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フォーグレンの神官  作者: ありま氷炎
第2章 水の『神石』
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フォーグレンの神官37

「セン!ターヤ!」


 アルビーナが扉を開けると、信じられない光景が広がっていた。

 瞳が赤色に変化したターヤが杖を持ち、火の龍を操っていた。デイは龍の攻撃から身を守りながら、ターヤから杖を奪い取ろうと苦戦していた。


「やっぱりデイなのね!」


 何か攻撃をしようと思うのだが、『神石』もかけらもないアルビーナな無力だった。


「デイ様!」


 ふいに窓からズウの声が聞こえ、何かが投げられた。それは水の『神石』だった。


「デイ。存分に使うがよい。そしてわれの王位奪還を手伝うのだ」


 ズウとツゥリがかけらで作った、玉座のような乗り物に腰掛けたラズナンは、デイにそう言った。その側にはヤワンの姿も見える。


「御意のままに」


 デイはラズナンに答えると、水の『神石』を三又の鉾に変えた。


「水の女神よ!」


 デイの声に反応し、銀色の水の龍が現れる。そして火の龍に襲いかかった。

 アルビーナは状況がわからず混乱したが、ベッドで眠るセンの側に近づき、その額に輝く『神石』のかけらに触れた。

 そして別の手を水の龍に向ける。火弾が掌から作り出され水の龍を襲った。


「アルビーナか。小賢しい真似を。売女の娘と一緒に殺してやるぞ」


 水の龍は火の龍に大量の氷を放ち、その動きを止めると、二人に襲いかかった。


「……アルビーナ……?」

 ふいにそう呼ばれアルビーナは自分の手に誰かの手を触れるのがわかった。それはセンだった。アルビーナはセンと見つめ、うなずくとセンと共にその額のかけらに触れ、祈った。


「!?」


 アルビーナの掌から紅蓮の炎が放たれる。

 そしてその炎は水の龍の白い炎を弾き、龍に襲いかかった。


「ば、馬鹿な……!」


 炎に包まれ、水の龍は天井を突き破り、空に弾き飛ばされる。


「アルビーナ!」

「ターヤ!」


 半壊した部屋にミシノとロセが到着した。

 そして破壊された天井、壁、様子の違うターヤをみて息をのんだ。


「デイ。それぐらいでよかろう。われら達の真の目的は火の『神石』などではない。使えない『神石』などもっていても意味はないのだ。さあ、城に参るぞ」


 デイはアルビーナとセン、そしてターヤに視線を向け、鼻を鳴らすと宙を跳んだ。そして空高く上がる。


「待ちあがれ!」


 デイを追おうとするロセにズウとトゥリが数発の煙玉を投げつける。


「ごほっつごほっつ!」


 ロセは煙玉を食らい、その煙をまともに浴び、涙が止まらず、咽喉が苦しくなり床に膝をついた。他の者も煙に巻かれ、咳込む。

 涙と煙で視界がかすむ中、ロセは火の龍が咆哮し、消えるのが見えた。そして床に倒れ込んだターヤの姿を捉えた。


「タ……ヤ!」


 ロセは口を押さえながら、霞んでよく見えない部屋の中を床を這いターヤに近づく。

 

 煙が晴れ、視界は回復し、呼吸が楽にできるようになった頃にはラズナンとデイ達の姿が完全に跡形なく消えていた。



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