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フォーグレンの神官  作者: ありま氷炎
第6章 南の攻防
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フォーグレンの神官92

「なに?!ティアナ姫が消えた?」

「はっつ。どうやら何者かがティアナ姫に化けていたようで」


 ハーヴィンが戦いに向けて愛馬を手入れをしていると、宮殿の警備兵がハルンにそう報告するのが聞こえた。


 アルビーナ、宮殿から消えたのか?戦場に向かったのか?

 センも来てるのか?


 ハーヴィンの脳裏に様々な考えが浮かび、愛馬を撫でる手が止まる。そして庭に設置した簡素な玉座に座る王に目を向けた。


「しかし、火の神は現れたのであろう?」


 王は動揺するハルンの後方でゆったりと王座に腰かけ、そう口を開いた。


「恐れるものは水の女神だけだ。火の神は戦場に現れ、水の女神と戦っておる。今さらシュイグレンの姫など使う必要はなかろう」


 王はハルンをたしなめる様にそう言うと、王座から腰を上げた。


「ハーヴィン」


 王は自分を見つめるハーヴィンに気づき、声をかけた。


「父上」


 ハーヴィンは幾分緊張した面持ちで王を見上げると玉座に近づく。


「ハーヴィン。この戦い、お前が先陣を切るがよい」

「父上?!」


 ハルンは王の言葉に驚き、声を荒げる。戦いに参加するとは言え、穏やかなハーヴィンに先陣を任せるのは無謀としか思えなかった。兄として、弟をむざむざ危険にさらすことはしたくなかった。


「父上、ハーヴィンには荷が重すぎます。ここは私が……」

「兄上」


 ハーヴィンはハルンに微笑みかけると口を開く。


「私は大丈夫です。私が先陣を切ります。兄上はここで父を、街をお守りください」

「ハーヴィン……」


 ハルンはハーヴィンをじっと見つめる。そんな兄にハーヴィンは笑顔を向けたままだった。


「ハーヴィン、そうか、やってくれるか。頼んだぞ」


 王はハーヴィンに近づくと、その両肩に手をかけ微笑んだ。

 兄ハルンと違い、戦いを好まない弟ハーヴィン。王の選択はハーヴィンにとって酷い択のような気がしていた。しかし、王は自分の選択が間違っているとは思っていなかった。兄よりも冷静に物事を判断できるハーヴィン、先陣を切るには血気盛んなハルンよりもハーヴィンの方が適していると王は判断した。


「はい」


 ハーヴィンは王にしっかり返事をすると、頭を下げ、背を向けた。そして兜を深く被り、騎乗する。

 ハーヴィンの乗る馬はゆっくりと街門の外に出る。その後に数百の騎馬兵が続き、槍を構えた歩兵が列を成して勇ましく街門を潜り抜ける。

 先発隊の兵が全員外に出たのを確認し、門番が大きな街門が閉じる。

 ハーヴィンの耳に門が完全に閉まる鈍い音が聞こえた。


 戦いは嫌いだった。しかし、街を、国を守りたいという気持ちは兄や父同様はハーヴィンの中にもあった。


「シュイグレンがきます!」


 街門の中の高塔の見張りの兵士がそう声を張り上げるのが聞こえた。

 ハーヴィンが目を凝らして前方を見る。砂煙が舞い踊る中、現れた火の壁が一瞬にして消えたのがわかった。そしてシュイグレンの騎馬兵と歩兵が街に向かって来るのが見えた。


「皆もの!私は皆が勇敢な兵士であることを知っている。私と共にシュイグレンを打ち負かし、街を、国を守るのだ!」


 ハーヴィンは兵士達を鼓舞するためにそう叫ぶ。


「おお!」


 それに呼応して兵士達が声をそろえて気合の声を上げた。


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