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フォーグレンの神官  作者: ありま氷炎
第2章 水の『神石』
36/133

フォーグレンの神官33

本作はBLではありません。しかしこの33話だけは15歳以下の閲覧にふさわしくないBL的性表現があります。

ご注意ください。


 荒い息が肌にかかる。

 ミシノは男の顔を凝視するのが耐えきれず、目を閉じた。

 男の生暖かい唇が自分の体を這うのがわかった。


 耐えがたい時間だった。

 しかし耐えるしかない時間だった。


 行為を終えた男がミシノから離れる。

 ミシノはシャツを羽織ると、ベッドから起き上がった。

 そして真っ直ぐ浴室に向かう。


 ここはシュイグレンの城の中だった。

 男はシュイグレンの第四王子のマーギラ、ミシノは週に一度こうやってマーギラの相手をしていた。


 男と交わるなんて嫌な行為だった。

 しかし避けられらない行為だった。



 事は数カ月前のこと、ある少年に街で会った。

 怪我をしており、理由は聞いても答えなかった。

 そのうち、少年が追われているのがわかった。

 追っていたのは王兵だった。


 理由を問いただすとマーギラの命令ということだった。

 少年の怯え様から尋常じゃないと一緒に城に行くと、少年はマーギラに囲われているものだった。

 王族には逆らえなかった。

 しかしミシノは少年をこのままマーギラの元に置いて置きたくなかった。

 そして取引をした。

 少年の代わりにマーギラに抱かれることを望んだ。



「ミシノ。もう帰るのかい?」

 大柄な体を揺らし、マーギラが浴室に入ってきた。

「ええ、明日は仕事があるので」

「そんなの私が断ってあげるのに」

「いいえ。仕事は仕事ですので。それでは来週」

 

 もう一度抱かれるなんでごめんだ。


 ミシノは浴槽から上がると、恨めしそうにみるマーギラに背を向けた。


 少年――シャンは今実家に帰り、家業を手伝っているはずだった。

 城での記憶を忘れるようにシャンに伝えた。


 そうだ。シャンの様子を見に行こうか。


 ある日、ミシノはシャンの村に跳んだ。そしてシャンの家に誰もいないことに気がついた。家のことを尋ねる村人は怯えたようは表情を浮かべ、シャン一家は別の村に移動したと答えた。


 ミシノはそれを信じなかった。きつく問いただすとシャンは両親を殺され、王兵に連れていかれたということだった。


 ミシノはその足で城に跳び、マーギラの部屋に入った。そして目の前で繰り広げられる光景に吐き気がし、息が止まりそうになった。


 口から泡を吹き、焦点があっていないシャンに脂ぎったマーギラが覆いかぶさっているのが見えた。ミシノはマーギラに水弾を当てシャンから引き剥がした。そして裸のシャンを布で包み、抱きかかえる。


「シャン、シャン!」


 ミシノは必死に呼びかけた。しかし、シャンの意識が戻ることはなく、一度痙攣すると、そのまま動かなくなった。


「ミ、ミシノ!?お前はこの私を誰だと思っているんだ」


 ベットから落ち、床から体を起こしたマーギラは目に怒りをあらわにして、そう言った。


「殺してやる!」

「ひっつ!」


 ミシノは『神石』のかけらを剣に変えると、マーギラの口を押さえ、壁に叩きつけるとその心臓を一気に突いた。

 マーギラは目を見開くと、息絶えた。


「もっと早くこうすべきだった。ごめん。本当にごめん。シャン」


 ミシノはマーギラから手を離すと、シャンを抱きあげた。少年の体は硬くなり、冷たかった。


 ミシノはシャンを埋葬すると、神殿を出た。マーギラを殺したことがわかるのは時間の問題で、そのために捕まり縛り首にあうなど馬鹿らしかった。


 神殿を出る時、ロセに見つかった。

 ただ神殿を出ることだけを伝えた。

 それ以上は話したくなかった。

 知られたくなかった。



「ミシノ……?」

 目を開けるとロセの顔を見えた。

 心配気に見ているのがわかった。


 夢?


 なんで?


 そう思ったが睡魔が襲い、ミシノの意識は再び深い闇に落ちた。



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