フォーグレンの神官60
「治るのか!それはよいことだ」
ネスがラズナンの病状を報告するために、王室に入ると王室にはカート王、マシラ、そしてシャレッドの三名がいた。
ラズナンに調合した薬を飲ませたので、明日には目覚めることを伝えると、マシラがまず声を上げ、喜んだ。玉座に座るカート王は、そうかというだけで、喜んでいる様子はなかった。
ネスは息子の命が助かると言うのに、笑顔すら見せない王に疑問を持たずにはいられなかった。そして、ラズナンが意識を取り戻すまで城で治療をするというネスの言葉に、シャレッドと言う男が必要ないとマシラと王に進言したことで、ますます疑惑が湧いた。
「そうだな。ネスよ。帰るがよい。後は城の宮廷医師に任せるがよい」
王であるカートに言われ、ネスはしぶしぶ頷くと王室を後にした。
城から神殿に戻りながら、ネスはどす黒い何かが城の中で動いているのを感じていた。
「デイ。またしくじったね」
自室に戻り、シャレッドは誰もいないはずの部屋でそう呼び掛けた。
するとふいに壁が歪み、デイが現れる。
「しくじったわけではない。まあ、ネスが治療するのは予想外なことだったが。が、これでまた一つ面白いことを思いついた」
シャレッドは椅子に腰かけ、デイを睨みつけた。シャレッドとデイは同じ村の出身であり幼馴染だった。シャレッドはその美しい顔を武器に街で金を稼いでいたところ、お忍びで街に降りて来ていたマシラに会い、城に連れてこられた。そして策略を重ねマシラの相談役まで上り詰めた。シャレッドはデイが神殿に入殿そして、追放、神使人になっても連絡を取り合っていた。
「そろそろ、マシラと手を切れ。俺と一緒にこの世界を支配しないか?すでに火の『神石』は火の神官を使い、入手できるよう手を打っている。残りの水の『神石』の入手方法も考えてある。どうだ?」
「火の『神石』に水の『神石』か。確かにその両方を手に入れれば世界は私たちのものだね」
「そうだ。どうだ?協力するか?」
「……いいよ」
シャレッドは、炎によって顔を醜く焼かれ仮面をかぶらずにはいられなくなった幼馴染に笑いかけた。




