銃後の夜
旋盤を回して分隊支援火器を造ってた
溶接や切削や鍛造もして
猛爆に次ぐ猛爆で灰燼に帰した都市で
この重機関砲を密造してた
鉄血勤労隊で筆舌に尽くし難い忍苦をして
この銃が最前線で咆哮する日を夢みてた
海岸線を埋め尽くす敵兵をなぎ倒し
この国を護る武器になればいいと
加工精度は抜群に高く
「風神の鎌」と畏怖敬虔された
ついに旋風の吹き荒れる夜がやってきた
敵兵見ゆ
古参兵が新兵に機関銃の使用方法を教示する
新兵は実包がないのに首をひねる
銃身を逆手持って薙ぎ払うべし
「実弾は一発も配備されぬゆえ貴君らの健闘を祈る」