オーラとはいわば精神力の大きさ、見たいなものだと仮定して、では最もプレーンな超能力とはなんだろうか。うーん、ESP系ならテレパシーとかサイコメトリー、後は予知とかその類なのだろうが、もう少しわかりやすい技術のほうがいい。ならESPよりはPK系の方が解りやすいだろう。

とりあえず仮に、手近なところに転がる頭よりも大きな岩を標的にする。

「んー……」

俺のオーラのイメージは、金色のキラキラ。とりあえずイメージとしては、オーラで手を作り、その手で岩を持ち上げてみる。

すると結果、ソレまでの心霊術以上に違和感無く、まるで軽く華でも摘むように、ふわりとその岩は宙に舞い上がってしまったのだ。

「……」

思いつきにしては、あまりにもあっさりと成功してしまったその実験。やっぱり心霊術っていうのは、超能力的なものっぽい。

と、いう事は、だ。ババ様曰く、勇者の能力というのは、膨張した内なる才能――元々眠れる力という事に成る。つまり、俺には元々超能力の才能が有った……?

……うわぁ、まぁ、便利だけどさぁ。表沙汰に出来ん。

「ま、便利だからいいか」

で、結局その日は新しい心霊術――オーラの使い方として、超能力的なオーラの使い方を修練する事にした。

例えば基本としてサイコキネシス、テレパシー、サイコメトリー、テレポーテーションなど。超能力って割と昔から漫画なんかのネタとして存在しているので、イメージがとてもしやすい。

イメージと言うのは重要だ。如何いう結果に持って行きたいのか、という具体的な指標の有無は、その成果に大きく影響を及ぼす。実際、霊能力よりは超能力のほうがイメージしやすかった俺は、超能力として心霊術を捉えなおした途端、あっという間にサイコキネシスを使えるようになってしまったのだから。

しかも更に、かなり疲れる上に質量制限もあるが、テレポートもやってみたら成功出来てしまった。若干――いや、正直かなりテンションを上げつつ、然し転送事故とか怖いので、テレポートは心霊術を使い熟すまでは多用は控える事にした。ハエ男コワイデス。

そう、考えてみれば、心霊術を超能力と捉えた時のあの感覚。あれもあるいは超能よりの『直感』とかその類だったのかもしれない。

そんな事を考えながら超能力を試し続け、日が暮れる頃には、オーラの使いすぎで完全に動けなくなり、身に来たババ様に呆れられたのだった。






■心霊術(超能力)

イメージ的には学園都市じゃなくて超人□ック。

重責ヴォーテックスとか好きよ。



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