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妖刀-五月雨-  作者: 藤堂 哀
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幕末のアナザーストーリー

第一章


第一話・京



 元治元年、京の町はまだ夕暮れ時であるというのに浪士も、町民も皆外に出るのを控えていた。

近頃京では酉の刻(5時から7時の間)をすぎると、"妖怪"なるものが町を横行するという。

妖怪は人間の肝の臓を食らうと云われており人々は恐れをなしていた。

しかし、そんな妖怪に立ち向かうものもおり、それは武士と呼ばれるものであった。

武士、江戸時代に帯刀を許され、様々な思想を経て何よりも志を重んじる生き物である彼らが、果敢にも妖怪に立ち向かい刀を振るうも、まるで歯がたたなかった。


「人間……貴様の肝の蔵を喰ろうてくれるわ」


まるで歯が立たないのは立ち向かうものが弱いからではない。

「何を!化け物が、我々人間を愚弄しようと言うのか!」


「愚弄……?違うな、貴様ら人間を馬鹿にしてなどおらぬ。そもそも相手にしておらぬのだからな」

「くっ……うおああああああ!」


ザシュッ



男が振り下ろした刀は人外の姿を成すものの心臓を貫通した。

否、貫通したはずであった。


シュ~



「な!!何?!、心臓を一突きしたはず!!」


妖怪の刺された傷口は焼けるような音を立てみるみるうちに塞がっていた。


「一突き?笑わせてくれるなよ人間。貴様ごときの持つ刀とやらで妾の息の根、止めれると思うたか?ただの刀で、我が同胞を倒せると思うてはならんぞ」


「っひぃっだ、誰か助けてくれ!!」


「ほう、別の人間を呼ぶか?餌が増えるだけよ」




ザッ


「其れはどうかな」



現れたのは町娘のような少女であった。


「小娘か……まあよい、小娘では肝の臓もまだまだまずいが、腹の足しにはなるからのお」


「お、おいおぬし!逃げよ!ここにきてはならぬ!!!」



先ほどまで助けを呼んでいた男も、駆けつけた相手が子どもだと分かると、逃げるように促した。



「その化け物、ただの刀じゃ斬れないよ。ただ……この刀なら対等にやりあえる」

「何?小娘ごときが、妾と対等にやり合える刀を保有しておると?」



彼女が腰に下げているのは黒刀。

黒に碧色の龍が刻まれた刀であった。



「五月雨、それがこの刀の名」


「五月雨!噂に聞く妖刀か!」

「とある刀鍛冶から受け継いだ刀でな、なんでも貴様ら妖怪を斬れる力があるらしい」


その刀を抜刀すると、異様な妖気が漂った。



「っぐ、そんな物ごときで!!勘違いするなよ小娘ぇ!!!」




タンッ



カンカンッ ザシュッ ダンッ




しばらく激しい斬撃の応酬が続く。



バシュッ


「ぐっ、おのれえええ小娘えええ!!」



「終わりだ」



ズバッ


「ぐああああああああああああああああああああ」



ドサッ


妖怪は倒れた。

「お、おい、コレ死んだのか?」


男の問いに返答はない。

おそるおそる振り返った男はあたりを見回した。


「おい!娘!どこへ行った!?」



既に少女の姿はなかったのだ。

名も名乗らずに姿を消した少女に、京の町ではしばし噂が流れた。


妖刀五月雨実現されたし。妖怪退治を成す勇敢な少女現ると。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



あとがき


(スライディング土下座)


効果音苦手。

 まだ新撰組とか出てきません。


 京の町では、午後5時になると町人は家から出ずに、息をひそめます。

 妖怪が町を横行し、無防備な人を襲うからです。

 

 少女は灼眼のシャナのシャナをイメージしてくださると分かりやすいかと!


 五月雨は刀が認めた者だけが鞘を抜けるので妖刀と呼ばれています。


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