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フォーグレンの神官  作者: ありま氷炎
第6章 南の攻防
96/133

フォーグレンの神官93

 龍同士の戦いはほぼ互角に見えた。

 ネスは水の龍の動きを追いかける。


 デイから三叉の鉾を奪い取れば、すべてが終わる。


「ミル……すまないが、まだ戦えるか?」


 ネスは自分と同じように満身創痍のミルに声をかけた。ミルは黙って頷くと鞭を構える。

 家族がいるミルに無理はさせたくない。しかし、デイの隙を狙い、三叉の鉾を奪うにはミルの協力が必要だった。

 ミルの豊かな黒髪とその母親独自の雰囲気から、ミルがすでに神官を引退し、家族を持っていることがわかった。カネリがミルを時期大神官と考えるほど信頼していたことをネスは知っていた。だから、今回引退したミルに火の神官の指揮を任せたに違いない。ネスは今回ミルが火の神官を率いている理由をそのように考えていた。


「ミル!今だ!」


 火の龍が水の龍に喰らいつき、デイがその背中でバランスを崩したのがわかった。

 ミルがネスの言葉を受け、上空に飛ぶ。同時にネスも剣を構え、上空のデイに襲い掛かった。



 パシンと音がして、アルビーナの鞭が誰もいない宙を叩く。背後から剣が突き出され、アルビーナはぎりぎりでそれを避けた。


「やるね。なかなか」

「それはこっちの台詞よ」


 ヤワンの笑顔にアルビーナは鼻を鳴らして答えた。

 ヤワンの後方ではゲインと戦うミシノの様子が見える。


「アルビーナだっけ?俺のほうがミシノより男らしいと思うけど、俺にしないか?」

「ふん、冗談!」


 アルビーナはそう言って、再びヤワンに鞭を振り下ろす。


「残念だな」


 ヤワンは鞭を剣で絡み取る。


「俺の好みなのに」


 ヤワンは剣を引き、鞭ごとアルビーナを引き寄せる。アルビーナは鞭を離すと後方に跳んだ。鞭は持ち主を失い、元のかけらに戻る。ヤワンはかけらを石ころのように蹴り飛ばす。


「そうだ。あのセンという火の神官に使った薬。余ってるんだった。あんたに使おうかな」

「胸糞悪いことを言うわね」


 アルビーナは地面につばを吐き捨てると、ヤワンをにらみつけた。



「カネリさん……?」


 ベッドから目覚めたキィラは窓辺にいるカネリにそう声をかけた。


「キィラ!目覚めたのか!」


 カネリは安堵の笑みを浮かべると、ベッドに近づく。


「ここは……フォーグレンですか?」

「そうだ。目覚めたばかりで悪いが、ちょっと手伝ってもらうことがある。シュイグレンの兵士が街の外にまでやってきたようだ」

「シュイグレンの兵士……?」


 目覚めたばかりでまだぼんやりしているキィラはそうたずねた。


「ラズナンが復活した。そしてシュイグレンの兵を引き連れてフォーグレンに攻め入った。もう戦いは始まっている。わしたちができることは犠牲を最小限に止め、戦いを終わらせることだ」



 ☆


「!」

 シュイグレンの兵士がフォーグレンの兵士に向かって進撃する。

 それに加勢するため、センがラズナンの元から街に飛んだ。


 『神石』のかけらを使えば被害は甚大だ。


 ターヤはそれを防ごうと、センを追おうとする。


「……お前はタリザ…か?」


 しかし、ふいに放たれたラズナンの問いに、ターヤはその場に凍りついたように動けなくなる。

 父ラズナンの心は水の女神に奪われ、母タリザのことなど想うはずがなかった。しかし、ターヤはラズナンの言葉にわずかな期待を持ってしまった。


 父さん……。


 ターヤはセンを追うことができず、母と父への思いにとらわれる。


「と、…ラズナン様…。僕はタリザではありません。僕はタリザの娘です……」


 ターヤはラズナンをじっと見つめると、震える声でそう言った。




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