別れ
今日、彼女と別れた。
愛して、たんだけどな。言葉だけじゃ、足りないんだと。そんなこと言ってたかな。それすらもさ、憶えてないんだよ。なんか知らないけど、頭が真っ暗になって。息が上手く吸えなくて、吐くしかなくなって。
意味わかんね。この感情、なんなんだろうな。
別に、俺には必要ないし。あんな奴。最初だってアイツからだし。俺は何とも思ってなかったし。
嘘です。ごめんなさい。結構本気だった。長続きすると思ってさ。気があり得ないくらいに合って。本当は俺なんじゃないかって、思うくらい。だから、手放したくなかった。俺とずっと一緒にいられると、思ってたんだよ。笑えるよな。運命だの、所詮はこの程度だってこと。本当は俺なんか愛されてなかったんだよ。
でもま、仕方ないってことだよ。これで終わりなんだから、忘れよう。忘れたほうが気が楽だし。
忘れて。忘れ。
【できない、よなぁ】
瞼を閉じればお前がいるんだよ。声だって聞こえる。温もりは無い。それが寂しくて。
傍に居てくれた。ずっと傍に居てくれた。俺なんかの手を握って。
その時のことを思い出しながら、手を開いたり閉じたりしようとしても、上手くできない。
寂しくて、心がぽっかり空いていても、なんとなく自分を見失っていないのは。
【愛してるよ】
俺の葬式にお前が来てくれると、信じてるからだよ。
初めまして。木宮卓です。
これは本当は別サイトで連載する予定だったものです。
いい雰囲気を出せたと思うので、みなさんにもそれが伝わっているとうれしいです。